コーヒーで旅する日本/四国編|田園風景のただ中にぽつんと一軒。幅広い世代が集う、小さな店が秘めた大きな包容力。「クエイル珈琲」
東京ウォーカー(全国版)
世代を問わず日常に寄り添える場所を目指して
口コミでじわじわとファンを増やしていったが、開店1年が経つころ、地元の新聞で紹介されたことで人気が急上昇。SNSでも開放的なロケーションが話題になり、ときに行列ができることもあったとか。「当時は一人で切り盛りしていたところに、一気にお客さんが押し寄せて、思い描いていた接客ができなくなったんです」と振り返る井口さん。そんなときに店を支えてくれたのがスタッフの伊槻さん。井口さんの古巣である自家焙煎コーヒー店の常連だったことが縁で知り合い、今では頼れる相棒に。伊槻さん自身もロースターとして屋号を持ち、個人で豆の販売も手掛ける、いわば同業のタッグだ。心強い味方を得て、店も安定したことで、ドリップバッグやカフェラテベースなどのギフトアイテムも充実していった。
日々、顔を見せるお客のなかには周辺の農家の人も多く、ドライブスルーよろしくトラクターで乗り付けてコーヒーを買っていく姿も、ここならではの風景だ。一方、小中学生にとっても、この店はいまやおなじみの存在。学校や部活の帰りはもちろん、特に土曜は多いとか。子どもたちとは友達感覚で、最新のおもちゃやゲームの話をしたかと思えば、ご年配の方とは野球や健康の話が出たり、日々の話のタネは尽きない。
「自分の地元ということもありますが、お客さんの大らかさに助けられていますね。この曜日に来ると決まっている方もあって、そういう常連さんがいることで、こちらもホッと安心できるんです」。何もなかったこの場所にポツリと現れた小さな店は、今では界隈の拠り所として存在感は大きくなっている。「始めたころは1日5人と思っていたのが、すごい数のお客さんが来てくださるのはうれしい。開店から4年経って、思っていた以上に、店を始めてよかったなと感じます」
井口さんレコメンドのコーヒーショップは「にちにち珈琲店」
次回、紹介するのは、同じ徳島県三好市の「にちにち珈琲店」。
「店主の藤岡さんは、修業先の自家焙煎コーヒー店にいたときの元同僚。開業自体は彼女が先輩ですが、今も妹みたいな存在です。徳島県の最西部にあるお店は、街なかとは違うゆっくりとした空気が流れていて、コーヒーはいつ飲んでもほっとする味わいで、訪ねると元気をもらって帰ってきます。界隈では他にない本格的なロースターとして、地元でしっかり根付きつつあるすてきなお店です」(井口さん)
【クエイル珈琲のコーヒーデータ】
●焙煎機/フジ ローヤル1キロ(半熱風式)
●抽出/ハンドドリップ(ハリオ)、エスプレッソマシン(ラマルゾッコ)
●焙煎度合い/中~深煎り
●テイクアウト/ あり(350円~)
●豆の販売/ブレンド2種、シングルオリジン2種。100グラム600円~
取材・文/田中慶一
撮影/直江泰治
※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。
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