“バズるヒットキャラクター”とは?女子美術大学とソニー・クリエイティブプロダクツの連携企画から生まれたキャラクターを紹介!

東京ウォーカー(全国版)

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週刊漫画誌創刊やテレビアニメの放送開始から50年以上が経ち、今や屈指のキャラクター大国となった日本。テレビや映画にとどまらず、キャラクターを使用することで販売促進やブランディングに繋がったり、イベントやSNSなどさまざまなシーンで活用できることもあり、新しいキャラクターが次々と生まれている。そんなキャラクターをゼロから生み出す過程を学ぶことができる授業が、女子美術大学(東京都杉並区)で実施された。

「女子美術大学キャラクター制作演習授業2024」は、女子美術大学と株式会社ソニー・クリエイティブプロダクツ(以下、SCP)が取り組む産学連携企画の一環で、SCPの担当者が講師となり、授業内で設定された課題に対して学生が制作したキャラクターをプロの観点から講評&ジャッジ。最終審査を経て各賞が決定し、授与式も開催される。

「女子美術大学キャラクター制作演習授業2024 三賞授与式」に出席した皆さん


4コマ漫画や動画制作など、キャラクタービジネス化まで踏まえて提案

女子美術大学×SCPによる「キャラクター制作演習授業」は2023年に第1回が実施され、今年2度目の開催となる。6月下旬~7月下旬にかけて行われた授業では、SCPから出されたテーマ「Z世代をターゲットにした、SNSでバズるヒットキャラクターの開発」に沿って、学生たちはSNSをマーケティングの主軸とした新たなヒットキャラクターの開発を目指した。

各作品への評価ポイントに耳を傾ける女子美術大学の生徒たち

授業内では、参加した学生22名によるキャラクター・プレゼンテーションに対して、SCP担当者がプロの視点で優れている点や改善ポイントなどをアドバイス。女子美術大学・非常勤講師の戸川恵子さんは「この授業の興味深いところは、学生たちの提案作品が、実際世の中に出ていったときにどのように評価されるのか、またコンセプトやテーマの重要性について、実戦に即したプロの厳しい目でアドバイスいただけるという点です。学生たちもSCPさんの期待に応えて、クオリティの高い作品を制作してくれたと感じています」と授業の様子を振り返った。

女子美術大学で非常勤講師を務める戸川恵子さん


「生みの苦しみ」の先に、「育てる喜び」「売れる快感」がある

約1カ月の授業を経て、最終提案されたキャラクターの中から各賞が決定。ビジネス化を想定した視点や総合的なクオリティを評価する「マーケティング賞」、キャラクターデザインやストーリー性のクオリティを称える「クリエイティブ賞」、次世代のヒットキャラクターになる期待感のある作品に贈られる「ネクストブレイク賞」の3部門が設けられ、受賞した6名の学生たちには、自身が制作したキャラクターが刻印された盾が授賞式にて手渡された。

それぞれが制作したキャラクターが刻印された盾

「まくま」でクリエイティブ賞を受賞した野口ことみさん(写真左)と、プレゼンターであるSCPの横関悦⼦さん(同右)。自身のキャラクターが描かれた盾は、一生の宝物になるはず

クリエイティブ賞を受賞した沖津菜奈子さんは、「自分の作ったキャラクターが、ブランド力を保ちつつどんなところに展開していけるのかと考えながら制作していくのが本当に楽しくて…。自分のキャラクターへの愛がどんどん募っていく感じがして、将来クリエイティブなお仕事をやってみたいと思うきっかけになりました。貴重な授業を受けさせていただいて感謝しています!」と喜びを語ってくれた。

「Hug me」でクリエイティブ賞を受賞した沖津菜奈子さん


また、今回の受賞作品についてSCPの担当者からは、「睡眠という誰もが関わりのあるテーマで、LINEスタンプや睡眠アプリといったZ世代もアクションしやすい連動を設定している点がすばらしい」、「tiktokやYouTubeなどでショートアニメを公開するといった今の時代に適した表現方法が活用されていたところが高ポイント」などのコメントがあり、各作品のクオリティの高さを称える場面も。

なかでも、最優秀作品に贈られるマーケティング賞を受賞した石川莉里依(りりい)さん作の「Chill House」の評価ポイントについて、SCPの伊藤弘康さんは「クリエイティブ的にとても素敵なのは見てのとおりですが、やはりキャラクタービジネスというのは競合についての研究や検証は欠かせない。その点で、競合についてもしっかり意識し差別化できていたことが素晴らしかった。また派手に・華美にバズるというのではなく、しっとりじんわり人々の心に入り込んでバズるだろう、と思わせる点も非常によかった」と高評価。

SCPの伊藤弘康さん

その言葉に、受賞した石川さんは「今回、ループアニメーションを採用したのですが、既存のキャラクターや動画とどう違いをつけるかがすごく大変でした。でもそれが評価されてとてもうれしいです」と喜びを隠せない様子で話してくれた。

「Chill House」でマーケティング賞を受賞した石川さん


最後の総評では、SCPの横関悦⼦さんが登壇。「キャラクターをゼロから生み出すというのは非常に難しい作業だったと思いますが、それぞれのプレゼンテーションを拝見しながら、皆さんも笑顔になり、見ている私たちも笑顔になった瞬間がたくさんありました。“好き”を形にしたら世の中の人を笑顔にできるというのがキャラクターの魅力。これからもご自身の“好き”を大切にして、素晴らしいものを生み出してください。いつかビジネスの中で、一緒の船に乗って夢を追いかける日が来ることを楽しみにしています」と結び、参加した22名の学生たちも含めた全員へ労をねぎらった。

授賞式後、SCPの朝倉精吾さんに話を伺うと、「キャラクタービジネスって『野球のドラフト』に近いものがあると思っていて、プロのスカウトマンたちが優秀な選手の中から選抜していくにもかかわらず、ドラフト1位の選手が必ずしも名選手になるとは限らない。どの選手がどう花開くかはまったくわからないのと同じように、時に意図していないところであるキャラクターがバズって人気になっていくみたいな、“わからないおもしろさ”があると思うんです。でも、関わる人の熱意は熱ければ熱いほど熱伝導が高くなり、周囲を巻き込んでバズリの輪は広がっていくはずだし、そういった核となる“熱”の部分を、22名の学生さんたちそれぞれに感じてもらえたのではないかと思う」と、この取り組みの意義を改めて語ってくれた。

SCPの朝倉精吾さん


キャラクター業界において、そうそう人気の新キャラは生まれないのではないかと思いがちだが、女子美術大学・准教授の保高一仁さんは「これまで存在していなかったキャラクターたちが、数週間の間に続々と生み出されていく現場に立ち会い、学生たちにとっては生みの苦しみも多々あったと思いますが、新しいものを作り出していく喜びみたいなものにあふれていた教室だった」とコメント。若きクリエイターたちの想像する力はまさに無限大であり、彼女たちのこれからの挑戦・将来に期待が高まる授賞式となった。

各受賞者のコメント

【マーケティング賞】

女子美術大学の石川莉里依さん

石川莉里依さん◆「Chill House(チルハウス)」
勉強をしたり家事をしたり、忙しい作業に追われる人々に、音楽と共に癒やしを届けてくれる存在として、この作業BGMキャラクターが生まれました。Z世代でよく使われる「チルい(まったりする・くつろぐ)」という言葉をネーミングに取り入れたのもポイントです。既存のキャラクターとの差別化がとても大変でしたが、今回の授業は本当にたくさんの学びのある機会となりました。今後のクリエイティブな活動にもぜひ生かしていきたいと思っています。

「Chill House」には、ふくろうの主人公・チルが、仲間たちとキャンピングカーで美しい音楽を探す旅の様子が描かれている


【クリエイティブ賞】

野口ことみさん(写真左)と沖津菜奈子さん(同右)

野口ことみさん◆「まくま」
現代社会の問題でもある“睡眠不足を解消できるキャラクターを考えました。仕事や課題に追われて、自分の時間を大切にできない時や眠れない夜に、いつでも寄り添ってくれる存在。グッズを考えるのは得意なのですが、4コマ漫画などこれまでやったことのない課題もあったので、今回の授業を通じて自分が得意ではないジャンルにも挑戦でき、レベルアップにもつながったのではないかとうれしく感じています。

まくらとクマが組み合わさった不思議な生き物「まくま」。体はふかふかでよく伸びる。深夜になると少し凶暴な「ブラックまくま」に変身⁉


沖津菜奈子さん◆「Hug me(ハグミー)」
今の世の中はちょっと複雑で、たくさんの情報であふれていると感じたので、頭を空っぽにして愛しさや温かさ、癒やしを感じられるキャラクターを作りました。色合いで“優しさ”を伝えるために、あえて華美な色合いを使わなかったのですが、50パターンくらい色の組み合わせを考えた点が一番苦労しました。今回の受賞をきっかけに、デザインに関わる仕事に就きたいという気持ちがより一層強くなりました。

みんなを温かく包み込んでくれる世界「Hug me」。二人と二体のぬいぐるみの暮らしがほっこり笑顔を届けてくれる


【ネクストブレイク賞】

秋葉星花(ほのか)さん(写真左)と富樫法花(とがしのりか)さん(同中央)、遠竹春華(とおたけはるか)さん(同右)

秋葉星花さん◆「あひるはいつもみている」
「Z世代にバズる」=万人受けするかわいいキャラ?と迷いましたが、私はシュールなおもしろさが好きなので、どの角度から見ても“ちょっとウザい”ということを計算しながら、このあひるを考えました。1回目の提案でSCPさんから「自分の世界観を貫いてほしい」と言っていただけて、それが自信に繋がりました。これからも自分の好きな世界観を大切にして学んでいきたいと思います。

湯船に浮かぶあひるのおもちゃ「アヒル船長」。お風呂タイムにふと気が付くと、アヒル船長にじぃ~っと見られているかも⁉


富樫法花さん◆「ぞうきんわんこ」
“ぞうきん×ワンコ”を組み合わせたこのキャラクターには、「ちょっと汚れているくらいが丁度いい」「完璧じゃなくていい」というメッセージが込められています。イラストや4コマ漫画に使えるエピソードとして“ぞうきんあるある”を考えるのが大変でした。将来的にも新しいキャラクターを生み出す仕事に関わりたいと思っているので、今回の授業はとてもいい経験になりました。

(写真左上から時計回りに)だいぶきわんこ、おそうじわんこ、すみわんこ、えのぐわんこが、人々の生活の中にあふれる汚れをふき取ってくれる


遠竹春華さん◆「百貨店勤務おばけ」
妹のお尻がかわいくて好きなんですが(笑)、お尻でカード決済ができたらおもしろいなと普段から思っていたので、そこに自分のデパ地下でのアルバイト経験を掛け合わせてキャラクターを考えてみました。制作を通じて、自分の実体験が武器になるということを学ぶことができました。妹も「私のお尻が元になったキャラクターが受賞して誇らしい!」と喜んでくれています。ありがとうございました!

百貨店に住み着いたおばけが電子決済機器に進化。(左から)バーコード決済おばけ、カード決済おばけ、レシート印字おばけ。かわいいお尻にも注目!

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撮影=島本絵梨佳
取材・文=水島彩恵

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