【第38回】初代から変わらない味。丁寧にいれたコーヒーの香り漂う「珈琲処カラス」(名古屋・伏見)
東海ウォーカー

1972(昭和47)年創業の「珈琲処カラス」は、名古屋市のオフィス街・伏見にある。伏見通から三蔵(みつくら)通に入ってすぐの場所に位置しており、レンガ造りの趣ある外観が目を引く。こだわりのコーヒーや手作りのランチが味わえることから、近くで働くビジネスマンが集い、最近ではレトロなかわいさを求めて若い女性も増えたという。
長年愛されてきた店を娘さんが受け継ぎ再出発

初代店主が、弘法大師の道しるべになるとも言われる賢いカラスが好きだったことから、名付けられた「珈琲処カラス」。2017年の5月に、初代店主から娘さんが店を受け継いだ。初代店主が体調を考慮して店をたたもうか悩んでいた時、娘さんが決心。「私の会社員時代に、父が私の勤務先までコーヒーを届けてくれたことがあったんです。その時、その場がコーヒーの香りでいっぱいになって、あっという間にそこが喫茶店に変わりました。それが素敵だなと思って」。娘さんが2代目店主となり、新生・カラスが誕生した。

店の看板メニュー「カラスブレンドコーヒー」(400円)は、初代店主が厳選してブレンドしたオリジナルの豆、その名も“カラスブレンド”を使用。大きな布のフィルターを使い、およそ50杯分をまとめて、時間をかけて準備する。それをそのまま提供するのではなく、一晩寝かせておくのがカラス流。「いれ立ては香りがたってそれもいいのだけど、一晩寝かせると味が変わるの」と店主。

実際、飲んでみるとぐっと味が引き締まっている。口当たりはまろやかなのに、キレがあるという感じだろうか。「昔、コーヒーが飲めなかったのだけど、今はすごく好き。上手くいれられた時はうれしいし、お客様に早く飲んでほしい!と思うの」と、新店主はコーヒーに対する愛情にあふれていた。
手間暇かけて手作りしているランチが好評
ランチも「珈琲処カラス」の魅力の1つ。メニューはカレー、オムライス、焼きそばなど。カレーは店主交代によりレシピも変わった。大サイズのタマネギを4個、牛スジ肉をたっぷり使って5時間以上煮込む。タマネギの甘さと牛スジ肉の旨味が合わさって、後引くおいしさ。「ビーフカレー」(600円)は、カツ(+150円)、野菜(+50円)、チーズ(+50円)、ハンバーグ(+150円)の4種類のトッピングを加えることができる。

なかでも店主のおすすめはカツ。人気精肉店から取り寄せた上質な肉を使い、生パン粉をつけて揚げている。「カツはある時とない時があるから、出合えたらラッキーです」といたずらっぽく教えてくれた。「オムライス」(650円)や「焼きそば」(550円)も同じように人気がある。

デザートメニューも1つずつ手作りしていて、「珈琲ゼリー」(450円)はカラスブレンドコーヒーを使用。コクのあるゼリーの上に、ミルクを加えたまろやかな味のゼリーが乗っていて、異なるコーヒーの風味が感じられる。また、観光客に人気なのが「あんトースト」(450円)。どちらもあまり数は多くないので、カツと同様に出合えたらラッキーなメニューだ。
ネオンや古時計。創業時の趣を残したまま歩き続ける

古時計がいくつも掛かっている店内は、創業時からほとんど変わっていない。知人に描いてもらったカラスの絵や、初代店主の友人が定期的に生け替えてくれている花や鉢植えなど、店を愛する人の優しさを随所に感じることができる。


店に入った途端、オフィス街の喧噪から解き放たれるのは、その愛がゆるりとこの空間を流れているからなのかもしれない。現在、店主1人で注文、調理、片付け、会計を行っている。この店の持つゆったりとした時間に浸りながら、のんびり待つのも楽しみの1つ。待った後にいただく、丁寧に作られるコーヒーと食事に心がまたほぐされるだろう。【東海ウォーカー/小玉みさき(エディマート)】
小玉みさき(エディマート)
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