「高校生だったころの日記を参考に」作者のリアルを織り交ぜた映画みたいな淡い恋‼「こんな青春の記憶はミリもないのに共感しかない」の嵐、10万いいね！【著者に聞く】

Xに「はじめて恋人ができた女子高生の話」と投稿されたito(@nanamenoito)さんの漫画「きらきら、あおい」は、現在までに10万いいねがつく(2025年1月22日時点)。1～2話の「付き合う編」は特にキュンキュンする部分が多いが、後半からは付き合い初めのキラキラした時間のその先の日常的なカップルのリアルな恋愛へとシフトする。描写される「一コマ一コマの解像度が高い」と評価が高く、本年度「このマンガがすごい！2025」に選出された。今回は、itoさんに制作の経緯やこだわりについて話を聞く。

世界が輝かしく見えた！好きな人を見ている時間もドキドキしながらお互いの気持ちを確認していく作業も

本作は全2巻完結で、初めての恋の結末は「思い出すときれいなモノに見える」という、眩しかった過去を振り返る漫画である。全編カラー展開で淡い色彩が特徴的。

高校生になった美穂は、早く友達を作らないと、どんどんグループができあがっていくことに焦っていた。そんな中、偶然、前の席になった村田と話をするようになる。数学が得意な美穂は村田と放課後に勉強を教えたり、電話をするようになって少しずつ近づいていく。

必然のように告白をし、付き合うようになる2人。第2話は、付き合い始めたばかりの夏休み。不安な気持ちを抱えながら、初めてのキスと少しずつ進展していく。まるで映画を観ているようなエピソードが散りばめられていて、「こんな青春の記憶はミリもないのに、どうしようもなく懐かしくて泣きたくなる」というコメントもうなずける。

リアルな恋愛エピソードは「実際に私が高校生だったころの日記を参考に」描いた

――「きらきら、あおい」を描くことになったきっかけを教えてください。

もともと2019年にKADOKAWAから出版した「だけどやっぱり彼が好き！」で、似たような高校生の短編を描いていました。その際フォロワーさんから「この2人の続きを読みたい！」との声を多くいただき、しばらくInstagramで自主連載していたのですが、「誰かと作りたいな」と思い、路草(※出版社)にWEB持ち込みをして連載にいたりました。

――高校生の淡い恋が丁寧に描かれていて、第1話からキュンキュンします。制作するうえで大変だったことがあれば教えてください。

高校時代の気持ちを思い出すために、自分が高校生のころに聴いていた曲のプレイリストを流しながら制作していたんですが、それがつらかったです(笑)。音楽って、当時にタイムスリップしたみたいにいろんなことを思い出すので、すごいなと思います。もう、高校時代には戻りたくないです。大人になってよかったです。

――全編カラー展開ですごく贅沢ですね！意識的に色使いなどこだわったところがあれば教えてください。

本作は「10年前の初恋を思い出す」という構成になっているので、記憶の中のような淡い配色を意識しました。苦い思い出も瑞々しい色使いなら、全部きらきらして見えるかなと思い…。

――「このマンガがすごい！2025」に選ばれました。感想はいかがでしょうか？

知らなかったので、雑誌に載っていると聞いてびっくりしました。お世話になった人たちが喜んでくれたのでうれしかったです。

――本作の見どころをお願いします。

「リアルさ」でしょうか。実際に私が高校生だったころの日記を参考にしているのですが、読んだ皆さんが、まるで自分の物語のように感じられるリアルさが魅力だと思います。

―― そのほかにお知らせはありますか？

2月3日(月)まで高知 蔦屋書店で「きらきら、あおい」完結記念の原画展を開催中です。2月中旬からは未来屋書店 高知でも原画展を予定しています。新作漫画の準備も進めていますので、楽しみにしていてください。

「これは、かつてのはじめてを思い出す”あなた”のラブストーリー。」と、見出しに書かれているように、始まった恋は色鮮やかでも環境とともに少しずつ変わっていく2人。付き合い始めのようなドキドキや些細な喜びを失っていくのもリアル。このような恋をした人たちの多くは共感し、胸がギュッと締め付けられるだろう。

取材協力：ito(@nanamenoito)