「ポカリスエット」と「オーエスワン」はどっちがいい?経口補水液の役割とは
東京ウォーカー(全国版)
風邪やインフルエンザ、ノロウイルスなどが流行する時期に備えて、「経口補水液」を常備している人も多いはず。代表的なものでいえば、株式会社大塚製薬工場(以下、大塚製薬工場)が販売する「オーエスワン」がある。
一方で、大塚製薬株式会社が販売するイオン飲料「ポカリスエット」もあるが、両者にはどのような違いがあるのだろうか。大塚製薬工場 OS-1事業部マーケティング部の瀬部直之さんに聞いた。

経口補水液の開発のきっかけは「飲む点滴」
そもそも、経口補水液とはどのような飲料なのか。「感染性胃腸炎になったときや風邪をひいて脱水を起こしたときに飲むといいもの」くらいの認識の人が多いはずだ。
「経口補水液は脱水時に不足している水分と電解質を含み、それらの吸収速度を速めるために少量の糖質(ブドウ糖)が配合された飲料です。脱水症のための食事療法として、世界保健機関(WHO)が提唱する経口補水療法に用いられる飲料でもあります」


経口補水液の摂取は、WHOが提唱する食事療法の一つのようだ。経口補水療法は、特別な医療技術がなくとも、軽度から中等度の脱水症において静脈内に点滴を行う輸液療法と同等の効果を有することが大きなメリットでもある。
「欧米諸国では栄養補給をする場合、まずは経口摂取ができるかどうかを判断し、無理であれば経腸栄養を。それもできないとわかった段階で、静脈栄養を選択するという優先順が確立していました。水分・電解質の補給でも同様に考えられないか検討していたところ、海外では感染性の急性胃腸炎における脱水症に対して経口補水療法が推奨されていることがわかりました」
大塚製薬工場が経口補水液の開発を始めたきっかけは、そうした欧米諸国の状況を知ったことと、当時の経営トップが語った「飲む点滴(飲みやすく、水分・電解質補給ができる製品の意)」という言葉だったそう。
「日本では経口補水療法のガイドラインが十分でないこともあり、経口が難しいとなるとすぐに点滴(輸液)に頼る傾向にありました。こうした状況を変えるために、輸液製剤のラインナップから経口での水分や電解質補給に応用できるものがあるはずだと考え、経口補水液の研究開発に注力するようになりました」
まずは、経口補水液の組成の基本となる成分を配合していくことから始まった。WHOが提唱する経口補水療法の考え方や米国小児科学会のガイドラインを参考にして、成分はナトリウムとカリウムをメインに、細胞内液に配慮した微量のマグネシウムやリン、水分・電解質、腸からの吸収速度を速めるための糖質などをバランス良く配合した。
しかし、それだけでは製品として満足できるものにはならなかった。ここで問題となったのが、「飲みやすさ」。加えて、賞味期限を長くすることや、その間に味が変わらないように安定性を保つことも課題だったという。その後、1000通り以上の組成の組み合わせを試し、飲みやすさと安定性を保つものを見つけ出して、2001年に経口補水液「オーエスワン」が誕生した。

「ポカリスエット」と「オーエスワン」の違い
脱水症状や熱中症などを起こしやすい夏場は、多くの人が経口補水液に注目する。その一方で、汗をかかない冬場は効果を実感していない人もいるかもしれない。
「年中流行している風邪や、冬季になると猛威をふるうノロウイルスなどの感染性胃腸炎は、発熱や嘔吐、下痢が生じ、大量の水分や電解質が体から出て行ってしまうことがあります。こうした状態のときに『オーエスワン』を飲むことで、失った水分や電解質を効率的に補うことができます」
なかには「オーエスワン」よりも「ポカリスエット」のほうが飲みやすいという人も多いはずだ。この2つにはどのような違いがあるのだろうか。
「汗をかいたときや熱中症対策など、日常生活における水分と電解質の補給には清涼飲料水であるイオン飲料『ポカリスエット』が適していますが、特別用途食品 個別評価型病者用食品である経口補水液『オーエスワン』は、感染性胃腸炎、感冒による下痢・嘔吐・発熱などの際に適しています」

「ポカリスエット」は発汗により失われた水分や電解質をスムーズに補給するための“イオン飲料”で、体液に近い成分を適切な濃度で含んだ電解質溶液だ。体内にすばやく吸収されるため、スポーツや仕事のとき、入浴・就寝の前後など、さまざまなシーンで渇いた体を潤すのに適している。
日常生活における水分と電解質補給には清涼飲料水の「ポカリスエット」、軽度から中等度の脱水症には病者用食品の「オーエスワン」という飲み方をすれば、それぞれのよさをより効果的に得られるようだ。
シーンに合わせた飲料を選択することが重要
瀬部さんは「人々の健康維持のための研究を続け、より受け入れられやすい経口補水液を開発し続けている」と語り、その開発の一環で生まれたのが、2022年に販売を開始した「オーエスワン アップル風味」なのだとか。
「オーエスワン」と水分・電解質の補給効果に関与する成分の濃度は同じで、アップル香料を用いて風味を変えた製品だ。経口補水液の塩味を含んだ独特な味が苦手に感じるという人も多いかもしれないが、今後はこうした改良でより多くの人が経口補水液を活用できるようになるだろう。
さらに、ゼリータイプの「オーエスワンゼリー」も開発し、咀嚼や嚥下が難しい状態でも飲み込みやすいようにした。
「ゼリータイプは液体タイプよりも塩味を感じにくいため、味で嫌がるお子様も飲みやすく、こぼれにくい物性になっています。スプーンに乗せてひと口ずつ飲ませるのにも適しています」

2025年1月には、「オーエスワンゼリー」にアップル風味が加わり、新たな選択肢になることが期待されている。
取材・文=織田繭(にげば企画)
※「オーエスワン」は個別評価型病者用食品です。医師・薬剤師等の指導に従ってお飲みください。
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