節約おつまみで私なりの丁寧な暮らし／むぎが氏とワンルーム酒場(12)給料日前のC級グルメ

飲むと言ったらわが家一択……！カクテルコンペティションにて特別賞を受賞し、バーテンダーの経験もあるYouTuberむぎが氏。YouTubeでは連日、晩酌の様子を配信し、「朴訥(ぼくとつ)とした語り口に癒やされる」「手際のいい調理は見ていて気持ちいい」「画面からお酒の味が伝わってくる」など話題沸騰中。お酒を愛し、お酒に愛されたといっても過言ではない彼女による、ワンルームで楽しむ晩酌エッセイ連載。連載第12回は、給料日前に楽しめる節約おつまみをお届け！

給料日前のC級グルメ

「そうだ京都、行こう」。先日そんなノリで母と京都へ旅行に行った。人生初めての清水寺に行き、テレビでよく映るデッキみたいな舞台を間近で見られてテンションが上がった。その流れでおみくじを引いたら凶だった。「草木の枯れしぼむがごとし」「よろこび事すくなし」「望み事かないがたし」………丁寧な日本語で言われると余計心にグサっとくる。何もしてないのに神様に叱られた気分だ。実は凶を引いたのは今年2回目だ。正月に地元の行きつけの神社でおみくじを引いた時も凶だった。今年は慎ましく細々と過ごそう。そう思った京都旅行だった。

今日もCIAの極秘任務を終えて帰宅しながら晩酌を考えるのだが、最近は旅行へ行ったり年始に飲み会をしたりと何かと出費が多い。さらには物価も上がってるらしくこの前見たニュースではキャベツ1玉1,000円で売られていると流れていた。普段は意識してキャベツを買わないけど1,000円という価格になると逆に食べてみたくなる不思議。そんなこともあって給料日前だし、おみくじは凶だったし、慎ましく細々と節約したおつまみで晩酌をしようと思う。

行きつけのスーパーに寄り、まずはもやしを探す。節約料理には欠かせないもやし。30円くらいで買えてなぜこんなに安いのか疑問だ。情熱価格を超えて、もう駄菓子価格。もしキャベツの高騰みたいにもやしが高騰しても1袋150円くらいで買えそうなもやしちゃん。なんかかわいい。ポケモンで初めて現れる野生の敵、ポッポのような親近感がある。そんなもやしを手に取りカゴの中へ入れる。実は私は普通のもやしより、先端に豆が生えている大豆もやしの方が好みなのだが、70円くらいする。大豆もやしはポッポじゃなくて進化したピジョンだな。そんなくだらないことを考えながらもやしコーナーをあとにし、せっかくだからキャベツはいくらになってるのか興味本位で探してみる。しかし玉のキャベツはなく、すでに千切りにカットされて袋に入ってるキャベツしかなかった。1000円キャベツを拝みたかったので少し残念だ。見たところで何か変わる訳でもないが。

今日のおつまみはもやしメインだけど、それだけでは寂しいからチーズを餃子の皮で巻いて焼くおつまみも作ろうと思う。紅生姜もカゴに入れて、餃子の皮コーナーに移動して一番安い皮をカゴへ入れる。餃子の皮は何かと便利で、ケチャップを塗ってその上にトマト・とろけるチーズ・バジルなどを乗せてピザ風にしたり、餃子の皮を何枚かくっつけてハムマヨを包み込めばブリトー風になったり、私は餃子を作る以外の簡単おつまみに利用することが多い気がする。メインの餃子は作るのに手間がかかるから年に1回作るか作らない程度。むしろ最近の冷凍食品の餃子は簡単に作れてめちゃくちゃおいしくて、餃子を食べたくなったら冷凍食品に頼るようになった。ひき肉を包まないなんて餃子の皮からしたら本望ではないだろうが、餃子の皮よ、これが社会で生きるという事なのだ……。

チーズコーナーへ移動し、餃子の皮に包むチーズを選ぶ。QBBの100円くらいで買えるベビーチーズがいいのだが、何かと種類が多い。餃子チーズ巻きは私のおばあちゃんがよく作るおつまみで、プレーンのベビーチーズを使っているらしいのだが、曲者な私は少しだけアクセントを加えたく「ポルチーニ薫る燻製ベーコン入り」を選んだ。ポルチーニがどんな薫りなのかは知らないが価格はお買い得商品とのことでベビーチーズと同じ値段で99円(税抜)だった。セルフレジへ進みお会計を済ませてお城（私のお家です）に帰宅。

お家につき、まずはアルコールを注入したいところだが今日は缶で飲める系のお酒を買わなかったので、少し我慢。ゆっくりおつまみを準備しながらお酒も作っていこう。つまみを作りながらお酒を嗜む時間は、私の人生の生きがいなのだ。まずは、まな板の上に買ったベビーチーズを2つ取り出し、4等分に切っていく。切ったチーズを餃子の皮でくるくる包み込み両端を潰すように閉じ、それを8つ作って準備完了。もう限界なのでお酒を準備します。