「産めないくせに」なぜこのセリフが生まれたのか!?「僕なら妊娠してみるけど」心ない男性の言葉への反撃【作者に取材】
東京ウォーカー(全国版)
「すごい!何回でも読み返しちゃう」「読むのがつらいですが、すごいです!!」「登場人物の表情描写が豊かで、心がえぐられます」と話題のミステリー漫画「仮門」。本日2025年5月29日に第11話がアップされ、物語はどんどん深みを増している。

本作は、10年前に失踪した4歳の娘の行方を追うミステリー漫画だ。作者は2023年2月に「第2回 朝日ホラーコミック大賞」のマンガ部門で大賞を受賞した経歴を持つ鳩ヶ森(@hatogamori)さんである。鳩ヶ森さんに本作について話を伺った。

――今回の話は、麻衣の口から出た「産めないくせに」というセリフがインパクトありました。あのセリフには麻衣のどのような想いが込められているのでしょうか?
このセリフはだいぶセンシティブで、実際に悩んでいる女性も多いなか、フィクションとはいえ使用してよいものかかなり悩みました。作中では山田を「産む性である女性に強く執着している男性キャラクター」として描いており、そんな山田に一番刺さる言葉はやはりこれか…という判断で麻衣に言わせています。麻衣がこのセリフを放つ前に山田は「別の赤ちゃん産んでみたらどうかな」などと無神経な言葉を連発しますが、そういう無神経さへのカウンターとして捉えていただきたいと思っています。
――「産めないくせに」と発したときの麻衣の表情と、背景の満月の演出が印象的でした。複雑な感情が絵に込められていると受け取りましたが、このシーンについて教えてください。
このときの麻衣の表情は自分でも満足のいく仕上がりになりました。七海の件はもちろん、親友である杏美の妊娠とその顛末、目の前の山田への嫌悪感など、それらに心が囚われて逆に感情を失った能面のような顔にしています。ご覧になった方がそれぞれ感じた表情を投影していただけるとうれしいです。
また、麻衣の少しの狂気と、女性のサイクルには切り離せない「月」という存在を背景に配置したのもこだわりポイントでした。

読者からは「深夜に読むもんじゃなかった…」「人間の気持ち悪さで怖気がすごい」「描かれるおぞましい悪意。キャラクタの誰しも“完全な善”とは言えなさそう…」という感想が飛び交っている本作。また、「笑いと恐怖の緩急の鋭利さにも心が持っていかれる」という読者からの感想も届いており、シリアスな展開の中にお笑い要素が組み込まれているのも鳩ヶ森作品の特徴である。
鳩ヶ森さんに尋ねると「主にホラー漫画を描いているのですが、実はギャグ漫画が好きなんです。ギャグとホラーは紙一重で、過剰な笑いは怖いし、極端な恐怖は笑ってしまう、と思っています。なので、笑いの裏に潜む恐怖というようなものを意識しています」とのこと。ところどころで「え?」と目を疑うようなボケも散りばめられているので、そこもチェックしながら読み進めてみよう。
取材協力:鳩ヶ森(@hatogamori)
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