【万博国際交流プログラムレポート／中東編02】青森県三戸町とヨルダン国の交流の様子

いよいよ2025年4月13日(日)に開幕が迫る「2025年日本国際博覧会」(通称：大阪・関西万博)。この大阪・関西万博の開催を前に、そこに参加する国や地域との相互理解や国際交流を通じて、地域の課題解決や活性化を図る取り組みを内閣官房が支援する「万博国際交流プログラム」が実施されている。

日本の参加自治体は、地域住民などと交流相手国の万博関係者や出身者との交流事業を通して、万博の理念や共通の課題等への理解を深めるための事前学習を行ってきた。そこで、この記事では「万博国際交流プログラム」を活用した自治体による、中東各国との交流事業をレポート。今回は、青森県三戸町の取り組みを紹介する。

青森県三戸町とヨルダン交流のきっかけ

三戸町は、オーストラリア連邦タムワース市と2001年に姉妹都市交流締結を行い、その後20年以上に渡り交流を続けている。一方、限定的な取り組みとなっていたことから、オーストラリア以外の国との国際交流への機運が町内で高まっていたという。そのタイミングで「万博国際交流プログラム」の機会を活かそうという方向となり、中東地域への理解を深める好機と捉え、ヨルダン・ハシミテ王国(以下、「ヨルダン国」)を対象としてプログラムへの参画を決めたという背景がある。

ヨルダン国訪問と現地での交流

2025年2月15日～22日に、三戸町から3名が、ヨルダン国を訪問。それに先駆け、2月2日、3日の2日間で、ヨルダン国の治安状況や万博に関する情報を集めることを目的に、JICA本部及び在京ヨルダン大使館との打ち合わせを行った。

その後、15日から現地では、さまざまな方と交流。なかでも17日には、ヨルダン国内の小学校で子どもたちとの交流を図った。今回訪れたのはJICA海外協力隊が派遣されている学校で、音楽や体育の授業時間や休憩時間にJICA海外協力隊の指導のもと、子どもたちと一緒に踊ったり、身体を動かしたりして楽しいひとときを過ごした。ヨルダン国の子どもたちは初めて見るというマジックも披露！笑顔の絶えない国際交流となった。

ほかにも訪問期間中には、Shifa万博担当局長との意見交換をしたり、現地の観光地「ペトラ遺跡」を訪れたりもした。

帰国後は、在京ヨルダン大使館への報告も実施。ヨルダン国万博担当者に加え、在京ヨルダン大使館も、三戸町と一緒に取り組むことについて前向きに考えてくれており、万博会場での具体的な連携についても今後話し合っていくことになるだろう。

今回のヨルダン国訪問ではさまざまな収穫があったというが、その1つは「ヨルダン国の治安状況が安定している」ことを確認できたことだという。三戸町に限らず日本では「中東地域は危険」という印象が強い傾向があるが、現地で感じた印象に加え、邦人保護の責務がある在ヨルダン日本国大使館の方から、今のところ治安が安定していると聞くことができたそうだ。

さらに、今回の訪問にあたり協力していただいたJICA海外協力隊の方々は、訪問団が同校に持参した折り紙やお箸を活用して、訪問団帰国後に日本文化理解講座を開催してくれたという。継続した国際交流を行うという観点からも、現地でフォーカルポイントになる方々に協力を得ることが有用であると実感できたことから、三戸町は今後もJICA海外協力隊と連携して国際交流を行う方向で考えているとのこと。



万博期間中には、ヨルダン国ナショナルデー(5月7日)に三戸町民の万博会場訪問の機会をつくる予定。また、ヨルダン国ナショナルデー以外の日程で、ヨルダンパビリオンでのイベント実施も検討中とのこと。さらに、可能であればヨルダン国出張の帰国報告会を万博会場で開催したいという考えもあるようだ。

万博閉会後も、在京ヨルダン大使館とは定期的に交流して、良好な関係を継続していきたいという意向を持っており、毎年ヨルダン国で開催される「日本まつり」に三戸町から出展することも前向きに検討していくという。また、今後もほかの国際交流プログラムがある場合、ヨルダン国での登録についても検討していくそうだ。

さまざまな国について、さらに知りたいと思ったら万博へ！

ここで紹介した以外にも、「万博国際交流プログラム」を活用して、中東を含むさまざまな国との国際交流を実施した自治体は多数あり、各地でさまざまなイベントが行われた。「大阪・関西万博」は、2025年4月13日(日)〜10月13日(祝)の184日間で開催される。各国の多様な文化に興味を持ったならぜひ万博に足を運んで、さらなる理解を深めてみてはいかがだろうか？

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