食べるだけじゃない! アイヌのサケ利用術

2017年10月20日 19:52更新

北海道ウォーカー

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北海道の秋といえばサケ。道内の川を遡上してくる姿が今も見られますし、家庭ではイクラ(サケの魚卵)を醤油漬けにしたりと、秋の恵みを感じさせる魚です。さて、アイヌもこのサケを様々に利用していました。知られざるその利用法と、自然と共生した暮らしぶりの話です。

秋に1年分を確保した

「シぺ」というのはアイヌ語でサケを表す言葉。意味は「本当の食べ物」です。サケはアイヌ民族にとって食糧として、また衣服などの材料として生活の大事な相棒でした。

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サケは秋、川を遡上してきた時に1年分を確保します。夜のほうが良く獲れ、1シーズンに犬と共に2000匹のサケを確保したおばあさんもいたとか。

アイヌモシリ(人間の世界)で見る動物たちの姿は仮のもの、というのがアイヌの人々の一般的な考えでした。カムイモシリ(神の世界)にいる間は人間と同じ姿をしており、アイヌモシリに来るときには人間に与えるための毛皮と肉をまとって降りてくるとされていました。

そのためヒグマはキムンカムイ、シマフクロウはコタンコロカムイなど呼び名にカムイがつくのが通常です。ただ、シカとサケはあまりにも量が多かったためでしょうか。それぞれを司るカムイはいますが、単体ではカムイとは称されていませんでした。

初漁の前に儀式をおこなった

その年の漁が始まる前にはペッカムイノミという儀式を行って豊漁を祈願します。アイヌの儀式では木で作ったイナウ(木弊)をカムイに捧げます。イナウはカムイモシリ(神の世界)では宝物に変わるとされています。

ペッカムイノミでも大量のイナウを捧げますが、実際の漁の際にもイナウのような形状のイサパキクニという神具を持って行き、サケを叩いて穫っていました。イサパキクニで叩くことでイナウを捧げたのと同じ意味になると考えられていたためです。その年に初めて獲れたサケを神の魚、カムイチェプと呼んでいました。

サケはおやつにもなった

収穫したサケは余さず使われました。まずは食用。煮る、焼く、干す、が主な調理方法でしたが、新鮮なものは氷頭を砕いて白子と和えて食べ、目玉は子どもに人気のおやつでしたし、腎臓はメフンという塩辛にして保存することも。身はオハウ(汁物)の具として食べるのが一般的ですが、屋外に置いて凍らせたルイベも好まれました。

なによりも干せば保存食になります。干したサケはサッチェプと言います。チセ(伝統的家屋)の炉の上にサケが干してあるのを見たことがある人もいるかもしれませんが、毎日の煮炊きで自然に燻されていました。サケは主食の扱いだったので、猟のお供もサッチェプです。いまのおにぎりの感覚ですね。

交易品としても重要だったサケ

サケの皮は衣服や靴の材料として活用されました。

サケは後には交易品としても使われるようになります。日々の生活のため、そして自分たちの手では生み出せないものを手に入れるためにもサケはアイヌの暮らしにはなくてはならないものだったのです。

※アイヌ民族博物館でのガイドツアー、北海道博物館の展示を元に構成。文中のアイヌ関連の用語は、カタカナで表現しているため、実際の発音と異なることがあります。

アイヌ民族博物館 ■住所:白老郡白老町若草町2-3-4 ■電話:0144・82・3914 ■時間8:45~17:00 ■料金:大人800円 高校生600円 中学生500円 小学生350円 ■休み:なし

北海道博物館■住所:札幌市厚別区厚別町小野幌53-2 ■電話:011・898・0466 ■時間9:30~17:00(10~4月は~16:30) ■料金:大人600円 大学生・高校生300円 ■休み:月曜(祝日、振り替え休日の場合は直後の平日)

【北海道ウォーカー編集部】

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