コーヒーで旅する日本/九州編|知識を蓄え、理解した上で自分サイズにフィットさせる。「STELLIUM COFFEE」に生き方のヒントも見る

東京ウォーカー(全国版)

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア

身の丈に合ったベストを

ドリップコーヒー(500円)。丸みのあるカップで香りを強く感じる

デミアさんの行動原理とその流れはこうだ。体験を機にもっと知りたい・学びたいと考える。インターネットや動画サイトなどを活用し、さらに実際に学びを得るためにその場所に行き、情報に触れる。正しい情報と、誤った情報を精査し、必要な知識を身に着けていく。ここまでは基本的にほぼお金はかかっていない。そして、その知識をもとに自身にとって必要なマシン、道具を選んでいく。その際にこれまで行ってきたことが生きてくる。そして、ものや場所など、なにかを選ぶ際には確固たるポリシーがあるのも大きい。

100円ショップで買ったサインを光る看板に

「私はなにかを始める際にローンを抱えたくないという人間です。たとえ少額だとしても借金があれば、返済しないといけないわけで、もしかしたら自分がやりたくないと思っていることも、場合によってはやらなくちゃいけない状況になるかもしれない。純粋にやりたいという気持ちで始めたことにお金という問題が関わってくると、私はきっと楽しめない。だから常に考えているのは、その選択が“自分サイズ”なのかということです」

カフェ営業日は手作りの焼き菓子などデザートも用意

自身が今置かれている状況でベストを尽くすために、知識や技術を身に着け、それを最大限活かしていく。つい近道をしようとしたり、「みんながこうしているから。これを選んでいるから」といった固定観念に流されがちだが、そうじゃない。デミアさんの考え方はコーヒーだけじゃなく、なにかを始めようと考える際に、非常に参考になると感じた。

次のステップは自分なりの焙煎

【写真】自作の焙煎機について、おもしろおかしく教えてくれたデミアさん

驚かされたのは抽出の次のステップとしてコーヒー豆の焙煎に興味を抱き、自家焙煎に挑戦するにあたり、焙煎機まで自ら作ったというエピソード。インターネットや動画サイトで焙煎の仕組みは理解した。ただ、実際にできるかはやってみないとわからない。そんな不確定な要素が多い段階で高価な焙煎機を購入するのはリスクだ。そこで身の回りにある道具を活用して焙煎機を作り、実際に焙煎を始めたというからすごい。

豆売りは150グラムから。基本的にスペシャルティコーヒーを取り扱う

「ヒートガンを熱源に、100円ショップで買ってきたザルをチャフのストレーナーに代用したり、できる限り安価に焙煎機を自作しました。それで焙煎したコーヒーも普通においしかったですし、移動販売ではそのコーヒーを使っていました。ただ焙煎量が増えてくると、なかなかの労力ですし、大変で。そこで思い切ってIHを熱源としたAillio Bullet R1 V2を導入しました。私が今も使っている道具の中で、唯一ちょっと背伸びして手に入れたものかな?」とデミアさんは笑う。

焙煎機はAillio Bullet R1 V2。細かく設定を変えて、よりよい焙煎のロジックを構築しているところだ

そんなスタイルで実店舗を開いた「STELLIUM COFFEE」は、カフェ利用もできるがメインは豆売り。浅煎り〜中煎り程度の焙煎度合いを用意し、常時シングルオリジンを4種ラインナップ。産地や生産処理には特に強いこだわりはないが、できる限り日常的に飲める価格帯の生豆を厳選。どの豆も個性が主張しすぎない、すっきりと飲める焙煎を心がけているそうで、浅煎りの豆は明るくて優しい酸、やや深めの中煎りの豆は余韻の甘みと、幅広い人にフィットする印象を受けた。

古いアパートの1階部分を活用。駐車場は建物の隣に2台分用意している

店があるのは大分市中心部から若干離れており、一帯は会社や住宅が多いエリア。逆にその穴場感が魅力的で、家の近くにこんなコーヒーショップがあったら使い勝手がよさそうだと感じた。デミアさんは明るく、考え方も柔軟なので、彼とおしゃべりするのが楽しみだと通う常連も多い。外国人らしい視野の広さ、視点の違いも楽しみながら、同店のコーヒーを味わってみてほしい。

コーヒーの香り、甘み、酸質の明るさも感じられるラテ(600円)


デミアさんレコメンドのコーヒーショップは「日曜日の昼さがり」

「大分県別府市にある『日曜日の昼さがり』さん。店長の丁子さんは移動販売しているときに知り合い、それから親交があります。とても人当たりのいい好青年で、コーヒーはもちろん、彼が手作りするケーキも人気があります。大きな木のテーブルなど、店内のインテリア、雰囲気もステキですよ」(デミアさん)

【STELLIUM COFFEEのコーヒーデータ】
●焙煎機/Aillio Bullet R1 V2
●抽出/V60(HARIO)
●焙煎度合い/浅煎り〜中煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/150グラム1300円〜


取材・文=諫山力(knot)
撮影=坂元俊満(To.Do:Photo)

※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

  1. 1
  2. 2

この記事の画像一覧(全15枚)

キーワード

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

花火特集

花火特集2025

全国約900件の花火大会を掲載。2025年の開催日、中止・延期情報や人気ランキングなどをお届け!

CHECK!2025年全国で開催予定の花火大会

おうちで金麦花火セット

夏休み特集2025

夏休み特集 2025

ウォーカー編集部がおすすめする、この夏の楽しみ方を紹介。夏休みイベント&おでかけスポット情報が盛りだくさん!

CHECK!夏祭り 2025の開催情報はこちら

おでかけ特集

今注目のスポットや話題のアクティビティ情報をお届け

アウトドア特集

アウトドア特集

キャンプ場、グランピングからBBQ、アスレチックまで!非日常体験を存分に堪能できるアウトドアスポットを紹介

ページ上部へ戻る