コーヒーで旅する日本/九州編|知識を蓄え、理解した上で自分サイズにフィットさせる。「STELLIUM COFFEE」に生き方のヒントも見る
東京ウォーカー(全国版)
身の丈に合ったベストを

デミアさんの行動原理とその流れはこうだ。体験を機にもっと知りたい・学びたいと考える。インターネットや動画サイトなどを活用し、さらに実際に学びを得るためにその場所に行き、情報に触れる。正しい情報と、誤った情報を精査し、必要な知識を身に着けていく。ここまでは基本的にほぼお金はかかっていない。そして、その知識をもとに自身にとって必要なマシン、道具を選んでいく。その際にこれまで行ってきたことが生きてくる。そして、ものや場所など、なにかを選ぶ際には確固たるポリシーがあるのも大きい。

「私はなにかを始める際にローンを抱えたくないという人間です。たとえ少額だとしても借金があれば、返済しないといけないわけで、もしかしたら自分がやりたくないと思っていることも、場合によってはやらなくちゃいけない状況になるかもしれない。純粋にやりたいという気持ちで始めたことにお金という問題が関わってくると、私はきっと楽しめない。だから常に考えているのは、その選択が“自分サイズ”なのかということです」

自身が今置かれている状況でベストを尽くすために、知識や技術を身に着け、それを最大限活かしていく。つい近道をしようとしたり、「みんながこうしているから。これを選んでいるから」といった固定観念に流されがちだが、そうじゃない。デミアさんの考え方はコーヒーだけじゃなく、なにかを始めようと考える際に、非常に参考になると感じた。
次のステップは自分なりの焙煎

驚かされたのは抽出の次のステップとしてコーヒー豆の焙煎に興味を抱き、自家焙煎に挑戦するにあたり、焙煎機まで自ら作ったというエピソード。インターネットや動画サイトで焙煎の仕組みは理解した。ただ、実際にできるかはやってみないとわからない。そんな不確定な要素が多い段階で高価な焙煎機を購入するのはリスクだ。そこで身の回りにある道具を活用して焙煎機を作り、実際に焙煎を始めたというからすごい。

「ヒートガンを熱源に、100円ショップで買ってきたザルをチャフのストレーナーに代用したり、できる限り安価に焙煎機を自作しました。それで焙煎したコーヒーも普通においしかったですし、移動販売ではそのコーヒーを使っていました。ただ焙煎量が増えてくると、なかなかの労力ですし、大変で。そこで思い切ってIHを熱源としたAillio Bullet R1 V2を導入しました。私が今も使っている道具の中で、唯一ちょっと背伸びして手に入れたものかな?」とデミアさんは笑う。

そんなスタイルで実店舗を開いた「STELLIUM COFFEE」は、カフェ利用もできるがメインは豆売り。浅煎り〜中煎り程度の焙煎度合いを用意し、常時シングルオリジンを4種ラインナップ。産地や生産処理には特に強いこだわりはないが、できる限り日常的に飲める価格帯の生豆を厳選。どの豆も個性が主張しすぎない、すっきりと飲める焙煎を心がけているそうで、浅煎りの豆は明るくて優しい酸、やや深めの中煎りの豆は余韻の甘みと、幅広い人にフィットする印象を受けた。

店があるのは大分市中心部から若干離れており、一帯は会社や住宅が多いエリア。逆にその穴場感が魅力的で、家の近くにこんなコーヒーショップがあったら使い勝手がよさそうだと感じた。デミアさんは明るく、考え方も柔軟なので、彼とおしゃべりするのが楽しみだと通う常連も多い。外国人らしい視野の広さ、視点の違いも楽しみながら、同店のコーヒーを味わってみてほしい。

デミアさんレコメンドのコーヒーショップは「日曜日の昼さがり」
「大分県別府市にある『日曜日の昼さがり』さん。店長の丁子さんは移動販売しているときに知り合い、それから親交があります。とても人当たりのいい好青年で、コーヒーはもちろん、彼が手作りするケーキも人気があります。大きな木のテーブルなど、店内のインテリア、雰囲気もステキですよ」(デミアさん)
【STELLIUM COFFEEのコーヒーデータ】
●焙煎機/Aillio Bullet R1 V2
●抽出/V60(HARIO)
●焙煎度合い/浅煎り〜中煎り
●テイクアウト/あり
●豆の販売/150グラム1300円〜
取材・文=諫山力(knot)
撮影=坂元俊満(To.Do:Photo)
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