「楽しみながらケアをしてほしい」クラシエが更年期の女性向けサブスクサービスを始めた理由とは?
東京ウォーカー(全国版)
一過性で終わらせないためのサービス作り。企業からも熱視線
更年期に特有の不調というと、ホットフラッシュ(ほてり、のぼせ、発汗)やイライラするといった症状が有名だが、日本産婦人科学会によれば21項目もの症状があり、眼が疲れやすい、肩や首が凝りやすいといった身体的な症状もあれば、くよくよしやすい、音に敏感といったメンタル的な症状もあるという。
「更年期のお悩みにどんなものがあるのか深掘りしていったときに、私自身も驚くほどさまざまな症状があるということを知りました。更年期世代の方もそのことをご存知なく、ホットフラッシュやイライラするといった症状がないから、自分には更年期による症状の心配はないと考えられている方も多かったです。しかも、更年期症状は個人差がすごく大きくて、なかなか人と比べられないということもわかりました。また、眼が疲れやすいとか肩が凝るという症状は更年期以前からそういったことがあると、更年期の影響で悪化しているのか、純粋な加齢のために悪化しているのかわかりづらいということもあります。更年期の影響からくる症状だと自分では気づきにくく、不調に対しての対処が進んでいないという印象を受けました」
人それぞれの悩みに合わせたケア方法を提案するサービスでなくてはいけない。そう考えた飯田さんは、「バランス状態チェック」という仕組みを作り上げた。漢方理論と世界の伝統療法を融合させて独自に設計した15の質問に回答することで、その人の心身のバランス状態がわかるというものだ。
「漢方など専門的な知識がなくても自分にぴったりの商品が届くようなシステムにしたかったのです。そこで、ECサイト上で自分の状態をチェックしていただき、それぞれのタイプに合わせてこちらで商品を組み合わせてご提供するのがいいと考えました。また、食事でのケアは一回それを食べれば改善できるというものではありません。長く続けていただく必要があるので、サブスクの形にしました。かつ、主食を変えることは難しいと思うので、スープとお茶という生活に取り入れやすく、温かい水分の補給を無理なく習慣化できる形状を採用しました。バランス状態というのは体質とは異なるので、その時の環境や季節、ストレスのかかり具合で変わります。同じ人の中でも不調の状態は変化するので、その人の“今”の状態に合わせた商品を提供できるように、『バランス状態チェック』は都度できるようにして、その度に商品の組み合わせを変えて提供するという形にしています」
バランス状態チェックの仕組みづくりには会社の財産が生きた。
「『Fun to Me』のサービスを提案している時に、薬品事業の経験がある人が過去に構築した仕組みを教えてくれました。20年以上前にタイプ判定の仕組みを作って特許もとれていましたが商品化には結びつかなかったものがあり、それを活かせないかと。それは更年期向けではなかったので、更年期向けにアレンジはしましたが、ベースにその仕組みが使えたので、より早くサービスをローンチすることができました」
スープやお茶に使う和漢素材についても薬品事業の人たちからサポートを受けられたそう。

「更年期不調は単純に女性ホルモンが減少するから、ということではなく、脳が卵巣に対して女性ホルモンを分泌するように指示を出しているのに、卵巣の機能が低下しているせいで、指令にうまく応えられず、女性ホルモンが分泌されないことに脳がパニックを起こして自律神経が乱れてしまうというのが大きいんです。自律神経は体のあらゆる機能に影響しているものなので、心身にさまざまな不調が現れることになります。では、自律神経を整えるために有効なことはというと、血流をよくすることです。そうすると、水分の巡りもよくなるので、スープやお茶を養生食として提案しようということになりました。スープやお茶にどういった具材を入れるかはバランスチェックの仕組みを考案したメンバーと一緒に検討していきました」
スープやお茶といった食品だけではなく、LINEで月に4〜6回の健康アドバイスが届くというのも「Fun to Me」の特徴だ。

「単純に食事を変えただけでは健康状態を維持するのはなかなか難しいです。睡眠だったり、運動だったり、生活習慣を整えていただく必要があると考えたときに、その人の状態に合わせたアドバイスが届くようにしようと考えました。『バランス状態チェック』では、3つの軸でその人の状態を判定しています。エネルギーが不足しているか過剰かを見る“虚”と“実”。水分が体内に溜まりすぎているか、不足しているかを見る“湿”と“燥”。そして、熱がこもりやすいか冷えているかを見える“熱”と“寒”です。クラシエでは年に4回、累計で9000人以上のアンケートをとっていて、どの状態の人にどんな更年期症状が出やすいかを把握しているので、タイプに合わせた健康アドバイスを的確に提供できるようにしています」
ECサイトで行ったバランス状態チェックの内容を、LINEと連動させてアドバイス提供をしているが、サービス開始当初は都度ユーザー自身にLINE上で知りたい不調の内容を選んでもらい、それに合わせてアドバイスを送るようにしていた。現在は、アンケート結果に基づき、タイプ別に現れやすい不調に対するアドバイスが自動的に届くようにしている。
「毎月不調の内容を選んでもらっていたのですが、選ぶこと自体が負担だったようで…。あまりちゃんと選んでいただけない事例が出てきてしまいました。選んでもらわないとアドバイスが送られない仕組みだったので、サービスが十分に提供できていないことに。そこで、こちらからタイプに合わせてアドバイスを送れるようにしました。『Fun to Me』はお客様と直接やりとりできるサービスなので、お客様の反応を見ながらよりよい形に対応しています」
体によいものだとしても、味がわからない状態ではサブスク契約と購入をためらってしまう人も多いのではないだろうか?


「そうした人向けに全種類を試せるトライアルキットの販売も昨年10月より行っています。漢方では自分がおいしいと感じるものが、体が欲しているものとする考えもあるので、バランスチェックの判定のみに依らずにご自身の食べたいものを食べることができますし、一度試すことで安心して継続していただけると思います。『Fun to Me』というブランド名には『楽しみながら自分をケアしてほしい』という思いも込めているので、そのためにもお茶もスープも絶対おいしくないといけないと考えています。スープはフリーズドライにして素材のおいしさを感じられるように、お茶も素材ごとに焙煎時間と焙煎温度を変えて、最後にミックスすることで、えぐみが出ないように調整しています。それから、試飲ができるイベントも積極的に行っています。今でしたら5月4日(祝)まで行なっているイベント『ITOCHU Femtech Junction!』で無料の試飲会を、4月29日(祝)は東急プラザ銀座で試飲と販売を行いますので、ぜひ試していただきたいです」
伊藤忠商事では社員向けに朝型軽食の提供も行なっているが、そこに「Fun to Me」が採用されている。


「伊藤忠商事様をはじめとして、さまざまな企業からお声がけをいただいています。女性活躍に期待し、社員の健康促進に力を入れる企業が増えたということだと思っています。そんな中、女性の更年期ケアという点では選択肢が少なく、医療機関を利用するほど深刻ではないけれど、まずはセルフケアで手軽にできることはないかということで、『Fun to Me』を求めてくださっているのではと感じています。『Fun to Me』は直接お客様とやり取りをするBtoCを念頭にサービスを作っていたので、BtoBにも幅広く対応ができるように今後取り組んでいけたらと思っています」
「Fun to Me」は更年期前の年代から取り入れるのも効果的だと飯田さんはいう。
「PMS(月経前症候群)に悩んでいる方も多いかと思います。女性ホルモンの変動が不調の原因という点では似ているんです。PMSがひどい場合は更年期でも同じような症状が出やすいと言われています。また、産後のホルモンバランスの乱れなども同様なので、更年期以前の方にも『Fun to Me』を取り入れていただいて、ケアをしていくのは有効だと思っています」
日々の生活に取り入れやすく、続けやすいように作り上げられた「Fun to Me」。女性のライフステージを支えるサービスとして今後の拡大に期待したい。
取材・文=西連寺くらら
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