海外からも熱視線!今注目のキャラクター「のこのこ うちのコ」の プロデューサーが語るその魅力と可能性とは?
東京ウォーカー(全国版)
のこのこと家にやってきた手のひらサイズの“ふくの神”が、気づいたら勝手に家に住みついていて、気の向くままに暮らしているというコンセプトと、癒やし系作画のかわいさがウケて、今、キャラクター業界で大注目の「のこのこ うちのコ」。クリエイターのいじまさおりさんを発掘したのは、ソニー・クリエイティブプロダクツでインキュベーション本部IP開発部プランニングオフィスに所属する田中春奈さんだ。いじまさんが生み出す独特のキャラクターがどのようにして誕生し、どんな魅力を持っているのか。「のこのこ うちのコ」のプロデューサーを務める田中さんに、その背景や今後の展望について話を聞いた。


いじまさおりさんの才能との出会いはSNSから
――いじまさんがキャラクターを制作するようになったきっかけを作ったのが、田中さんと聞きました。
はい。いじまさんの作品と出会ったのは、SNS上での投稿がきっかけでした。当時、キャラクター開発に携わるIP開発部に所属していたので、新しい才能を発掘するためSNSを日々チェックしていたんです。Instagramに投稿されていた、かわいらしさとシュールさが共存する独特なイラストに目を奪われました。タッチも非常にユニークで、デジタルなのか手描きなのか判別できないほど完成度が高く、いじまさんの作品が自然と何度も目に留まったんです。

この作品は一過性のものではないと確信し、すぐにいじまさんに声をかけさせていただきました。いじまさんもまた、自身のキャラクター制作に対して強い意欲を持っていたこともあり、お互いの思いが一致して「のこのこ うちのコ」のプロジェクトがスタートすることになりました。

プロデューサーから見た「のこのこ うちのコ」の魅力とは?
――御社ではいろいろなキャラクタービジネスを手掛けていると思いますが、「のこのこ うちのコ」のどんなところが人々を引き付けるのだと思いますか?
「のこのこ うちのコ」の大きな魅力は、見る人の心を和らげる、優しい世界観ではないでしょうか。“癒やし”“ユーモア”“シュールさ”の絶妙なバランスにあると思います。いじまさんご自身がいつも「ポジティブな気持ちを届けたい」とおっしゃっているのですが、まさにそれを具現化した、見る人にほっとする安心感を与えるコンテンツになっていると思います。



絵の細部までこだわり抜かれていて、例えば、キャラクターの背景に描かれた本の背表紙のタイトルなどにもシュールな要素が散りばめられている。プロの視点でも、その描き方がわからないほどレベルが高いんです。弊社の中には、いじまさんのことを“デジタルゴッホ”と呼ぶ人がいるほどです(笑)。また、「のこのこ うちのコ」は言葉を発しないノンバーバルなキャラクターであることも特徴のひとつ。言語の壁を越え、視線や表情、仕草で心情を伝えるスタイルが、海外のファン層にも深く響いていると思います。


――「のこのこ うちのコ」は海外からも注目を集めているそうですが…。

2025年の4月、世界のいろいろな国や地域からさまざまなコンテンツをもつライセンサーが出店する「香港国際ライセンシングショー」に、「のこのこ うちのコ」はブースを出展したんです。限られたスペースではありましたが、キャラクターのイラストを大きく掲示し、視覚的に目立つブース作りを心がけました。


このイベントは企業同士の商談を目的としたB to Bの場なのですが、来場者からは「かわいい」「見たことがないけど、すごく好き」といった反応を多くいただいたようで、海外事業本部からは「業界関係者からも非常に高い評価を得られた」との報告を受けています。日常の中のささやかなシーンを切り取ることで、多くの人が共感しやすい、その普遍性こそが、「のこのこ うちのコ」が持つ“世界に通じる力”だと思います。

SNS動画が大ヒット!「のこのこ うちのコ」が目指す未来とは?
――お話を伺っていると、「のこのこ うちのコ」はキャラクター事業としてとても順調に感じますが…。
いいえ、「のこのこ うちのコ」のSNSは2022年に立ち上げましたが、フォロワー数は1万人前後で、しばらく低空飛行が続きましたね…。それでもいじまさんは、コツコツと投稿を続けてくれていて。私が担当するほかのキャラクター事業からのヒントを得て、ある時、Instagramのリール機能を活用した動画投稿を導入したんです。そのことで、状況が一変しました!静止画では伝えきれなかったキャラクターの魅力を動画で表現することによって、多くの人の心を射止めることができた、まさに“バズった”瞬間でした。

これが動画になると…
家主が仕事に行くのを、マフィンが目をうるうるさせて見送っている…、ただそれだけですが、多くの人の心を鷲掴みにしたのだと思います。この動画は現在271万回以上再生されています。これがバズったおかげでフォロワーも着実に増えており、現在、「のこのこ うちのコ」のInstagramフォロワー数は3.5万人になりました。いじまさんとは「目指せ!10万人」と話しています。
――地道に続けたいじまさんの活動と、それをサポートする田中さんたちのアイデアが合わさってヒットにつながったのですね。今後はどんな展開が待っているのでしょうか?
これまでは、うちのコを “見て楽しむ”だけでしたが、“手に取って楽しむ”ことができるような商品展開を進めていきたいと考えています。海外事業部からも「海外では『ブラインドボックス(※)』形式のおもちゃが人気を博していて、開封時のワクワク感がSNSでも話題となっている」という声があり、カプセルトイやフィギュアも合うのではないかと検討しています。
(※)購入するまで中身が見えないパッケージに入った商品

かわいらしさの中にユーモアとシュールさがあり、誰もが気軽に楽しめる一方で、じっくり味わうと奥行きも感じられる――。自分の生活空間にこの子たちがいたら楽しいと思いませんか?そんな想像をかき立てるような存在に「のこのこ うちのコ」のキャラクターたちを育てていきたいですね。見る人を癒やし、笑顔にしてくれる。そして、言葉を超えて共感を生むキャラクターたちを、これからもたくさんの方に知っていただけるよう、丁寧に届けていきたいと思っています。

取材・文=近藤鈴佳、水島彩恵
撮影=島本絵梨佳
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