18時間寝て、深夜2時に起きた日「何もしなかった罪悪感」を失くそうとケーキを焼く。「一人じゃない」想いを込めたエッセイ漫画【作者に聞く】
東京ウォーカー（全国版）
起きたら深夜2時。18時間も眠っていた。一日を無駄にしてしまった…と、罪悪感を覚えてしまう。そんな気持ちを払拭するように、ゆっくりとお菓子を焼く。「生きているといろんなことがあってくたびれてしまいますが、適度に休憩を取りながら、一緒に生きていきましょう」。そんな想いで描かれている、Xで大人気の漫画家・午後さん(@_zengo)の『眠れぬ夜はケーキを焼いて』を紹介するとともに今回は午後さんにインタビュー。コミックエッセイ本が多くの人を魅了する理由とは？
ある日は3時間睡眠、またある日は18時間以上寝てしまうこともあって…
『眠れぬ夜はケーキを焼いて』は、重版出来の人気のコミックエッセイ。今、電子版が人気だが、午後さんのファンは「手元に残しておきたい」と書籍を選ぶ。そこには午後さんの「真夜中に独りぼっちになっている人と、リアルタイムでお話ししたいという願いを込めています。本に残しておけば、いつでもどこにいても誰でも、ページを開いていただければお話しができると思っています」と、本書に込めた想いが読者に届いているような気がする。
本書の制作の経緯を聞くと、「自分の中の世界観といいますか、大切に持っているものがあるのですが、(これって何かの表現に落とし込まないと、私が死んだら永遠に失われてしまうのか…！)と気づき、なら描かないと！と思ったことがきっかけです」と、午後さんは話す。
昼間に寝て、起きたらもう真夜中。1日何もしなかった罪悪感から「とりあえずケーキでも作るか」と立ち上がる。頭の中が整理できない状態では、ただ混ぜるだけの簡単なスポンジケーキがおすすめ。クッキングシートのカット方法やオーブンに余熱を入れるタイミング以外にも、調理器具を片付けるといい時など、普通のレシピ本には書かれていない些細なところまで描かれるのが、本書の特徴。
「コミックエッセイってけっこう斜め読みしてしまうことが多いのですが、この本は文章一字一句しっかり読み込んでしまいます」と、チルアウトする時間のお供に読者から高い人気を集めている。午後さんがこだわっているところは、「『のびのびとした線画』と『画面の余白』」だという。「特にコマの中に情報を詰め込み過ぎないようにしています。元気があまりないときは、情報量が多いと疲れてしまうので…」
本書は3巻まで発刊。描き続けることで起きた変化は、「年齢を重ねたことも要因としてあると思いますが、以前より少し落ち着いたと思います。自分の小さな頭で考えたことよりも、もっとずっと尊いものが世界や自然の中にあると気づいたといいますか、描くことに対するギラギラとしたがむしゃらな姿勢は少なくなったと思っています」。眠れなくて不安な夜、どうやって過ごせばいいか悩む人にもおすすめしたい。「生きていると本当にいろんなことがあってくたびれてしまいますが…適度に休憩を取りながら、一緒に生きていきましょうね」と、午後さんはメッセージを寄せた。
取材協力：午後(@_zengo)
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