高橋一生が“運慶展”広報大使に「“人間の先に仏がある”というところに運慶の魅力がある」

東京ウォーカー(全国版)

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東京国立博物館 本館特別5室で2025年9月9日(火)より、特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」が開催される。鎌倉時代を代表する仏師・運慶の一門による傑作、奈良・興福寺の国宝7軀のみで構成される展覧会だ。

本展覧会の広報大使と音声ガイドナビゲーターを務める高橋一生さんが、運慶作品の魅力や運慶展に期待していること、古都・奈良への想いなどを語ってくれた。

特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」で広報大使と音声ガイドナビゲーターを務める高橋一生さん撮影=三橋優美子


仏像の背中を見られる機会はなかなかない「好きな視点で像を捉えいただきたい」

――運慶展の展覧会広報大使、音声ガイドナビゲーターのお話をいただいたときはどのような心境でしたか?

【高橋一生】昨年お仕事で奈良を訪れたときに、なんとなく自分にとって縁が深まるような地になりそうな予感がしたんです。そのあと今回のお話をいただいたので、とてもうれしく思いました。

――昨年お仕事で行かれたのは法隆寺でしたが、今回は奈良の興福寺北円堂の展示になります。古都・奈良に対する印象や想いをお話しいただけますか?

【高橋一生】奈良は日本人特有の感覚を大事にしているといいますか、外から入ってきたものをまず受け入れ、そして醸成していく、そんな印象を持っています。それはとても素晴らしいことだと感じて、昨年のお仕事を通してあらためて奈良が大好きになりました。

――今回、弥勒如来坐像、無著・世親菩薩立像、そして四天王立像と7軀の運慶作品が展示されます。高橋さんの思う“運慶作品の魅力”を教えていただけますか?

【高橋一生】運慶以前の仏像というのは、神秘性を抽象化した仏様の彫り物が多かったと聞きますが、運慶一門は骨格から何からすべてを彫っていたそうで、写実的な表現とデフォルメによる象徴性を両立させながら“人間をちゃんと彫ろうとした”ところに気概を感じました。“人間の先に仏がある”という感覚を大事にしていたところに運慶の魅力があるような気がします。

【写真】運慶の魅力について語る高橋一生さん撮影=三橋優美子


――特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」は、鎌倉復興期の興福寺北円堂を再現した展示や、約60年ぶりに東京で公開される弥勒如来坐像など見どころがたくさんあります。高橋さんが本展に期待していることは何でしょうか?

【高橋一生】本来はお寺に展示されている像を美術館の中で見られる寺外公開は、とても意味があると思います。今回、光背(仏像や神像の背後に表される、光を形にした装飾)がない状態で展示されるそうで、360度どこから見ても遮るものがない。それはとても貴重だと思います。

――お寺ですと正面か横から見られることはあっても後ろから見る機会はないですよね。

【高橋一生】仏像の背中を見られる機会はなかなかないので、ぜひご自身の好きな視点で像を捉えいただきたいです。きっとおもしろい体験ができると思います。

撮影=三橋優美子


仏像には“願い”や“祈り”が込められている「そういった空間を体感していただきたい」

――6月に行われた会見では『仏像を鑑賞するというよりも、お像と向き合い、祈りの空間を体感するような機会になるのではないか』とコメントされていました。

【高橋一生】以前お像と向き合ったときに、不思議とこちらが見られている感覚になったのですが、それは仏像の存在感のようなものに圧倒されてしまったからなのではないかと、そんな風に感じました。実際にお寺を訪れると、入り口からの動線や仏像と人間が対峙する位置、仏像の配置にいたるまで、すべての空間が計算された設計になっていて、そこに感動させられます。

もしかしたら昔の時代の人々にとってお寺で仏像を鑑賞することは、現代のアトラクションに近い感覚だったのではないかと。運慶展もそのような空間になることを期待しています。

撮影=三橋優美子


――仏像が半眼なのは、半分は外の世界を見て、もう半分は自分の内面を見つめるという意味があると聞いたことがあります。以前お寺で仏像から語りかけられたような不思議な感覚になったことがあるのですが、高橋さんはそういった不思議な体験はありますか?

【高橋一生】学生のころ、朝礼で校長先生の言葉に集中しすぎて、校長先生以外の人間が見えなくなったことがあるんです。なんというか…僕の目には校長先生だけがクリアに映っていて、周りがすべて緑っぽく見えるという不思議な現象が起きまして。

そのときに“校長先生のオーラすごいな…”と思った記憶があります。ある仏像を見たときにも同じ感覚になったので、人型的なものは気配やオーラを放つんだなと実感して。立体的なものには何かが宿るのかもしれませんね。

――仏像は人が彫ったものなので、彫った人の魂や思想などが宿るような気もします。

【高橋一生】たとえば古着を着てもそういった感覚にはなりませんが、誰かが遺した立体的な遺物には念が込められている気がします。なかには触れてはいけない悪いものもあるかもしれませんが、仏像に関しては“救済を求めるもの”として作られていたはずなので、“願い”や“祈り”のようなものが込められているのではないかと。今回の運慶展もそういったことが感じられる空間になっていると思うので、ゆっくりと体感していただきたいです。

撮影=三橋優美子


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