マツキヨココカラ&カンパニーのPB商品はなぜ「デパコス級」「プロ仕様」と話題に?カギは“1.6億の顧客接点”にあった
東京ウォーカー(全国版)
マツモトキヨシとココカラファインを展開するマツキヨココカラ&カンパニーのPB(プライベートブランド)は数々のヒットアイテムを生み出しており、高機能コスメ商品は「デパコス級だ」、洗剤などの日用品は「プロ仕様だ」と、ユーザーを驚かせている。購入者のニーズを把握した、こうしたアイテムは一体どのように生み出されているのだろうか?商品開発担当者に話を聞いた。

マツキヨココカラ&カンパニーの担当者に直撃インタビュー!
今回、話を伺ったのは、マツキヨココカラ&カンパニーグループでPB開発に取り組んでいるMCCマネジメント 商品統括本部 商品開発部 商品開発課 次長 薬剤師 櫻井壱典さん。
――近年、小売業界でPBの存在感が増しているように感じますが、PBの魅力は、どのような点にあるとお考えですか?
【櫻井さん】巷では節約志向を背景に開発されているPB商品などもあると思うのですが、当社では“価値のあるものを”という意識で商品を開発しており、そこが好評を得ているところかなと思います。お客さまにはやはり、価格以上に品質や付加価値がないと選んでいただけないと思うので。コストパフォーマンスを重視しつつ、ナショナルブランドにない、新たなマーケットを創出するようなものをいかに提供していくか…というところ、また、“SNSでバズる”“情緒的な価値がある”ものなども気にしながら開発していて、お客さまにはそこをご支持いただいているのかなと考えています。
――マツキヨココカラ&カンパニーのPBでは、化粧品や医薬品をはじめ、日用品、食品など幅広く商品をそろえられていますが、注力されているものを教えてください。
【櫻井さん】我々は“日本一、化粧品を販売している”グループということもあり、特に化粧品や健康食品に関しては力を入れています。
――化粧品といえば、これまでに数多くの高機能コスメ商品を開発されていますが、商品化を実現するためにどのようなことをされているのでしょうか。
【櫻井さん】高機能コスメ商品を開発できる理由として、3つのポイントがありまして、1つめは、プロモーションにかけるコストがかなり抑えられている…ということ。当社は、従来のカード会員のほか、アプリ会員、LINE友だち追加機能などで、さまざまなお客さまと接点を持っています。総数では1億6000万を超える顧客接点があるんですね。そこを通じて、たとえばアプリでプッシュしたり、LINEで配信したり…など、そういうところでプロモーションできるのと、オウンドメディアを持っているということもあって、プロモーションにかけるコストがかなり抑えられているんです。そこに対して費用を割かない分、なにに費用を割くかというと、コスメの中身の設計や成分です。
高濃度ナイアシンアミド配合のスキンケアブランド「matsukiyo W/M AAA(ウィズ メソッド トリプルA)」などは、「デパコスの処方設計?」とSNSに上げてもらい、一気にバズったりしました。

そして、3つのポイントの2つめは、先ほど話した1億6000万を超える顧客接点から得た購買データを分析し、どのようなお客さまが商品を購入していて、そのお客さまはどのような価値観を持った方なのか…ということをリサーチしている点になります。たとえば、この商品を買う方は「美容感度がかなり高い」とか「SNSの情報に対して敏感」とか。すべての商品において、こうした“意識スコア”を設定して分析しているのですが、これらの分析から当社のPB商品のユーザーは「美容感度が高い方が多い」ということがわかっているので、そのニーズに合致する商品を…ということで開発しているんです。
そのようなデータ活用は、「新しいお客さまを捉えていこう」ということで、メーカーさんと共有しながら、コラボ商品の開発にも活かしています。実は、コーセーさんやマンダムさんとも共同開発しているんですよ。当社の購買データから得た高度な分析結果と、ナショナルブランドメーカーさんの技術力を掛け合わせたものを作っているんです。


ポイントの3つめは、当社の独自の仕組みを活用しているところ。商品企画に関わりたい店舗従業員が参加している「PBアイデア創出コミッティ」というものがありまして、そこでは、日々お客さまと接し、ニーズを把握しているスタッフたちが、チームを作って企画を出し合っているんですね。女性特有の悩みに寄り添うフェムケアに特化したPB「matsukiyo FEMRISA(フェムリサ)」という商品も、このアイデアコミッティから生まれたものになります。

現場のお客さまの声を吸い上げるこうした仕組みを合わせ、この3つのポイントがあることで、高機能コスメの商品化や、人気商品の開発が実現しています。
――ほかに、お客さまから大きな反響があったものはありますか?また、商品開発時に苦労したこともあれば教えてください。
【櫻井さん】化粧品メーカーの伊勢半さんと共同開発した、“すっぴんをより理想に近づける”ということに特化したコスメブランド「nake(ネイク)」や、男性向け韓国スタイルのメイクシリーズ「iisam(イイサム)」は反響が大きかったです。「イイサム」は、韓国風メイクを手軽に楽しめるパレット「matsukiyo イイサム マルチパレット」が代表的な商品となります。あとは、業務用洗剤のスペックを家庭用洗剤として実現した洗剤シリーズ「matsukiyo WASHBLACK(ウォッシュブラック)」など。こちらも「プロ仕様」だとご評価いただいているんですよ。



考え方とか価値観で違いもありますので、別々の企業同士でひとつのプロジェクトを進めていくというのは、やはり一番苦労するところではあるのですが、我々が収集した顧客データやお客さまの声というのをきっちり共有しながら進めているので、メーカーさんにもご理解いただいていて。お互いに「新しいお客さまを捉えていこう」という想いで、win-winの関係を作りながら、一緒に前へ進んでいるんです。日本の総人口が減少するなか、今後、市場をどう作っていくのか、市場規模をどう大きくしていくのか、というのを考えることは大事なことだと考えています。
1億6000万を超える顧客接点から生み出される数々の名作PB、今後も購入者の潜在ニーズを捉えた商品に期待したい。
取材・文=平井あゆみ
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