来館者10万人突破!大阪万博の「大屋根リング」設計者・藤本壮介の展覧会が六本木ヒルズ森美術館で開催中

東京ウォーカー(全国版)

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六本木ヒルズ森タワー53階の「森美術館」(東京都港区六本木)で、建築家・藤本壮介さんの初の大規模個展「藤本壮介の建築:原初・未来・森」が開催中だ。藤本さんといえば、今まさに大きな話題を呼んでいる2025年大阪・関西万博の象徴「大屋根リング」の設計者。そんな注目の建築家の展覧会が、来館者10万人を突破し、大きな評判となっている。建築を専門としない人でも楽しめる工夫が随所に凝らされ、子どもから大人まで幅広い層に支持されている、人気の展覧会の魅力を紹介しよう。

六本木ヒルズの森美術館で開催中の「藤本壮介の建築:原初・未来・森」が来館者10万人を突破!

藤本さんの豊かな発想力が感じられる展示の数々。《思考の森》2025年展示風景:「藤本壮介の建築:原初・未来・森」森美術館(東京) 2025年/撮影:八代哲弥/画像提供:森美術館


ミャクミャクもお祝いに!世界的建築家・藤本壮介の素顔に迫る

北海道生まれの藤本さんは、現在、東京・パリ・中国の深圳(しんせん)に事務所を構え、世界を舞台に活躍する建築家だ。これまでに《武蔵野美術大学 美術館・図書館》やフランスの《ラルブル・ブラン(白い樹)》など、ユニークで革新的な建築を次々と生み出し、現在は2025年大阪・関西万博の会場デザインプロデューサーを務める、日本を代表する建築家のひとりとして高く評価されている。本展は、そんな藤本さんの約30年にわたる歩みを、8つのセクションで紹介する初の大規模個展となっている。

会場の入口ではミャクミャクのぬいぐるみがお出迎え


今年の7月2日に開幕、9月6日に来館者10万人を達成!それを記念し、9月10日に開催されたプレスイベントには藤本さん本人が登壇したほか、大阪・関西万博の公式キャラクター、ミャクミャクもお祝いに駆け付けた。

久しぶりに会ったというミャクミャクを前に、藤本さんは「やっぱり大屋根リングとミャクミャク、よく似合ってる!ミャクミャクのフットワークが、前会ったときよりもすごく軽くなってますね」と笑顔を見せ、会場を和ませた


藤本さんは、「建築関係の方々だけではなく、一般のお客さまにも建築に興味を持っていただけるように展示の仕方もとても工夫したので、実際にこんなにたくさんの方に来ていただけて、本当にうれしく思っています」と喜びを語った。

1000以上の模型が森をなす!藤本壮介の頭の中をのぞく「思考の森」

展覧会の大きな見どころの一つが、「セクション1:思考の森」だ。会場に足を踏み入れると、そこには天井から吊るされたものや、支柱の上に置かれたものなど、大小さまざまな1000点以上の建築模型が、まるで森のように林立している。

さまざまな形や大きさの模型が“森”のように広がった眺めは圧巻のひと言!《思考の森》2025年展示風景:「藤本壮介の建築:原初・未来・森」森美術館(東京) 2025年/撮影:八代哲弥/画像提供:森美術館


これらは、実際に建てられた建築だけでなく、コンペで提案された構想段階の案や、これから未来に建てられるかもしれないプロジェクトまで、藤本さんの多彩で多産な思考の軌跡そのもの。

《白井屋ホテル》群馬・2020年。藤本さんが、創業300年の歴史を誇った旅館「白井屋」を改修し、世界的なクリエイターたちがアート作品やスペシャルルームのデザインを手掛けた

《(仮称)飛騨古川駅東開発》岐阜・2028年竣工予定。人々の交流を促進し、未来を創造する“共創”がテーマ。大学の研究拠点や全天候型の子どものための遊び場施設、商業スペースなどが建設される予定


そして、とにかくその発想の豊かさには驚かされる。模型の隣に、インスピレーションの源になったと思われるポテトチップスやマッチ箱、金網といった日用品が並べられているのもユニークだ。「これが、あの斬新なデザインにつながっているのか!」と見比べながら鑑賞すると、楽しさが倍増する。

ゆるくカーブしたポテトチップスが積み重なっている。その隣には…

《クンストハレ・ビーレフェルト別館》ドイツ・2023年(構想)。地形の起伏を利用して、建築とランドスケープが一体となるようデザインされたもので、曲線が美しい

積み上げられたマッチ箱。その隣には…

《東京アパートメント》東京・2010年。箱を積み上げたようなデザインが印象的


また、実際に国内外に建設された藤本デザインの建築を事前にインターネットなどで調べてから訪れると、より深く展覧会を楽しめるはずだ。

《ハンガリー音楽の家》ハンガリー/ブタペスト・2021年。ブダペストのヴァーロシュリゲト公園内にある複合的な音楽施設で、音の振動を“音波”として視覚化したユニークな建築デザインが特徴

《ラルブル・ブラン(白い樹)》フランス/モンペリエ・2019年。地上17階、地下3階、113戸の集合住宅。無数のバルコニーによって樹木のように見えることでランドマークとなった

実際の「ラルブル・ブラン」の写真も展示されている


万博の感動を六本木で!中に入れる巨大な「大屋根リング」模型を体感

そして、多くの人が楽しみにしているのが、「セクション5:開かれた円環」に展示されている、大阪・関西万博のシンボル「大屋根リング」の5分の1スケールの巨大模型だろう。この木造の巨大模型は、実際に中に入って、そのスケール感や構造の美しさを体感できるのが最大の魅力。

「セクション5:開かれた円環」。大屋根リングの下に広がる空間も、リアルに再現されている


「すでに万博へいらっしゃった方には、現地で見た雰囲気とこの大きな模型の違いなどを感じてもらったり、これから万博へ行こうと考えている方は、ここに来て『これは現地で見てみたいな』と思っていただけるのではないかと思う」と藤本さん。

「森美術館で展覧会をするというのは、とても大きなプレッシャーでした」(藤本さん)


リングの奥へ進むと、会場の壁一面に藤本さんが4カ月かけて考え抜いたという構想段階のスケッチや図面がずらりと展示されている。一枚一枚に書き込まれた言葉をじっくり読むと、あの美しいリングが誕生するまでの試行錯誤の道のりが伝わってくる。また、同じ「開かれた円環」という思想を持つ《ハンガリー音楽の家》といった関連プロジェクトの模型も並び、藤本建築のデザインの系譜を垣間見ることができる。

模型と図面の両面から創造の軌跡を示している


建築の未来は“森”のよう?藤本壮介が描くこれからの都市

展覧会は、終盤のセクション「たくさんの ひとつの 森」、そして最後のセクション「未来の森 原初の森――共鳴都市2025」でクライマックスを迎える。「たくさんの ひとつの 森」では、今後竣工予定の仙台の音楽ホール兼震災メモリアル施設など、未来のプロジェクトが紹介されている。個々のプロジェクトは全く異なる個性を持ちながらも、「バラバラな多様性でありながら、全体で一つの響きを奏でる」という共通の理念でつながっている様子が見て取れる。この思想は、万博の会場デザインにも通じていて、藤本さんは、「分断の世の中でも、多様な文化、多様な個性がちゃんと集まって、一つにつながることができるという希望を万博の会場デザインに託した」と話してくれた。

音楽ホール兼震災メモリアル《仙台市(仮称)国際センター駅北地区複合施設》宮城・2031年竣工


最後の展示「未来の森 原初の森――共鳴都市2025」では、建築という概念にとらわれず、私たち一人ひとりが違いを持ったまま集う空間をどう作れるか、そんな藤本さんの未来への問いかけが提示されている。おそらく、その答えは一つではない。見る人それぞれが考え、感じとる、まさに“未来”に向けられた希望と課題を問いかけているのだ。

人々が暮らす都市の未来の形を、映像とともに紹介

大小さまざまな大きさの球体状の構造物が組み合わさっている


この記事では紹介しきれなかったが、年表形式で藤本さんの歩みを振り返る「軌跡の森」や、建築のぬいぐるみが座談会を開く「ぬいぐるみたちの森のざわめき」、読書の場・休憩の場である「あわいの図書室」など、ユニークで遊び心あふれる展示が満載。「お子さまから楽しめる展示になっています!」という藤本さんの言葉どおり、たとえ建築に精通していなくても、心を震わす感動や新しい発見がきっとあるはずだ。建築のおもしろさを全身で感じることができる「藤本壮介の建築:原初・未来・森」展は、11月9日(日)まで。建築の過去、現在、そして未来を体感できるこの貴重な機会を、絶対に見逃すな!

「セクション3:あわいの図書室」。藤本建築の世界観から着想を得て、ブック・ディレクターの幅允孝(はば・よしたか)さんがキュレーションしたブックラウンジ展示風景:「藤本壮介の建築:原初・未来・森」森美術館(東京) 2025年/撮影:八代哲弥/画像提供:森美術館

「セクション6:ぬいぐるみたちの森のざわめき」では、藤本建築の代表プロジェクトを擬人化。各キャラクターがお互いの特徴などを雑談していて、子どもも楽しめる


取材・文=水島彩恵

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