「生贄制度は廃止になっているぞ」食べてもらえない生贄少女は“デブ活”を開始!?「食べるか殺すかして」獣人の王、困惑…【作者に聞く】
東京ウォーカー(全国版)
貧しい“イーナカ村”から、長く続くしきたりに従って差し出された少女ニナ。生贄として獣人の王のもとへ向かったはずが、目の前で告げられたのは「生贄制度はもう廃止だ」という衝撃の事実だった。戻る場所を持たない彼女の覚悟は一瞬で宙ぶらりんになり、追い打ちをかけるように王は一瞥して「マズそうだな」と零す。自分の犠牲で村が助かると信じ続けてきたニナにとって、これほど虚しい着地はない。
「食べるか殺すかして」──帰る家を失った少女と、想定外すぎる王の反応
王宮へ連れてこられたニナは、生贄制度が既に存在しないと知り絶句する。村には戻れず、差し出された意味も消え、唯一残っていたのは“自分は必要ない”という思いだけ。その焦燥から「食べるか殺すかしてほしい」と懇願するが、王は真剣に見つめた末「マズそうだ」のひと言で一刀両断するのだ。
あまりに救われない展開だが、ここから物語は意外な方向へ転がっていく。作者の
國里
さんは、まずこの「踏んだり蹴ったりのニナ」が読者の心をつかむきっかけになると語る。
すべてが報われる世界を描きたくて──物語に込めた“癒やし”
100ページを超える本作は、ニナが王宮で“デブ活”を始めるところから動き出す。王は「痩せすぎて食べられない」という理由で拒んだが、王宮の面々は思いのほか温かく、ニナの心は少しずつほどけていく。食事、昼寝、お菓子……と、三食昼寝つきのその生活はまるで小さな保養地のよう。
國里さんは、精神的にしんどい時にこそ「優しい世界」を描きたかったと話している。複雑で劇的な物語より、読んだ人が穏やかになれる作品を目指したという。モフモフとした大きな獣人たちも、その“癒し設計”の一部なのだという。
個性的な登場人物のなかで光る、“少し抜けた王子”
作中で國里さんが特に楽しく描けたのは、隣国の王子「エヴァネル」だった。最初は嫌味な人物にする予定が、制作を進めるうちにどこか抜けていて憎めない性格へ変化したという。本人は凛々しく振る舞おうとしているのにどこか間が抜けた王子。それが読者の者の愛着を集める存在になった。
作品全体に通底するのは、「誰かが必ず救ってくれる世界」である。作者自身が欲しかった優しさを、キャラクターたちがそのまま体現している。
これからの更新は“衝動次第”。ゆっくり紡がれる癒やしの物語
國里さんの更新ペースは現在不定期。新作は、アイデアや衝動がまとまった瞬間に一気に描くスタイルが合っているという。pixivで公開中の宇宙人漫画「スペースファミリー」もその流れで生まれた作品だ。
ニナの“デブ活”はどこへ向かうのか。獣人の王が彼女にどんな未来を用意するのか——。蒸し暑く眠れない夜、優しい世界に包まれたいときにそっと開きたくなる物語である。
取材協力:國里
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