もしも童話の世界に最新テクノロジーVARがあったら?「金のオノ?銀のオノ?」が一気に現代化する瞬間【作者に聞く】
東京ウォーカー(全国版)
「4コマ漫画1000本ノック」を掲げ、Twitterで毎日欠かさず作品を投稿し続ける津夏なつな
(@tunatu727)
さん。その姿勢と、時代の空気を瞬時にすくい取る切り口が、多くの読者の心をつかみ、安定した注目を集め続けてきた。今回は、そんな津夏さんの作品の中から、特に反響の大きかった“童話×VAR”の4コマを紹介する。
あの名場面にVARを導入したらどうなる?
12月に投稿された4コマ「命運を分ける1ミリ」は、寓話「金のオノ」をベースにした作品である。泉に斧を落とした木こりの前に女神が現れ、「あなたが落としたのは金のオノ?銀のオノ?」と問いかける――ここまではおなじみの展開だ。だが、この作品では木こりが「いや、落としてない」と動揺するところから空気が一変。女神はその言葉を退け、まさかの一言を放つ。「VARを確認しましょう」。
“1ミリ”を裁く女神の判定が秀逸すぎる
映し出された映像には、肉眼ではほとんど分からないほど、ほんのわずか泉にかかっている斧の先端が映っていた。それを見て女神が下す判定は「入ってるね、これは….」。サッカーW杯で話題となったVAR判定を童話の世界に持ち込むことで、誰もが知る昔話が一気に現代的なコメディへと変貌する。この“1ミリ”をめぐる厳格すぎる裁定に、思わず笑ってしまう読者が続出した。
「すげー時事ネタ」SNSで広がった瞬発力
この4コマには、Twitter上で2700件を超えるいいねが集まり、「判定厳しすぎる」「ニュースで見たやつだ」「発想が天才」といったコメントが相次いだ。童話パロディ自体は定番だが、話題の時事ネタをここまで噛み合わせた例はそう多くない。投稿タイミングとアイデアの切れ味が、そのまま反響につながった形だ。
「乗り遅れたくなかった」ネタ誕生の裏側
津夏さんはこのネタについて、「三笘選手のプレーを見て純粋に感動したのが最初でした」と振り返る。そのうえで、「海外でVARの場面をネタにした画像がたくさん出回っていて、自分もこれは乗らなきゃと思いました」と笑う。サッカーを見ていなかった人にも、この感動を別の形で共有したかったという思いが、この4コマには込められている。
毎日描き続けるからこそ生まれる一瞬の切れ味
本作は、津夏さんが毎日4コマを描き続ける「1000本ノック」の473本目にあたる。2021年に始まった挑戦も折り返しが見え、「これまでよりさらに面白い作品を更新していきたい」と語る津夏さん。積み重ねの中で生まれたこの一瞬の切れ味こそ、SNS時代の4コマ漫画の強さを象徴していると言えるだろう。
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取材協力:津夏なつな(@tunatu727)
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