「余命半年」を宣告された夫→誰もが認める「黄色さ」で病院へ行き余命宣告…初診の「胃炎」から末期のすい臓がん判明まで【作者に聞く】
東京ウォーカー(全国版)
漫画『だめんず・うぉ~か~』の著者として知られる倉田真由美さん(@kuratamagohan)の夫・叶井俊太郎さんが、2024年2月16日に56歳で逝去した。2022年にすい臓がんが発覚してから、余命宣告を超えて生きた夫との日々を描いた『夫のすい臓がんが判明するまで:すい臓がんになった夫との暮らし』が、多くの読者の反響を呼んだ。
診断は「胃炎」。深まる黄疸とセカンドオピニオンの決断
異変の始まりは、夫の肌の色だった。日に日に黄色くなっていく肌を見て、倉田さんは受診を勧める。しかし、最初に訪れた総合病院での診断は「胃炎」。黄疸との関連性が低い診断に疑問を抱いた倉田さんは、自身の直感とネットでの調査をもとに、セカンドオピニオンを決断した。
「普段からこういう肌色です、というのはあり得ないほどの黄色さだった」と倉田さんは振り返る。中規模の病院を経て紹介された国立病院での精密検査の結果、すい臓に4センチを超えるがんが発覚。「悪ければ半年、もって1年」という非情な余命宣告を受けた。もし初診を信じ続けていれば、胆管炎でさらに早く命を落としていた可能性もあったという。
「現実を損ねない」。大切な日常を守るための沈黙と発信
がんと判明してから1年以上、二人は病状を周囲に伏せていた。「日常が変わってしまうのが怖かった」という倉田さんだが、夫の著書出版を機に公表を決意。自身の気持ちの大部分を占める夫のことを「描かずにはいられない」と、漫画の執筆を始めた。
読者からは「重いテーマだが読みやすい」との声が届く。描くうえで倉田さんが最も心がけているのは「現実を損ねず、嘘や誇張をしないこと」だ。闘病記でありながら重すぎないトーンなのは、最後まで自分らしくあり続けた夫のキャラクターに依るところが大きいという。
「人生の宝」となった闘病期間。夫が遺した生き方の選択
叶井さんは標準治療を選択せず、最期まで仕事に没頭する道を選んだ。2023年までは元気に過ごしていたが、2024年に入り病状が急変。自宅で静かに息を引き取った。倉田さんは、闘病中を含め夫と過ごした時間は「人生の宝」であると語る。
「夫の生き方や人生の選択が、誰かの参考になったらうれしい」と、今後も執筆を続けていく意向を示している倉田さん。最愛の人の死という深い悲しみの中にありながら、事実を真摯に伝える彼女の作品は、命の在り方を私たちに問いかけている。
取材協力:倉田真由美(@kuratamagohan)
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