「妻はもう女として見ていない」子ども服売り場で店員をナンパする新米パパ。幸せな空間に潜むドス黒い闇【作者に聞く】
東京ウォーカー(全国版)
デパートの子ども服売り場といえば、出産を控えた夫婦や小さな子ども連れの家族で賑わう、まさに「幸せの象徴」のような場所だ。しかし、光が強ければ影も濃くなる。現場のスタッフに言わせれば、そこは「ドス黒い闇」が垣間見える魔窟でもあるらしい。 アパレル業界で約10年のキャリアを持つゆき蔵さん(@yuki_zo_08)が描く漫画『出会いを求める新米パパ』は、そんな売り場で起きた戦慄のエピソードだ。
「一見いいパパ」が単独で再来店した理由
物語の主役は、あろうことか子ども服フロアで「出会い」を求めてきた新米パパである。 彼は当初、妻子を連れて来店した。側から見れば、どこにでもいる子煩悩で善良な父親に見えたという。しかし、その裏では店員に対して予想外の行動を画策していたのだ。 数日後、彼は一人でふらりと店に現れる。「お姉さんに渡したい物があってきました」と言い寄り、スタッフに一通の手紙を押し付けて足早に去っていった。その手紙に記されていたのは、読むもおぞましい内容だった。
本作は、ゆき蔵さんが子ども服売り場で働く知人から聞いた実話をベースにしている。店舗や人物の特定を避けるためのアレンジこそ加えているが、根幹にあるのは紛れもない事実だという。
「悪気がない」という恐怖
作中で放たれる「妻はもう女として見ていないんで」という衝撃的なセリフ。ゆき蔵さんによれば、これはフィクションではなく、実際に発せられた言葉だというから恐ろしい。さらに怖いのは、発言した本人にまったく悪気がない点だ。
また、ゆき蔵さん自身も過去に婦人服売り場で働いていた際、妻連れで来店した既婚男性からストーカー被害に遭った経験を持つ。 販売員の仕事上の「愛想の良さ」や「笑顔」を、自分への好意だと勘違いして暴走する客は珍しくないのだ。アパレルに限らず、保育士が保護者の父親に口説かれるケースもあるといい、ゆき蔵さんもその救いようのない現実に絶望したと語っている。
幸せな場所ほど「闇」は深い
一見すると幸福に満ちた子ども服売り場だが、そこには深淵が口を開けている。 ゆき蔵さんは、自身の体験などをベースにした「接客業あるある漫画」を多数発表している。どのエピソードもリアリティがあり、接客業経験者なら首がもげるほど頷いてしまう内容ばかりだ。 光が眩しいほど、影はドロドロと黒く見える。その一端を、漫画を通して覗いてみるのも一興だろう。
取材協力:ゆき蔵(@yuki_zo_08)
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