スターバックスが“地域に根差す”を体現する。千葉・東金の小さなリサイクルの輪
東京ウォーカー(全国版)
スターバックス コーヒーでは、コーヒー抽出後のコーヒーかすのリサイクルに力を入れ、全国約1000店舗で取り組みを進めている。そのうちのひとつ、千葉県東金市にあるスターバックス コーヒー 道の駅みのりの郷東金店では、独自の資源循環の実践がスタートした。地域住民とともに取り組むその様子をお届けする。
小さなリサイクルの輪とは?
道の駅 みのりの郷東金の敷地内にある、スターバックス コーヒー 道の駅みのりの郷東金店。2022年のオープン以来、東金市と東金市に工場を構える三友プラントサービスとの連携のもと、コーヒー抽出後の“コーヒーかす”を、千葉県内で資源循環する活動を行ってきた。
コーヒーかすは牛の飼料として再活用され、その飼料で育った牛から搾られたミルクが、道の駅 みのりの郷東金に並ぶ牛乳やプリンとなって私たちのもとへ戻ってくる仕組みだ。
これを“大きなリサイクルループ”とすると、今回の試みは、“小さなリサイクルの輪”。一歩踏み込んで、道の駅内で廃棄物を資源循環する仕組みだ。スターバックスの店舗から出たコーヒーかす、道の駅で収穫されたオリーブの搾りかすなどを活用してたい肥を作り、道の駅内での循環利用を目指している。
この日のワークショップでは、地域住民がスターバックスのパートナー(従業員)や道の駅のスタッフらとともに、たい肥作りにチャレンジした。
ワークショップが地域交流の場に
道の駅の芝生広場に集まった小中学生や高校生、そして大人たち。手にしているのはスターバックスのコーヒーと、道の駅で販売されているバウムクーヘンだ。まずはコーヒーとバウムクーヘンのコーヒーテイスティングからスタート!
このバウムクーヘンには、千葉県内で取り組んでいるコーヒーかすのリサイクルループから生まれたミルクが使われている。スターバックスや、資源リサイクルを行う三友プラントサービスの担当者が活動の背景を伝えながら、みんなでテイスティング。そのおいしさに、子どもたちは満足そうな表情を浮かべていた。
「みのりのさと~!」の掛け声に続き、参加者全員で「東金!」と声を合わせ、場が一気に盛り上がると、コーヒーかすのたい肥作りにチャレンジだ。
コーヒーかすや木くず、オリーブの搾りかす、そして発酵を促進するために、すでに熟成されたコーヒーかすのたい肥を子どもたちが協力してバケツに入れ、しっかりと混ぜ合わせていく。
「混ぜるの楽しい!」
「コーヒーのにおいがめっちゃする!」
「サラサラになってきたよー」
と、元気な声が芝生広場に響いていた。
木くずを混ぜ合わせると水分が吸収され、サラサラの状態に。落ち葉を入れた大きなコンポストにそれを加え、さらに米ぬかを重ねて作業は完了。これから半年かけて、この場所でじっくりと熟成させていく。
ほかにも、パートナーたちが事前に仕込んでおいたたい肥を使って、「コーヒーノキ」や「ブルーベリー」、東金市の木「ラカンマキ」の苗木の寄せ植えやコケ玉づくりなども行われ、参加者は土との触れ合いを楽しんでいた。
「楽しかった!ペットボトルのキャップを集めたり、日ごろからリサイクルに気をつけています」と話してくれたのは、参加した中学生のひとり。若い世代の中でも環境への意識は広がっているようだ。今回のイベントでは、設営やテイスティング用コーヒーの準備に、地元の東金商業高等学校の学生たちが学びの一環として参加していて、その活躍ぶりも印象深かった。また、家族での参加も多く、道の駅は地域の人たちの温かな交流の場となっているようだ。
三者で育てる、地域とのつながり
道の駅みのりの郷東金店は、道の駅を拠点として持続可能な循環型社会を目指しながら、地域住民とのつながりを大切によりよい未来に向けた活動を進めている。オープンから3年半の間、道の駅やそこに関わる人たちとの信頼関係が少しずつ築かれてきた。
植木のまち・東金市ならではの特色を活かし、店舗の植栽は道の駅を通じて職人たちが整えたという。また、夏休みには小学生向けにリサイクルループを知ってもらうためのワークショップを開催したり、スターバックス・道の駅・三友プラントサービスの飼料化の工場を巡る教育関係者向けのツアーを実施したりと、さまざまな取り組みを行ってきた。道の駅のいちご狩り用ハウスでは、一部にコーヒーかすのたい肥を実験的に使用し始めたそうで、いちご狩りの季節を楽しみにしている。
「一緒にいろいろなチャレンジができる距離感でお仕事させていただいています」と話すのは、道の駅駅長の内山さん。それに道の駅みのりの郷東金店ストアマネージャー(店長)の佐久間さんも「一緒にお店を作っていただいていると感じています」と笑顔を見せる。
こうした実践を重ねる中で、次に目指したのが、より地域に根ざした循環のかたち“道の駅内で完結する小さなリサイクルの輪”だった。
小さなリサイクルの輪に込めた、地域とともにあるという想い
「スターバックスにとって廃棄を減らしていくのは、当然取り組むべきことだと考えています。では、その先に地域とどんなつながりを築き、何ができるのか。私たちはコーヒーかすをリサイクルし、地域の皆さんが自分のまわりの身近な環境について気づき、行動につなげられるようにと考えました」と、佐久間さんは道の駅内での資源循環を行う理由を話す。
この取り組みの本質は、「地域に根差すとは何か」という問いに集約される――そう語るのは、内山さんだ。「地元の人や学生、企業と一緒に楽しみながら発信することで、受け取った人や関わった人が、“自分も地元を盛り上げるようなことに携わりたい”と思ってくれたら、この仕事をしていてよかったと思えます」
この日仕込んだたい肥は、道の駅の植栽や、子どもたちとのワークショップで植木鉢に使うなど、さまざまな活用方法が検討されている。「道の駅には野菜の納品のため、たくさんの生産者さんが出入りしています。将来的には、その方たちに使っていただいて、できた野菜を道の駅で販売する…そんなふうに土地としてのつながりを深められたらいいな」と、佐久間さんは思いを描く。
小さなリサイクルの輪とともに、どのような地域の関係性が生まれるのか楽しみだ。
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