都内からわずか90分!千葉県の養老渓谷で県産グルメに黒湯の温泉、歴史ある城下町を散策する観光コース
東京ウォーカー(全国版)
都心からのドライブやプチトリップで人気の千葉。県内各地で特色があり、場所ごとに楽しみ方があるのも魅力。そんな千葉県で冬から春にかけておすすめという養老渓谷。ハイキングスポットとしても人気で、“黒湯”が特徴の温泉も楽しめる。今回は大多喜町から養老渓谷を巡るツアーに参加した。
文化財になった建物が続く町並みを歩く
アクアラインを経由して都内から約90分。いすみ鉄道の駅「デンタルサポート大多喜」駅から大多喜城下町を散策。この辺りは房総半島の真ん中に位置し、徳川四天王の一人、本多忠勝を城主とする大多喜城の城下町として栄えていたという。いすみ鉄道は脱線事故の影響により運休中(復旧は2027年を予定)だが、代行バスでアクセスできる。
現在、大多喜城は改修工事中のため城内の見学はできないが、敷地内には立ち入ることができる。城郭の写真を撮影したり、研修館などでの展示を見学することが可能だ。城下町には、国指定重要文化財、国の登録有形文化財をはじめ、古い建物が並び、作られたレトロ感ではなく、本物の歴史を感じることができる。一部、建物の中に入れるところや、別の店舗が入って営業しているところもある。
2025年7月に観光拠点としてオープンしたのが「小江戸とりっぷ館」。江戸時代の商屋を改装した施設。週末を中心に開館し、伝統工芸体験ができるほか、併設の「きんぎょ茶や」で地元の和菓子とお茶のセットなどが楽しめる。伝統工芸体験は竹灯籠やちぎり絵などのプログラムがあり、どれも30~60分程度。事前予約もできるが、空いていれば当日の参加もOK。
「きんぎょ茶や」は散策の途中の休憩にもぴったり。地元の和菓子店のお菓子に老舗茶屋のお茶のセットが定番で、予約をすれば和菓子とお茶のアフタヌーンティーも楽しめる。辛党にはすぐ近くにある老舗酒造「豊乃鶴酒造」の特別純米生貯蔵酒やにごり酒、地元のブルワリーのクラフトビールもおすすめ。館内の展示から歴史を学ぶこともできる。
江戸時代に旅籠として創業し、現在も旅館として続いている「大屋旅館」や、素戔嗚尊(すさのおのみこと)を主祭神とし、縁結びや良縁成就にご利益があると言われる夷隅神社を巡り、「宿と食事 ローブン大多喜町」へ。こちらは2024年に誕生した、大正時代の古民家を再生したオーベルジュで、食事だけの利用もできる。
宿泊棟は蔵をリノベーションしていて、瓦屋根や太い木の柱や梁、土の壁、季節を感じる庭や窓からの風景など、特別な空間。定員4名の「蔵の間」とエクストラベッドを使用すれば最大8名まで利用できるサウナ付きの「田園の間」があり、どちらも一棟貸し。秘密基地のような雰囲気はどこか懐かしさを感じさせ、日常を忘れさせてくれる。
レストランは宿泊者の食事だけでなく、食事だけの利用もOK。都内で創業したワインビストロ「Bistro Roven」の新業態。看板メニューは鉄鍋ロールキャベツで、丸2日かけて作るフォンドボーを使ったデミグラスソースで食べるのがおすすめ。地元産の季節の素材がベースとなった前菜やポタージュ、デザートと合わせて楽しめるランチコースは休日限定で提供。
前菜には葉もの野菜や菊芋、里芋など地元の野菜をふんだんに使用。勝浦マグロと菜の花のタルタルも優しい味付け。ポタージュは千葉人参と生姜を使っていて体の中まで温まる。彩りもよく野菜たっぷりの前菜は食欲を刺激する。
ロールキャベツのデミグラスソースはサラッとしていて食べやすいがコク深く、キャベツの優しい甘みと合う。それでいてご飯にも合う味付け。今回はセットでパンをチョイスしてパンをソースに付けながらいただいたが、ソースにご飯を入れて食べるのもおすすめなのだとか。
食後には大多喜ハーブガーデンのハーブティーか、大多喜町にあるコーヒーの名店「珈琲 抱/HUG」で焙煎された豆を使ったコーヒーが選べる。コーヒー豆は料理に合わせたオリジナルブレンドで、コーヒー好きにはぜひとも味わってほしい一杯。地元の食材を使い、丁寧に時間をかけて手作りされた料理の数々をこの雰囲気の中で楽しめるのはまさに特別感がある。
房総一の名瀑「粟又の滝」で自然を感じる
お腹を満たしたあとは、「粟又の滝」を目指す。房総一の名瀑と言われる滝で落差30メートル、長さ約100メートルあり、秋の紅葉、春の新緑など、季節によって表情を変える。ゆるやかな岩肌を流れ落ちる滝だが、冬場は人も少なく静かに自然を感じられる。ただただ滝の音を聞き、マイナスイオンに包まれるのも悪くない。自然の力強さと美しさに癒やされる。
「粟又の滝」を見たあとに必ず寄りたいのが「山里のジェラテリア 山猫」。本場イタリアで修業し、ジェラートマエストロに認定された店主・富澤奈美さんが作るのは、地元を中心に千葉県産の野菜や果物を使った素材を活かし、“千産千消”にこだわったジェラート。富澤さんは野菜ソムリエでもあるので、野菜や果物の魅力は熟知していて、「素材をそのまま食べるよりもおいしく!」をモットーにしたジェラートを作っている。
イタリアで行われた2026年SIGEPジェラート大会でソルベ部門世界9位、ヘルシー部門世界8位になったことでも話題。今回はソルベ部門で受賞した「ローズ&りんごローゼル」と「千葉搾乳みるく」のダブルをいただいた。
香りのよさと、口に入れた瞬間の口溶け感、それにともなって口いっぱいに広がる素材の香りと味わいに驚く。滑らかで素材を感じるジェラートは、ジェラートなのにジューシーさを感じる。「ローズ&りんごローゼル」には大多喜町の名産品であるローズ(食香薔薇)がメインに使われていて、そこに食用ハイビスカスの一種ローゼルを組み合わせている。ローゼルは大多喜町の町おこしとして2023年から栽培・販売に取り組んでいる新たな特産品として期待されているハーブ。
このローズ(食香薔薇)やローゼル、バラを早朝に摘み取りシロップを作るところから、このジェラート作りは始まる。華やかな香り、鮮やかな色、甘酸っぱい味わいをジェラートとして表現するために富澤さんが何度も試行錯誤して完成させた味だ。「千葉搾乳みるく」との相性もよく、単独で味わったあと、みるくと合わせて食べるとまた違った優しい味が楽しめる。
店舗には常時10種前後のフレーバーが並ぶ。どれも作りたてのおいしさが味わえ、選ぶのもひと苦労。イートインスペースもあるので、店内でゆっくり楽しもう。また、持ち帰り用もあるので気になるフレーバーはお土産として持ち帰るのもアリ。
コーヒーのような色が特徴の「黒湯」
養老渓谷には約110年前に源泉が湧出。渓谷沿いには温泉旅館や日帰り温泉が立ち並ぶ。こちらの温泉はヨード分を含む「黒湯」で、コーヒーのような黒っぽい透明な色と、とろっとした肌触りが特徴。
この黒湯を気軽に体験できるのが、小湊鐵道の「養老渓谷駅」にある足湯。小湊鐵道は五井から上総中野までを結ぶ地域に密着した鉄道。1時間に1本と本数が少ない。足湯の利用料は140円だが、乗車券を持っていれば無料。つまり、列車の待ち時間に利用できるというわけ。足だけでも黒湯にゆっくりと浸かっているとじんわりと体が温まってくる。時間がない人でも黒湯を楽しめるのはうれしい。
よりゆっくりと、そしてラグジュアリーに温泉や地元の食材を堪能したい人には、2025年3月にオープンした「SHINRA YORO VALLEY」への滞在がおすすめ。黒湯の露天風呂が全室に完備され、一部の部屋にはサウナもある。宿泊者が男女一緒に水着や専用着衣で利用できる温水露天プール「プー露」や、サウナや黒湯の水風呂が設置されている貸切露天風呂などもあり、自然の中で贅沢な時間を過ごせる。
目の前には渓谷の景色が広がり、養老川のせせらぎが心地いい。部屋でゆっくりしたり、ラウンジで軽食やドリンクを楽しみながら過ごすのもいい。大人の隠れ家的な温泉リゾートは特別な日に大切な人と訪れるのにぴったりだ。
施設内にはダイニング「FUKUSUI」があり、房総エリアの旬の野菜や厳選した食材を使った料理が楽しめる。伝統的な日本料理をベースにした創作和食は、見た目にも美しく目でも味わえる逸品で、ひと皿ごとに季節を感じることができる。
コースの内容は月替わりで、千葉県が誇る食材が多数使われている。この日いただいた睦月のコースでは、鰆、鱈の真子、鰤、カワハギ、伊勢海老、鯛などの魚介や上総牛など、その種類の多さ、食材の豊富さに驚く。そしてそれら食材そのものの味わいを引き出し、上品に仕上げた料理の数々に魅了される。料理に合わせた日本酒のペアリングもあり、料理の楽しみ方をさらに深めてくれるのもいい。
歴史と自然あふれるなかに、新しい施設や店舗が誕生し、新たな魅力が増えた養老渓谷温泉郷。タイムトリップしたような街並みの大多喜城下町や、自然の壮大さを目の当たりにする粟又の滝、黒褐色の湯が特徴の黒湯、そして食の魅力を感じる数々の料理やスイーツ。秘境感のあるエリアにはたくさんの発見がある。養老渓谷まで足を延ばして日常を離れてゆっくり自然を感じてみては。
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※20歳未満の者の飲酒は法律で禁じられています。
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