愛犬が死んだ日、なぜか涙が出なかった。「大号泣すると思っていたのに」遺体を前に涙が出ない…。ペットロス経験者が頷く悲しみのリアル【作者に聞く】

東京ウォーカー(全国版)

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「今日の夕方にはお別れです」――母からの簡潔なLINEが、愛犬「たろう」との最期を告げる合図だった。医師に宣告された余命はわずか1カ月。その言葉通り、たろうは夏空が広がる朝、静かに天国へ旅立った。

チャン・メイ(@masondixon402)さんが自身の体験を綴った実録漫画『今日の夕方にはお別れです。』が、SNSで多くの読者の涙を誘った名作だ。大号泣する覚悟で実家に駆けつけた主人公を待っていたのは、涙ではなく、凪のような静寂だった。なぜ、一番悲しいはずの瞬間に泣けなかったのか。作者のチャン・メイさんに、当時の心境と創作に込めた想いを聞いた。

「目の当たりにした瞬間」ではなく「日常のふとした時」に。感情のリアルな動き

【漫画】愛犬が死んだ⁉「今日の夕方にはお別れです。」01画像提供:チャン・メイ(@masondixon402)

「今日の夕方にはお別れです。」02画像提供:チャン・メイ(@masondixon402)

「今日の夕方にはお別れです。」03画像提供:チャン・メイ(@masondixon402)


玄関を開ければ、いつも大喜びで迎えてくれたたろう。しかしその日、リビングにいたのは布団に包まれて目を閉じた、動かない姿だった。

「たろうを見た瞬間、大泣きすると思っていたのに、涙ひとつ出てこない。寂しいという感情を押し殺すために、無意識に心を無にしていたんです」

チャン・メイさんが本作でこだわったのは、悲しみが訪れる「タイムラグ」の描写だ。

「本当に気持ちが動く時って、出来事を目の当たりにした瞬間じゃなくて、もっと後だと思うんです。お風呂や掃除といった日常のルーティンの最中、頭がすっきりした時に、ぶわーっと感情が入り込んでくる。その生々しさを描きたかった」

“日にち薬”を待つ孤独な夜に。読者の心に寄り添う「栄養」のような物語


本作に寄せられるのは、「自分も愛犬を亡くした時、同じようにすぐには泣けなかった」という共感の声だった。チャン・メイさんは、数年の月日を経てこの物語を描き始めた。

「大切な存在を亡くすのは、これ以上ないほど悲しいけれど、誰にでも訪れる自然な出来事でもあります。日にち薬を待つ時間はとても孤独ですが、そんな時に読んだ漫画が、回復を助ける『栄養』になればうれしいです」

モデルとなった愛犬・弁慶(フレンチブルドッグ)は、名前とは裏腹に内弁慶で散歩嫌い、家族の帰宅をじっと待つような愛らしい性格だったという。漫画の中の「たろう」には、そんな弁慶との愛おしい記憶が投影されている。

愛犬との別れを描いた本作は、単なる悲劇としてではなく、遺された者が再び歩き出すための「静かな再生の記録」として、今も誰かの心に寄り添い続けている。


取材協力:チャン・メイ(@masondixon402)
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