「優しくしてりゃつけ上がりやがって!!」DV夫にブチ切れた!夫に支配され続けた人生からの「夜逃げ」【作者に聞く】
東京ウォーカー(全国版)
DVや支配的な家庭環境から逃れる依頼者を助ける“夜逃げ屋”の現場には、想像以上の緊張と修羅場がある。宮野シンイチ(
@Chameleon_0219
)さんがX(旧Twitter)で発表している「夜逃げ屋日記」は、そんな現場で実際に起きた出来事をもとに描かれた人気漫画だ。今回は、その始まりとなる第1~2話を通して、夜逃げ屋の世界と、依頼者を取り巻く生々しい現実に迫る。
「漫画にできるかも」から始まった夜逃げ屋との出会い
「夜逃げ屋日記」の出発点は、宮野さん自身の挫折にあった。当時、漫画家を目指して出版社へ持ち込みをしていたものの、「おもしろくない」と不採用が続いていたという。そんなある日、偶然見ていたテレビで夜逃げ屋の特集が流れた。
その仕事の存在に強く惹かれた宮野さんは、「漫画に出来るかな…」と思い立ち、テレビに出演していた夜逃げ屋の会社へ自ら電話をかける。そこから、後に多くの読者を引き込むことになる「夜逃げ屋日記」が始まった。
支配され続けた依頼者と、家にいるままの旦那
第2話で描かれるのは、41歳の依頼者・加山恭子さんのケースである。加山家では、夫が決めたルールがいくつも存在し、自宅で仕事をしている夫に日常を常に監視されていたという。精神的に追い詰められた恭子さんは、味覚障害まで患っていた。
そんな環境から逃れるための夜逃げだったが、問題はその夫が家にいる状態で決行しなければならなかったことだ。現場には張り詰めた空気が漂い、作業を進めるスタッフたちにも緊張が走る。
髪をつかんだ瞬間、社長の“スイッチ”が入った
夜逃げ当日、作業中に2階から降りてきた夫は、宮野さんをじっと見つめていた。そこへ社長が現れると、夫はいきなり社長の髪をつかむ。空気が一変したその瞬間、ついに社長がブチ切れた。
「人が優しくしてりゃ、つけ上がりやがって…殺すぞ」
その一言に、さっきまで威圧的だった夫の態度は一変。完全にビビった様子で再び2階へ戻り、その後はもう降りてこなかったという。これまで数々の修羅場をくぐってきた人間の“本気”がにじむ場面であり、漫画でありながら妙な生々しさが残るエピソードだ。
「すべて実話」ではないが、ほぼ本当に起きたこと
こうした強烈なエピソードが並ぶ「夜逃げ屋日記」について、「本当に全部ノンフィクションなのか」と気になる人も多いはずだ。宮野さんはこの点について、「『すべてノンフィクション』と言いたいところですが、1話目の冒頭に記載があるように『ほぼ』実話です」と語っている。
もちろん、漫画としての演出は加えているという。たとえば第2話で依頼者の部屋にいた警察官2人組のシーンは、実際にはスーツ姿の刑事だったが、読者に伝わりやすいよう制服警官として描いたそうだ。そうした調整はありつつも、ベースにある恐怖や緊張感は、現場で本当に起きたことに根ざしている。
「夜逃げ屋日記」は2023年6月に書籍化もされ、宮野さんと夜逃げ屋の社長による対談も実現している。ユーモアのある絵柄で読みやすい一方、その中身はかなり重く、現実のしんどさがずしりと響く。ページをめくるほどに、「こんな世界が本当にあるのか」と息をのむ作品である。
取材協力:宮野シンイチさん(@Chameleon_0219)
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