第59回 ナマズやウナギを中心とする川魚料理の名店、岐阜・千代保稲荷の「やまと本店」
東海ウォーカー

“おちょぼ稲荷”や“おちょぼさん”の名で親しまれている、岐阜県海津市の千代保稲荷神社。門前町には、昔から川魚料理の名店が並ぶ。そのなかでもひときわ高い人気を誇っているのが、大正時代から続くナマズとウナギ料理の老舗「やまと本店」だ。
大正時代から100年以上続く老舗店
千代保稲荷神社より徒歩1分、平日から多くの人でにぎわう参道の中心部に店を構える「やまと本店」。創業は今から100年以上前、1916(大正5)年にさかのぼる。

「ナマズ料理といえば、当時は蒲焼きではなく、鍋で煮込む“ず鍋”という食べ方が主流だったそうです」と話すのは、3代目の近藤輝明さん。ナマズはタンパク質やビタミンなど、栄養価の高さが特徴だ。「子どものころから、少々の風邪ならナマズを食べて治してきたんです」と笑顔で教えてくれた。

創業当時、ナマズ料理が食べられる店は「やまと本店」のほかに数軒ほど。その後は徐々にライバル店が増えていったというが、「やまと本店」の人気が揺らぐことはなかった。1981(昭和56)年には、東口の大鳥居前に「やまと新館」がオープン。2011年にも焼鳥スタイルで気軽にウナギが食べられる「おちょぼっ娘」をオープンさせ、現在は3店舗で「大和グループ」を形成している。

地元のナマズや国産ウナギにこだわる
「やまと本店」の女将は、輝明さんの娘にあたる4代目の近藤薫さん。調理場に立ち、慣れた手付きで自らナマズをさばいていく。調理から接客までなんでもこなす、まさに店の中心的存在だ。

一番のおすすめはなんといっても「なまずランチ」(1598円)である。メインは木曽川や長良川など、なるべく地元の川で獲れたナマズを使い、昔からの継ぎ足しという濃いめの甘辛ダレで焼き上げたナマズの蒲焼き。さらにナマズやウナギなどの天ぷら、コイの身でダシをとったコイ汁などが付く。まさに川魚料理のフルコースといった内容で、昔から千代保稲荷の参拝客に人気の定番ランチだ。

そしてもう1つの人気メニューが「特製うなぎ丼」(2376円)。「タレはナマズとウナギで使い分けています」と薫さん。タレ作りには昔から練炭を使用しており、弱火で一晩じっくりと時間をかけて炊くことで「やまと本店」ならではの深い風合いが生まれる。ちなみに使用するウナギはすべて国産。食材からタレまですべてにこだわり抜き、昔から変わることのないおいしさを守り続けている。

当たり前の仕事を大切にしていきたい
ちなみに「やまと本店」から歩いて30秒の姉妹店「おちょぼっ娘」は、ねじったウナギの蒲焼きを串に刺したご利益ランチ「うなぎのぼり」(1080円)、もう1つの姉妹店「やまと新館」は、ランチタイムのみ食べられるリーズナブルな「ひつまぶしランチ」(2138円)が人気という。「とにかくいいものだけを丁寧に調理したうえで、お値打ちな価格で出していきたいんです」と輝明さん。薫さんも「正直に言って価格的には少し厳しくなっているのですが、昔からずっと続けてきたことですから、おいそれと変えるわけにはいきません」と声をそろえる。

創業からの“当たり前の仕事を大切にする”という精神を今も大切に受け継いでいる「やまと本店」。姉妹店ともども、“おちょぼ稲荷”の名物店として、これからも多くの参拝客に愛されていくはずだ。
エディマート
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