第68回 提供スピードの速さに驚き!地元・岐阜市に根付くそばの老舗「更科」

2018年2月13日 12:00更新

東海ウォーカー エディマート

Twitterで
シェア
Facebookで
シェア

通し営業なので、昼時に食事がとれなかった人にもありがたい
photo by ふるさとあやの/(C)KADOKAWA

全ての画像を見る(11件)

岐阜市の官庁街に店を構え、特に昼時はビジネスマンでにぎわう老舗そば店「更科」。来店する客の8割が注文するという「冷やしたぬき」は、この店の代名詞ともいうべき名物メニューだ。

冬でも1日300杯以上の注文がある「冷やしたぬき」

「更科」は1928(昭和3)年に岐阜市柳ケ瀬で創業。その後、戦災により現在の岐阜市京町へ移ってきた。

昼時は混み合うので長テーブルで相席になることが多いphoto by ふるさとあやの/(C)KADOKAWA

大阪で修業を積んだ初代の味を守り続けるのは、3代目店主の水野信さん。現在は長男である雄一さん、長女の亜沙子さん、次男の悟さんの3兄弟も店に立ち、家族で暖簾を守っている。

左から3代目店主の長女である水野亜沙子さん、長男の雄一さん、次男の悟さんphoto by ふるさとあやの/(C)KADOKAWA

来店するほとんどの客が注文するほどの人気メニュー「冷やしたぬきダブル」(770円)。ダブルというのは、並(670円)の1.5倍量なのだが、圧倒的にダブルを注文する客が多いという。まず注目すべきは提供されるまでのスピードだ。注文してから1分足らずで出てくるので、昼時のビジネスマンにはとてもありがたい。

【写真を見る】ボリューム満点の人気メニュー「冷やしたぬきダブル」(770円) photo by ふるさとあやの/(C)KADOKAWA

「うちの店はお客さんをお待たせしないよう、スピード命。これまでに最速で8秒で出したこともありました。体感ですけど…」と笑う雄一さん。「僕らは経験則で動くから、炊く、冷やすなどのタイミングがわかるんです。常連さんが多いということもあって、お客さんの顔を見れば注文するメニューも予想できるので」と速さの秘密を明かしてくれた。

そばはたっぷりの湯で茹でるのがおいしくなる秘訣photo by ふるさとあやの/(C)KADOKAWA

もちろん「冷やしたぬき」の魅力はスピードだけではない。冷たいそばを甘辛いツユと絡めていただくこちらは、「あげと天かすを両方入れてほしい」というお客さんの声をきっかけに生まれたオリジナル。甘めに仕上げた油あげとサクサクとした天かすが、味の決め手ともいえる本がえし一番ダシを使ったツユと合わさって絶妙な味わいになる。夏は客の9割が注文し、1日に大体700杯から750杯ほど出るという。冬でも6、7割が注文するそうだ。

そば店ならではの丼メニューも隠れた逸品

常連の多くは毎回決まったメニューを注文するそうだが、「ずっと冷やしたぬきしか注文しなかった20年来の常連さんが、その日は寒かったこともあって温かいたぬきそばを召し上がったんです。その時、『あったかいのもおいしいね』と言ってくださったのはうれしかったですね」と雄一さん。

壁には木の板に書かれた味のあるメニューがかかっているphoto by ふるさとあやの/(C)KADOKAWA

やはり温かいメニューの注文が増える冬は、「にしんそば」(820円)も人気が高い。甘辛くやわらかなニシンと、ダシが香るツユの相性も抜群だ。

見た目もユニークな「にしんそば」(820円) photo by ふるさとあやの/(C)KADOKAWA

丼もので一番注文が多いのは、「玉子丼」(670円)。こちらは冷やしたぬきと温かいそばそれぞれのダシを合わせて、ざらめを入れて仕上げた甘めの味わいが好まれている。冷やしたぬきと一緒に頼む人も多い。

「玉子丼」(670円)。卵のとろとろ具合がたまらないphoto by ふるさとあやの/(C)KADOKAWA

家族によって代々受け継がれてきた味

店の入り口が2か所あり、1つには柳ケ瀬に店があったころの看板がかかっているphoto by ふるさとあやの/(C)KADOKAWA

元々は“信州そば”とうたっていた「更科」だが、こちらの麺は7対3の割合で通常のそばより小麦の比率を多くして作っているのがこだわり。麺が切れにくく、ツユに絡みやすい仕上がりになっている。「信州の人は受け入れがたいみたいですが、地元では皆さん食べに来ていただけるのでありがたいです」。

お茶はセルフサービス。各テーブルにやかんが用意されているphoto by ふるさとあやの/(C)KADOKAWA

昼時など混み合っていても、さっと食べて帰る客が多く、回転が速い「更科」。長テーブルで相席になることがほとんどなので、客同士の譲り合いが自然と生まれるなど、地元に根付いた雰囲気も魅力だろう。各テーブルに置かれたやかんからセルフでお茶を注ぐのも、なんともノスタルジーな光景だ。

店内に飾られているのは、創業時から使っていてもう使えなくなったまな板だとかphoto by ふるさとあやの/(C)KADOKAWA

「物心ついたころから父の後を継ぐんだろうなって思ってやってきました。父には『背中を見て育ってほしい』といったようなことを言われたことがあります」と雄一さん。「来ていただけるお客様には感謝しかない。父が高望みしないという姿勢なので、今の味を求めて来ていただいているお客様のためにも、それを壊さないよう引き継いでいきたいですね」と、これからの思いを語ってくれた。人情あふれる温かい店で、今日も「冷やしたぬきダブル!」の声が響いているに違いない。

この記事の画像一覧(全11枚)

大きなサイズで見る

キーワード

関連記事