「ラブライブ！」で登場する「元祖メイド喫茶」が訪れた人を「ご主人さま」と呼ばない理由

秋葉原のメインストリート「中央通り」から1本路地に入ったビルの6Fに、15年以上前から営業する「癒しの空間」がある。その名は「キュアメイドカフェ」。

一時期、秋葉原の街にはメイド喫茶があふれていたが、今ではその数も少なくなりつつある。その中でキュアメイドカフェは、2001年にオープンした「元祖メイド喫茶」として知られている。メイド喫茶という形態と秋葉原にあるという土地柄ゆえか、アニメ「ラブライブ！」「冴えない彼女の育てかた」「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」にも登場する同店。今でも作品のファンが足しげく訪れるという。

元祖メイド喫茶は「癒やしの空間」

メイド喫茶というと、にぎやかなイメージがあるが、キュアメイドカフェはそうではない。店内は白壁に濃い木目調という英国調で落ち着いた雰囲気だ。そこで働くメイドスタイルの店員は、紺色のロング丈スカートに白いエプロンドレスと、こちらも英国の邸宅に居そうな装いだ。店内はアニメとのコラボレーションイベントが無いときは、落ち着いたクラシックが流れ、静かな雰囲気。土曜日の夜には、プロの音楽家によるバイオリンやフルート、ハープなどの生演奏も行われ、邸宅でもてなし受けているような雰囲気を一層際立たせる。

来訪者を「お帰りなさいませ、ご主人様」ではなく「いらっしゃいませ」と普通の喫茶店と同じように出迎え、席へと案内。着席後、メニューブックを開いた後、オススメの品などを一通り説明する。その後、メイド店員は席を離れるが、メニューブックを閉じると、「お決まりになりましたでしょうか」と再び席に訪れる。客が手を挙げたり、なにか声を発してメイドを呼ぶ必要がないのだ。

一般的なメイド喫茶とは真逆ともいえるキュアメイドカフェ。担当者に話を聞いた。「私たちは、来ていただいた方に“癒し”を提供できればと考えております。その癒しを提供する上で、主人の家に来たお客様をもてなす感じが最もよいのではないか、という考えに至り、現在の形となりました」「例えば、お客様が自然にリラックスして頂くには、どのような接客がいいのか、どのようなメニューを提供したらいいのかを考えたのです」と語る。“癒し”を追求していった結果、キュアメイドカフェが誕生し、そこからメイド服だけが先行し、昨今のバリエーション豊かなメイド喫茶が誕生していったことを知った。

美味しい紅茶＆ハーブティーが堪能できる

もてなしの心は、雰囲気や店員の対応だけではなく、フードメニューにも現れている。キュアメイドカフェは日本紅茶協会が選定する「おいしい紅茶の店」の認定を受けた実力店なのだ。

茶葉だけでなく、煎れ方にもこだわり、いい香りと味で癒してくれる。ストレート派に人気なのは、ヌワラエリア(500円・税抜）。スリランカで収穫される銘茶で、優雅でデリケートな香りと、緑茶にも似た適度な渋みが味わえる。1ポットでティーカップ2杯半ほど頂くことができ、濃くなった時は差し湯をお願いすることも可能だ。

最初の一杯はメイドがテーブルで給仕してくれ、その姿に癒される。ちなみに日替わりケーキは500円(税抜）。プラス300円(税抜)でソフトドリンクまたは紅茶を付けることができる。

紅茶が苦手な人には、ハーブティーがオススメだ。「キュアサファイア」(500円＋税）は、ちょっと珍しい青色のハーブティー。ペパーミントの爽やかな香りとすっきりとした味わいで、甘いケーキにピッタリ。レモンが添えられており、絞ると紫色へと変化するのもまた楽しい。

メイド喫茶といえばケチャップで絵や文字を描くオムライスが定番メニュー。キュアメイドカフェにもオムライスがあるが、チキンライスを卵焼きで包むものではなく、トロトロの卵を上からかけるタイプで、ケチャップで絵を描くサービスは行っていない。ソースはデミグラスとホワイトの2種類から選べ、濃厚なチキンライスと半熟タマゴのハーモニーが味わえる。2017年11月23日からメニューをリニューアルし、パスタをすべて生タイプに変更。好評を得ているという。

「秋葉原には喫茶店も多いですが、キュアメイドカフェは静かですので、ビジネスユースでもご利用いただいております。ランチ時はスーツを着た普通のサラリーマンもいらっしゃいます」と担当者は語る。静かで癒される空間なら、まとまりづらい商談も、和やかに進むかもしれない。秋葉原に訪れた際は、キュアメイドカフェで癒しひと時を過ごされてはいかがだろうか。