時を超えてつながる”家族の絆”。「これぞピクサー!」な物語&映像美に感涙…!<連載/ウワサの映画 Vol.23>

東海ウォーカー

X(旧Twitter)で
シェア
Facebookで
シェア

今年のアカデミー長編アニメ―ション賞、やっぱり獲っちゃうでしょうね(現地時間3月4日発表!)、ディズニー/ピクサーの最新作「リメンバー・ミー」。国の歴史も浅く”先祖を敬う”という感覚もピンときていないアメリカ人の心を見事に揺さぶりましたもんねぇ。政治的にも何かと話題にされ、マーケット的にも不安が残る中でメキシコを描く心意気、そしてCGアニメ映像のさらなる高みを目指す美意識の高さ…。職人集団・ピクサーの底力に改めて感服です。

「トイ・ストーリー3」のリー・アンクリッチ監督が、アステカの都市・テノチティトランなどから着想を得た「死者の国」を創造。歴史が息づくカラフルな世界に釘付けです!©2017 Disney/Pixar. All Rights Reserved.


ミュージシャンを夢見る、ギターの天才的腕前をもつ主人公・ミゲル。彼の家は、昔起きた悲しい出来事を機に音楽を聞くことも禁止されています。先祖の魂を迎える、年に一度の「死者の日」の夜、祭壇の古い写真を見たミゲルは「デラクルスが自分のひいひいおじいちゃんだ!」と推測。彼の霊廟に忍び込み、飾られていたギターを奏でた瞬間、先祖たちが暮らす「死者の国」へ迷い込んでしまいます。日の出までに先祖の許しを得て元の世界に帰らなければ、体が消えてしまうミゲル…。そこに現れた陽気なガイコツのヘクターにも、”生きている家族に忘れられると、死者の国からも存在が消える”運命が迫っていたのでした。ミゲルの好きな曲”リメンバー・ミー”が導く2人の運命とは!?

秘密の屋根裏部屋でデラクルスのビデオを見て習得したギターの腕前も、ミゲルは家族に隠しています。音楽を禁じた家庭と自分の夢の間で、フラストレーションはMAXに…!©2017 Disney/Pixar. All Rights Reserved.


同じルーツを持つメキシコ原住民と日本人。毎年10月31日から11月2日に故人の魂を迎えるというメキシコの祭礼行事「死者の日」は、「お盆」にそっくりです。家庭ではオフレンダ(祭壇)に故人の写真(本作では、あの世からこの世に旅する”切符”の役割)や好物の品を供え、香りが強く色鮮やかなマリーゴールドの花びらを道しるべとして並べます。楽団が登場し、ガイコツの仮装で町を練り歩くお祭りムードも、なんだか”盆踊り”みたい。そんな共通点満載で描かれる、”ひいひい”じいちゃん&ばあちゃんまで遡った何世代にもわたる家族の絆が、我々の涙を搾り取ります!

ひいおばあちゃんのココ、おばあちゃんのエレナ(左)らの愛に包まれて暮らすミゲル。ひいひいおばあちゃん・イメルダの写真からは彼女の夫の顔が破り取られ、彼はその顔を知りません©2017 Disney/Pixar. All Rights Reserved.


”死”が怖くなくなりそうなほどの、カラフルでにぎやかな死後の世界のビジュアルも「え~?なんだか楽しそう!」。ぼんやりしてると見逃しますけど、マヤ文明の神殿やスペイン植民地時代の大聖堂など、現代に至るまでの建造物が層を成していて壮観!光の霞みで奥行きを表現したりと複雑な映像表現ですが、メキシコの歴史とその重みが一見して感じ取れますよ。トロリーなんかも走ってて、個人的にはデ〇ズニーランドより格段に魅力的です。日本版の「死者の国」もさぞかし芸術的なんだろうな~。各国バージョンが見てみたい。

「死者の国」の面々は、「死者の日」に条件付きで人間界へ旅行ができます。そんな日に、”この世”の子孫が迷い込み、ひいひいおばあちゃん・イメルダ(ミゲル後方)らは大混乱!©2017 Disney/Pixar. All Rights Reserved.


3年もかけてリサーチしただけあって、音楽と色彩にあふれ、何世代ものが共に暮らす家族思いのメキシコ人の日常をしっかりとリスペクト。ちょいちょいスペイン語を混ぜたセリフもテンポ抜群で、マシンガンな会話の応酬は、あちら方面を旅すると経験する”ちょっと疲れるわぁ…”な雰囲気そのまんま(笑)。ミゲルとヘクターの声を務めるアンソニー・ゴンザレス君&ガエル・ガルシア・ベルナルもラテンの血が騒いでるし、マリンバやマリアッチの音楽も「メヒコ~!」な情緒たっぷりで大満足です。物語のカギにもなる注目の歌曲「リメンバー・ミー」は、「アナ雪」の「レット・イット・ ゴー」のロペス夫妻が手掛けていて、アカデミー主題歌賞候補になっていますよ!

「死者の国」で目立たないように、ガイコツメイクを施されるミゲル。肉付き良すぎてパンダ状態…、キュートです。アンソニー君の透明感のある”天使の歌声”で泣いてください!©2017 Disney/Pixar. All Rights Reserved.


”生きている誰からも思い出してもらえなくなった時、「死者の国」からも存在が消え、永遠なる二度目の死を迎える”という概念が、アニメらしからぬパワーで胸に迫ります。「愛する人とお別れしたくないよぅ」という死後も続く執着のすさまじさに若干引きつつも、やっぱり私も、そんな煩悩にどっぷりなのでした…。「二度目の死を遠ざけるためにも、生前の行為についてちゃんと考えろよ」という深~い教えを、ディズニー作品から頂戴するとは意外でしたねぇ。すぐには仏壇やお墓に行けないけれど…、自分の”生”と”死”、そして壮大なファミリーツリーに想いを馳せつつ、合掌。【東海ウォーカー】

【映画ライター/おおまえ】年間200本以上の映画を鑑賞。ジャンル問わず鑑賞するが、駄作にはクソっ!っとポップコーンを投げつける、という辛口な部分も。そんなライターが、良いも悪いも、最新映画をレビューします! 最近のお気に入りは「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」(3月3日公開)のイーサン・ホーク!

おおまえ

この記事の画像一覧(全5枚)

キーワード

テーマWalker

テーマ別特集をチェック

季節特集

季節を感じる人気のスポットやイベントを紹介

いちご狩り特集

いちご狩り特集

全国約500件のいちご狩りが楽しめるスポットを紹介。「予約なしOK」「今週末行ける」など検索機能も充実

お花見ガイド2024

お花見ガイド2024

全国1300カ所のお花見スポットの人気ランキングから桜祭りや夜桜ライトアップイベントまで、お花見に役立つ情報が満載!

CHECK!今が見頃の花見スポットはこちら

ページ上部へ戻る