コーヒーで旅する日本/四国編|エスプレッソとネルドリップの二刀流で、宇和島に新たなコーヒーカルチャーを発信。「宿と珈琲 太陽と月」
東京ウォーカー(全国版)
宇和島に新たなコーヒーカルチャーを発信
一方で、自家焙煎を始めたのを機に、ネルドリップを自己流で研究。店で提供するドリップコーヒーも、器具をペーパーからネルにシフトした。「宇和島でネルドリップを出す店がほとんどなくて、深煎りの嗜好の土地柄に合わせて提案するためにネルを使おうと。個人的には濃厚なコーヒーが好きなので、RODANに近い味を目指しています。その上で、まだネルになじみのないお客さんにも受け入れやすいように、濃度がありつつも飲みやすさを重視しています。ドリップ用のブレンドが完成したら、濃度も徐々に上げていきたいですね」と、自店の個性を打ち出すコーヒーの提案に腐心する。
コーヒースタンドとしても宇和島初なら、エスプレッソを中心としたメニューを提供する店としても界隈では希少な一軒。市内にシアトル系カフェもほとんどなく、地元の人々はコンビニのコーヒーを飲むことが多数という土地柄で、少しずつファンを増やしてきた。「最近でこそ飲む方も増えましたが、そもそもエスプレッソを知らない人も多い。コーヒーに関しても、元から焙煎した豆の色と思われている方もいて、たまに生豆をハンドピックしていると、“これは何ですか?”と聞かれます(笑)。家で淹れることも少ないから、コーヒーを知る機会を作って、街にどう浸透していけるか。そのために、日々提供する1杯のクオリティを上げていきたい」
開店から5年、必ずしもイメージ通りの店作りとはいかない部分もあるが、「コーヒーの味についてはリピーターが増えてきて、焙煎のモチベーションにつながっています」と手応えを感じている。最近では、地元の道の駅での豆の販売や、宇和島市観光情報センター・シロシタとコラボしたオリジナルブレンドの開発も手掛けている。「まだまだ技術的に足りない部分が多いので研究を続けないと」としながらも、先々はより大きなステージで、自身のコーヒーを飲んでもらいたいとの思いもある。「たまに松山に行くと、コーヒー店を訪れる人の数が違うなと感じますし、宇和島以外の場所でこのコーヒーはどう受け入れられるか、というのも考えます。RODANの西口さんからも、“松山で一緒にやろう”という声掛けもしてもらっているので、先々の視野に入れています」。エスプレッソとネルドリップの二刀流に磨きをかけて、いつか新たな挑戦が実現することを楽しみにしたい。
兵頭さんレコメンドのコーヒーショップは「NEEK COFFEE SUPPLY」。
次回、紹介するのは、高知県高知市の「NEEK COFFEE SUPPLY」。
「エスプレッソを飲むために、どこにでも出かけていて、普段からお店をチェックしているなかで、見つけたのがこちら。高知でも提供するお店は数少ないので、一度、訪ねてみたい一軒です。また、出かけるときはバイクを愛用しているのですが、店主の西森さんもバイク好きらしいとSNSで拝見したのも、興味を持った理由の一つ。高知にツーリングに行くときに、エスプレッソを楽しみに寄ってみたいと思っています」(兵頭さん)
【宿と珈琲 太陽と月のコーヒーデータ】
●焙煎機/手回し焙煎機 500グラム
●抽出/ネルドリップ、エスプレッソマシン(フレア)
●焙煎度合い/中深煎り
●テイクアウト/あり(500円~)
●豆の販売/ブレンド1種、100グラム1100円~
取材・文/田中慶一
撮影/直江泰治
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