葉山在住のオーナーが営む、地元愛にあふれたニューオープン2店

横浜ウォーカー

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都心からのアクセスは決していいとは言えない葉山で、「葉山だからこそ」という思いでお店をオープンするケースは少なくない。葉山をもっと多くの人に知ってもらいたい、地元の人に恩返しがしたい、という地域愛からお店を経営する葉山在住オーナーだ。自身も葉山に住み、自然に囲まれてゆったりと暮らす町民の気質を肌で感じているからこそ、質が高く気持ちも豊かになれるような一流の味とおもてなしが提供できる。新規オープンにも関わらず地域に馴染む「葉山らしい」お店を紹介しよう。

フランス人ショコラティエが葉山に人を惹きつける!


オーナーのニコラ・モロー氏。都心に店舗を構えていたころは多くのメディアに出演していた有名人。葉山に人を呼び込む仕掛け人としての活躍が期待される(C)KADOKAWA 撮影=奥西淳二


美食の町・フランスのリヨンに生まれ、シェフ、パティシエ、ショコラティエとして活躍するニコラ・モロー氏。銀座や表参道に人気店を次々とオープンさせ、メディアでも有名になったニコラ氏は「2017年に独立をして以来、現在の居住地でもあり第2の故郷ともいえる葉山に店を構えることを考えていました」と語る。その計画通り、タルトとチョコレートの専門店「ニコラ&ハーブ葉山本店」は、18年2月にオープンした。「事前の広報はあまりしていなかった」にも関わらず、ショップの噂は小さな町にたちどころに広まり、初日には朝から行列ができるという盛況ぶりだった。

ニコラ氏の似顔絵をモチーフにした店舗ロゴは知り合いのデザイナーに作ってもらったもの。近隣の飲食店とも親交があり、地域での横の連携にも積極的(C)KADOKAWA 撮影=奥西淳二


ニコラ氏の奥さまが葉山出身であったことがこの町との出会いのきっかけだが「もともと私が育ったリヨンも田舎でしたから。都会で仕事をしていても、住むなら自然が多く、地産地消で生活ができる土地がいいと思っていました」。葉山に住みはじめたのは4年前。今は4人のお子さんにもめぐまれ、自宅の庭でタルトやチョコに使うハーブ類を育てながら暮らす。

フラットなショーケースに美しく陳列された色とりどりのチョコはもはやスイーツの域をこえて目も楽しませてくれる(C)KADOKAWA 撮影=奥西淳二


「自宅庭のハーブ類はもちろん、ご近所さんでもある葉山の石井養蜂園のハチミツ、横須賀にある岩沢ポートリーのブランド卵や逗子のアカモクなど、地のものを使用した商品を考えるのが大好きです」というように、コンパクトな店内に彩られたチョコレート(各400円)とタルト(各500円)の種類は常時10種以上、どれも個性的なものばかりだ。ハチミツと卵は菓子類に、アカモクは近所の飲食店からのメニュー開発依頼で「アカモクのピザ」を考案したという。自身のショップでもキッシュなどの総菜メニューも検討中で「葉山シラスも使いたい」と目を輝かせる。

【画像を見る】チョコは左からカオス、ラベンダー、葉山(各1粒400円)。「チョコは自分のなかのアーティストの部分が出せる分野」と語るだけに独創的でオリジナリティにあふれている(C)KADOKAWA 撮影=奥西淳二


「ニコラ&ハーブ」の商品はすべてニコラ氏の手作り。チョコレートは3日をかけて作りだすツヤがこだわりで、さながら宝石のよう。「毎日一人で作る量は限られていて、今後もこのお店に来てくれるお客さんを大切にするため」に、都内などで販売する予定はないという。「私のチョコが食べたい方は、ぜひ葉山に足を運んでもらいたいです。ここは静かで自然が豊かで、来訪の価値がある素敵な町ですから」と地域の魅力アピールも忘れない。

タルト(各500円)も常時複数種並ぶ。自宅そばの工房にてチョコとともにすべて自身で手作りしている(C)KADOKAWA 撮影=奥西淳二


葉山の魅力はさることながら、確かにショップ内のショーケースで輝くチョコは、わざわざ足を運んででも、一見の価値はある。葉山のリトルフランスとも言える小さなショップでは、珠玉のチョコと人懐っこいショコラティエ・ニコラ氏との軽快な会話が楽しめる。

ウィンドウに飾られたマカロンタワー。店内ではおみやげ用のマカロン(250円)やメレンゲのお菓子(400円)なども販売している(C)KADOKAWA 撮影=奥西淳二


地元で40年愛された祖母の味を引き継ぎ、葉山の名店が復活!


木工作品を展示している隣接するギャラリー杢と一体化した店舗は、直線的な洗練さをかもしつつも、木のぬくもりを大切にした素朴さが感じられる(C)KADOKAWA 撮影=伊東武志


葉山で「会英楼(かいえいろう)」と言うと、「一色の会英楼?」と返ってくるほど、地元の人に愛されていた「北京料理 会英楼」。御用邸のそば、一色エリアに40年以上にわたって店をかまえていたが、15年に惜しまれつつ閉店した。そして、このたび17年12月に上山口にオープンした「Café 会英楼」は、その「北京料理 会英楼」の創業者である故・久野恵美氏の孫である村木達城氏がオーナー兼シェフをつとめるお店だ。

オーナー兼シェフの村木氏とお母さま。創業者の娘でもあるお母さまは飲食経験も豊富で親子ならではのチームワークで共に店内を切り盛りする(C)KADOKAWA 撮影=伊東武志


「会社勤めなども経験しましたが、祖母の影響もあり、飲食店の夢を諦められず、思いきって決断しました」とオープンをふり返る。尊敬していた祖母へのオマージュもあり、店名は継承したものの、村木さんの会英楼は北京料理ではなくオリジナルのメニューが並ぶ。「ゆっくりとした時間と空間を提供できる喫茶店を目指し、カフェメニューが中心ですが、ランチとディナー時にはしっかり食事もできるようにとメニュー構成を考えました」というだけあり、メニュー数は豊富。「会英楼セット」(1,580円)だけは以前の北京料理の味を引き継いでおり、当時の常連さんが懐かしく足を運んでくれるという。

祖母の味を継承した「会英楼セット」(1,580円)はナスと豚ひき肉のミルフィーユのとろとろあんかけをメインに、前菜、漬物、春餅、ご飯、ミニデザート、ドリンクが付いてくる(C)KADOKAWA 撮影=伊東武志


「そのほかの料理も脂っこいものは避け、ボリュームより質にこだわっています。また、イスやテーブルなどは低め、照明も明るすぎないものを用意し、ご年配のお客さんでもしっくりくるようにしました」と細部にわたり地域の常連客を気遣う。

オープン前はいくつかの物件を検討。物件ごとに店内の内装のイメージを膨らませていたという村木氏。「ここの物件なら“大正ロマンの喫茶店”と決めていました」(C)KADOKAWA 撮影=伊東武志


大正ロマンの喫茶店をイメージした店内は照明やインテリアが落ち着いた雰囲気をかもしだしている。生まれも育ちも葉山だからこその人脈で「店舗のリフォーム工事は地元や同業の仲間を集めてほぼ手作りで数週間をかけて完成しました。オープン日は会英楼の創業者である祖母の誕生日です。なんとか間に合いました」と笑う。

店舗があるのは葉山の山エリア。冬の暖は薪ストーブでばっちり。インテリアとしても、木をベースにした店内にしっくりとマッチ(C)KADOKAWA 撮影=伊東武志


お店は一日を通して中休みなく営業しており、ランチ終了後の14時からディナーがはじめる17時までは手作りのケーキメニューがおすすめ。濃厚焼きチーズケーキやアップルパイ、スコーンなど常時複数種をそろえ、各580円(単品)、飲み物のセットで1,000円とお得だ。ドライブの休憩地として、葉山の人による、葉山の人が愛するカフェでホッとひと息ついてみてはいかがだろう。

【取材・文/鈴木秋穂、撮影/奥西淳二、伊東武志】

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