コーヒーで旅する日本/四国編|地元のコーヒーシーンに新潮流を。“走りながら考える”ロースターの新たな試み。「くろしお珈琲」
東京ウォーカー(全国版)
新たに始めたドリップ競技会に込めた深意
さらに2025年からは、店が主催する抽出の競技会・ドリップローカルをスタート。プロ・アマ問わず参加条件なしという、オープンな形式の大会は、高知では初の試みだ。「前々から温めていた企画で、若手バリスタが増えてきているなかで、もっとコーヒーのおもしろさを知ってほしいと思って。また、お客さんも実際に抽出する機会を持てば、コーヒーに対する意識が変わるかもしれない」と中島さん。以前、自身が競技会にエントリーした時に感じた、大会ならではの体験を元に、バリスタにとっては勉強の機会に、お客にとっては運動会のノリで気軽に参加できるイベントとして、同じ会場で淹れることでコーヒーの知識や技術を共有しようというわけだ。
競技形式は、予選は全員が同じ課題豆でドリップ。決勝は直前に発表される豆をカッピングし、一発勝負でいかに特徴を引き出すかを競う。使用するドリッパー、ミルなども自由で、さまざまな器具を見られるのも一つの狙い。今後は、年2回の開催を予定している。
自店のことに限れば、中島さんには、大会に対してこんな思いがある。「この大会は、バリスタがコーヒーのおいしさを説明するための機会でもある。お客さんに出す時に、自分ではおいしいと思っていても、“なぜ、どのように”というところまで理解してない人も多い。おいしさの理由は、ロースターからバリスタ、お客さんへと伝わっていくので、現場のバリスタには、何がおいしさを作っているのかの理解を深めて、“コーヒーを伝える人”になってほしい」
開店から2年を経て、「店の改装がまだ途上なので、まずは店内のDIYを完成させたい」という中島さん。今も走りながら考えて、高知のコーヒーカルチャーのさらなる充実を見据えている。「ここでは独立志向を持つバリスタも多いので、より向上心を持って、それぞれの最終的なゴールを目指してほしい。スタッフの新陳代謝は激しいけど、ここで密度高く仕事を吸収してもらえたら。独立したあとには、『くろしお珈琲』の名前も広めてもらえたらうれしいですね(笑)」
中島さんレコメンドのコーヒーショップは「ミギキシコーヒー焙煎所」。
次回、紹介するのは、高知県越知町の「ミギキシコーヒー焙煎所」。
「清流として有名な仁淀川の上流で、2025年に開店したニューフェイス。山間の集落にある古民家をリノベートした店は、のどかな里山のロケーションもほかにない魅力です。店主の右田さんは、地域おこし協力隊として会社員から転身、現地に移住して開店したユニークな経歴の持ち主。高知に新しく加わった個性派コーヒー店として、応援したい一軒です」(中島さん)
【くろしお珈琲のコーヒーデータ】
●焙煎機/コーヒーテックエンジニアリング 2.4キロ(電熱式)
●抽出/ハンドドリップ(ハリオ)、エスプレッソマシン(VEGA)
●焙煎度合い/浅~深煎り
●テイクアウト/あり(550円~)
●豆の販売/ブレンド1種、シングルオリジン4種。200グラム1600円~
取材・文/田中慶一
撮影/直江泰治
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