森田剛が語る“面倒くさいけど愛おしい”男の魅力。映画『見上げてごらん』で直面した「お前は何がやりたいの?」という問いへの思い

東京ウォーカー(全国版)

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迷える大人たちの物語「それぞれ何かを抱えながら力強く生きていて、それを丁寧に描いているところが素晴らしい」

撮影=小嶋淑子

――土屋がぽてととコンビを組んでマンガを描くことになり、潮田と一緒に取材に出かけるシーンは、本作の見どころの一つになっていると感じました。

【森田剛】取材のシーンの撮影で特に印象に残っているのは、見晴らしのいい場所で三人がソフトクリームを食べるところ。台風みたいに風が強い日に撮影したのを覚えています。このシーンもそうだし、先ほどお話ししたオフィスに出前が届くところとかも、なんかかわいいですよね。そういうホッコリさせるシーンがたくさんあるのも本作の見どころなのかなと思います。

――打ち合わせをしている最中に潮田と言い合いになり、土屋が「俺らはね、マンガが好きで、好きで好きで好きで人生賭けちゃってんのよ!」と言い放つシーンが印象的でした。このシーンの撮影エピソードをお聞かせいただけますか?

【森田剛】割と長いシーンだったので、土屋のスイッチが入るタイミングをリハーサルで細かく調整していました。撮影で覚えているのは、“そんなに怒る?”と思うほど潮田がマジギレしたこと(笑)。あと、ぽてとに関しても、“え?潮田の味方するんだ!?”と思ったり。お二人ともこちらの想定していたお芝居を超えてくることがあって、それがおもしろかったです。

土屋(森田剛さん)の漫画をチェックする編集者の潮田(森川葵さん)(C)2026 「見上げてごらん」製作委員会

(C)2026 「見上げてごらん」製作委員会


――このシーンの土屋のセリフに関してはどんなことを感じましたか?

【森田剛】「人生賭けてる」とか「俺は何かいいアイデアがないかいつも探してる」って自信満々に言いますが、意外とそこまで考えてないんじゃないか、とも思いました。もしも本気で考えていたならとっくにマンガ家デビューしているはずですしね。そもそも彼はそういう星の元に生まれてないのかもしれない。そんなことを想像させるところが彼の魅力でもあり、おもしろさだなと感じました。

――ちなみに土屋と似ているなと感じる部分はありましたか?

【森田剛】似ているというか、共感できる部分はありました。たとえば、“将来が不安だな”とか“周りの人から嫌われてないかな?”とか“本当にやりたいことってなんなのか?”とかって誰しもが思うことで、土屋もそういった悩みを抱えている。そういう部分は同じだなと思いながら演じていましたね。

土屋以外の登場人物たちも、それぞれ何かを抱えながら力強く生きていて、それを丁寧に描いているところが素晴らしいなと感じました。

撮影=小嶋淑子

撮影=小嶋淑子


――劇中で、阿部寛さん演じる編集部・部長の馬場が潮田に「お前は何がやりたいの?」と尋ねるシーンがありましたが、もしもやりたいことがあっても、恥ずかしくて人前では言えなかったり、簡単には言語化できないようなフワッとした夢ってあるよなと思いました。

【森田剛】僕も昔「何がやりたいの?」と聞かれたことがあって、何も言えなかったのを今思い出しました。あと、「どんな作品が好き?」とか「どんな監督と仕事してみたい?」と聞かれたときに、ちゃんと答えた方がスムーズに話が進むのはわかっているんだけど…なんか苦手なんですよね、すぐに出てこない。というか、むしろ即答する方が胡散臭くないか?と思ったりします。

編集部・部長の馬場(阿部寛さん)(C)2026 「見上げてごらん」製作委員会


――即答されると軽い気持ちなのかなと思ってしまいますよね。

【森田剛】軽く聞こえるのもあるけれど、やりたいこと、好きなことは“これ”ですと言い切れないところがあるんです。それは子どものころからで、僕がサッカー好きなことを知って「好きなサッカー選手は誰なの?」と聞いてきた人に対して、幼いころの自分はうまく答えられなかった。なぜかというと、昔のマラドーナ選手は好きだけど、最近はそこまでだよなぁと思ってモヤモヤしたから(笑)。そういうことってありませんか?

――好きな映画監督を聞かれて、“全部の作品が好きなわけじゃないしなぁ”と回答に悩むことがあります。でも結局モヤモヤに蓋をして「○○監督が好きです」と答えてしまうので、自分の気持ちを誤魔化さない森田さんは、すごく誠実に人と向き合っていると思います。

【森田剛】自分もそうですが、土屋や潮田も確実に“やりたいこと”“好きなこと”を持っているんですよね。好みや情熱を燃やせるものを自分自身で把握することって、ものすごく大事なような気がしていて。それを見失わないようにして生きていればいいのかなと、本作をとおして気づきました。

撮影=小嶋淑子

(C)2026 「見上げてごらん」製作委員会


取材・文=奥村百恵

◆スタイリスト:SO MATSUKAWA
◆ヘアメイク:AMANO

衣装=ヴィンテージのパンツ(1万7千800円)/KIT VINTAGE、そのほかスタイリスト私物

(C)2026 「見上げてごらん」製作委員会

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