免許がなくても大丈夫!湘南で手ぶらで楽しめるモータースポーツ「レンタルカート」に挑戦
横浜ウォーカー

車も免許もないけれど、家族で自動車の運転を楽しみたい…。モータースポーツに興味があるけれど、レーシングカーを用意してサーキットに行くのはお金がかかりそう…。そんな人のために、誰もが楽しめる「レンタルカート」の魅力をレポート!

「カート」とは?
カートは、小さなボディに小さなエンジンを載せた、とても簡素な作りの一人乗り車。ぶつかっても平気なように、周囲に衝撃吸収のバンパーが設けられているが、屋根は付いていない。

操作は右足アクセル・左足ブレーキ・そしてハンドルのみで、ギアチェンジの必要はいっさいなし。ハンドルはとても小さく、少し変わった形をしており、前輪の小さなタイヤと直結しているため、曲がろうとするとかなりの力が要求される。

エンジンは運転席の右側後方。カバーはついているもののかなり熱いため、乗り降りは左側から行うのが安全だ。このように、車体が小さい分、乗用車では当たり前となっている快適装備は一切なく、車からの振動はダイレクトに手や全身へと伝わってくる。また、パワーステアリングといったドライバーの手助けをする機能もないので、腕の力でハンドルを曲げ、ラフにアクセルを踏むと、簡単にスピンしてしまうのがカートの特徴だ。ただ、簡素な造りだからこそ、車の基礎である「曲がる」、「止まる」を学ぶことができる。実際、今のF1やINDY、スーパーフォーミュラなどで活躍するドライバーのほとんどがカートを経験しており、今では「カートはレーシングドライバーの登竜門」とも言われるほどだ。
「F.ドリーム平塚」でカートを実際に体験!

今回訪れたのは、神奈川県平塚市にある市街地サーキット場「F.ドリーム平塚」。JR平塚駅からバス「平09」系統に乗って5分、停留所「工業団地入口」が最寄りだ。

ここのコースは起伏がなく、白線や色のついたタイヤの間を通る仕様となっている。コースは470メートルで幅は7mほど。メインストレートは80mほどで、初心者だと1周40秒で走行可能だ。上級者は34秒ほどで周回する。

受付は2階にあり、そこで手続きや注意事項などを受ける。気になる料金は平日3周で1,100円~(周回数や曜日によって異なる)。服装は長袖・長ズボン・スニーカーといった、肌が露出しない格好がおすすめ。

ヘルメットは無料で貸し出しされているが、グローブのみ別途300円が必要になる(ゴム付き軍手の持参でも可)。もちろん、ヘルメットやグローブ、レーシングスーツなどの持ち込みもOK。オートバイに乗っている人は、その格好でも問題ないそうだ。

乗車前には、スタッフによる説明の時間が設けられている。カートといっても遊園地にあるものとは異なり、最高速度は60km/h以上。安全に楽しむために、運転方法や乗車の手順、走行中にコースサイドから振られる旗の説明などはしっかりと頭に入れておこう。

実際に乗ってみると、普通の車とは違う感覚に驚く。まずハンドルはとても重く、地面からの振動がダイレクトに手に伝わってくる。車体の動きはとても機敏で、すこしでもラフな操作をすれば簡単にスピンしてしまう。コーナーを曲がる時には、体全体に重力がかかり、姿勢を保つのはひと苦労だ。想像以上に全身の筋肉が必要となる。車高はとても低いため、慣れるまではかなり怖いが、綺麗にコーナーを抜けると気分爽快。達成感が味わえる。なによりスポーツなので、抜かれると悔しく、追い抜くと気分がイイ。この快感を味わったら、もう一度…と思うこと間違いなし!
また、男性のやるスポーツというイメージが強いカートだが、もちろん女性客も見られる。女性は体重が軽い分だけ、全体的に好タイムが出る傾向にあるようだ。
参加した誰もが真剣な面持ちでマシンを操り、そして走行後は笑顔なのが印象的。そして初対面でも、「もっとこうした方が速く走れそう」といった会話で盛り上がるのが、スポーツのよさ。独身の人は出会いのチャンスがあるかも!?
プロのレーシングドライバーに聞いた!カートの魅力とは

この日はSUPER GTのGT300クラスに参戦する「Modulo KENWOOD NSX-GT3」のハンドルを握る道上龍選手、大津弘樹選手も来場しており、来場者達と一緒にカートを楽しんでいた。2人ともカートからデビューし、ステップアップした選手だ。

折角なので、カートの魅力について両選手に話を聞いた。道上選手は「カートは、モータースポーツの最初の入り口として、比較的低価格で楽しむことができます。また(今では)年齢制限もないので、親子で楽しむことができます。僕の場合は12歳からでしたが、大津は5歳からカートに乗っていますよ」とのこと。

「ほんとですか?」と大津選手に尋ねてみたところ「5歳のころ、ゴーカートに乗りたくて父親に遊園地に連れて行ってもらったんです。ですが休みで、その代わりとして、たまたま近くにある都内のカート場に連れて行ってもらったんです」と語ってくれた。人生何がきっかけで運命が変わるかはわからない。

カートに乗ると、どうしても速く走らせたくなるもの。そのコツについて聞いてみたところ、2人は「ライン取りと、しっかり減速をしてコーナーに入り、速く脱出することがポイント」と口をそろえて答える。さらに、道上選手は「無理してハンドルを切ったりすると簡単にスピンをしますから、無理のないライン取りを心がけた方がいいでしょう」と優しい笑顔でコツを伝授してくれた。

ちなみに、カートに乗ると「自動車の運転」は上手になるのか尋ねた。すると、道上選手は「乗用車とは違う乗り物ですからね」と笑いながらも「運転の上で大切なのは予測することです。カートを運転すると、相手や自分がどういう動きをするのか予測する能力が身についてきます。それは普通の道路を走っている時に、目の前の車がどのような動きをするのか予測ができることにつながりますから、安全運転に役立つでしょう」と教えてくれた。大津選手も「プロドライバーは、コース全体で誰がどの位置にいるのか、だいたいわかります。カートに乗ると、まず全体を見渡しながら、どこを走ったらいいのかが理解できるようになるんですよ」と話してくれた。さすがプロのドライバー!
その領域にたどり着くのは難しいことだが、カートが「モータースポーツを始める入り口にピッタリ」なのは間違いなさそうだ。レンタルカート場は全国各地にあるので、ぜひ一度、足を運んでみてはいかがだろう。カートに触れてからモータースポーツを観戦すれば、その見方が少し変わり、自動車に興味がない方でも楽しめること間違いナシ!
最後に……普段まったく運動していない筆者は筋肉痛に襲われた。特に二の腕、大胸筋、背筋の痛みは酷く、湿布を貼るほど。モータースポーツは「運動」であることを実感した。【取材・文・撮影=栗原祥光】
横浜ウォーカー編集部
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