車いすバスケ・土田真由美選手インタビュー【パラアスリートの過去、現在、未来 Vol.3】

2018年6月27日 17:05更新

東京ウォーカー(全国版)

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日本のトップパラアスリートに直撃し、競技者から見る競技の魅力や、普段あまり語られることのない素顔に触れる連載「パラアスリートの過去、現在、未来」。第3回は女子車いすバスケットボールの土田真由美選手。現在SCRATCHに所属し女子のトッププレイヤーとして活躍しながらも、男子チームである東京ファイターズにも選手登録をしている土田選手が感じる男子、そして海外との差とは。

車いすバスケットボールの土田真由美選手


きっかけは『ちょっと車いすに座ってみない?』


――車いすバスケットボールを始めたきっかけを教えてください。

「私は大学生の時からだんだん足が悪くなっていったのですが、ある日、体育館に行った時に車いすバスケのチームが練習をしていたのが始めたきっかけでした。チームの方から『ちょっと車いすに座ってみない?』と言われて、最初は断ったのですがすすめられたので試しに座ってシュートを打ちました。ですが、ゴール下のシュートがリングに全く届かなかったんです。それが悔しくて、そこから車いすバスケに興味を持ち始めました。多分、あの時シュートが入っていたら今車いすバスケをやってなかったんじゃないかなって思いますね」

――その後本格的に競技を行うようになっていったのですね。

「当時は障がい者スポーツがあることをほとんど知らなかったので運動はもうできなくなるかなと半ば諦めていたんですが、車いすバスケットボールというスポーツと出会い、足が悪くても車いすに乗れば誰でもできるし健常者ともプレーができることを知りました。そして、やるなら上を目指したいと選手登録をし、全日本のメンバーに入りたいと思うようになりました」

――土田さんから見た車いすバスケという競技の特徴を教えてください。

「車いすバスケは、障がいの重い人も軽い人も一緒のチームでコートに出るのが特徴です。私は障害の軽い方で短い距離なら歩くことができるのですが、一方で腹筋背筋が全くきかず足が動かない方も試合に出ます。障がいの度合いでプレーが変わってくるので、お互いがチームに勝つためにどうするべきかを考えながら役割を果たすことが重要になります。

試合を観ていると、どうしても得点を取ったりパフォーマンスが大きい選手の方に目が行きがちなんですけども、たとえば選手がシュートを打つ時には障害の重い選手が進路を確保したり、スクリーンをかけたり、ディフェンスをブロックしたりと、シュートを打つ選手がよりよい条件でシュートを打てるようプレーしています。そういう部分に目を向けていただくとまた違った面白さがありますし、車いすバスケには持ち点制と言うクラス分けがあるので『この選手は1点プレイヤーでこんなプレーができるのか』といった見方もできると思います」※

※車いすバスケットボールは、障がいレベルの重い選手の順から1.0-4.5の持ち点が定められており、試合中コート上の5人の持ち点の合計を14.0以内におさめなければならない。

対等にぶつかっていくための選択


【写真を見る】土田選手は現在SCRATCHに所属し女子のトッププレイヤーとして活躍しながらも、男子チームである東京ファイターズにも選手登録をしている


――土田選手は海外に遠征してトレーニングを行っているとお聞きしました。

「日本の車いすバスケ女子は、ロンドンパラリンピックとリオパラリンピックの2大会続けて出場権を獲得することができませんでした。国際大会で感じるのは、海外の選手との体格の差や女子同士でも当たりがすごく強かったりする部分です。それらを経験する機会でもあるパラリンピックを2回逃してしまいましたし、さらに大会に出場しても自分自身がコートに出る時間は決して長くないんです。ですが、経験がないから結果が残せない、というのは言い訳だと思うんですね。

どうしたら海外の選手の強い当たりを克服できるかと考えた時に、海外のチームと同じ環境で練習をするのが一番経験できると思ったので、海外の方とコンタクトを取ってオランダに2回行かせていただきました」

――それは車いすバスケの男子チームである東京ファイターズに加入した理由でもあるのでしょうか。

「海外に行けば海外選手の当たりの強さを体感することができますが、日本でどういう風にして練習で取り入れていくかとなった時に、男子チームの練習にお邪魔させてもらうのが一番それに近い形だと考えました。ですが単に練習に参加するだけだとある意味で“お客さん”扱いになりますし、練習と試合だと当たりの強さも違ったりするので、正式に所属してチームの一員となることによって対等に取り組んでいけると思い登録しました」

――男子とのプレーの違いは感じますか。

「私はハイポインターと言って障がいの軽い選手になるので、女子の方では何でもやらなくてはいけない立場です。たとえば、ディフェンスのラインが張られたらそれをまず崩して、浮いたボールをもらい、外でシュートを打ってと、役割の幅が広くなります。ただ、男子の強豪チームの選手は障がいが重いプレイヤーでも私よりもスピードが早いですし、なんでもやるんですよ。すごく楽ではあるんですが、女子の側でプレーする時に経験を活かせなくなるのでそこは意識して練習しています。

私自身一所懸命トレーニングはしているつもりですが、それでも女子の中では遠投が飛ぶ方なのに、男子の中では『なんでここまで飛ばせないんだ』と言われてしまうので、まだまだ練習が足りないなと思いました」

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