クルマ遊びのゴール「S660 Modulo X」がオリジナルから3年経って登場したワケ

東海ウォーカー

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ホンダの軽スポーツカー「S660」が登場して3年。筆者はトランクのない小さなオープンカーをマイカーとして迎え入れ、この車でいろいろな場所に行った。屋根を開ければ地域の空気が感じられるので、春は目黒川流域の狭い道を走りながら満開の桜を堪能し、冬は表参道で満天のイルミネーションを楽しんだ。

【写真を見る】満開の桜咲く目黒川とS660。道幅が狭い目黒川流域もS660ならスムースに走ることができる撮影:栗原祥光


なにより運転が楽しく、小さなボディサイズゆえに取り回しに苦労しない。実用性は恐ろしく低いものの、生きる活力を与えてくれるS660を買ってよかったと心の底から思っている。

富士スピードウェイの駐車場にて、富士山をバックに撮影した筆者のS660撮影:栗原祥光


ホンダはそのS660に若干の仕様変更モデルと、上位グレード「Modulo X」を市場投入した。仕様変更は主にカラーリングであるが、オーナーにとって気になるのは「Modulo X」というグレード。はたしてこのモデルは一体何なのか。さっそく試乗することにした。

S660 Modulo X撮影:栗原祥光


Modulo Xとは何か?


クルマの解説をする前に、まずModulo Xとは一体何か、から話を始めたい。ホームページによると「Honda車を知り尽くした熟練エンジニアが、ベースとなる車両に、さらなるこだわりと、時間と、情熱をかけて磨き上げた、コンプリートカー」とある。ここで登場する「Honda車を知り尽くした熟練エンジニア」が車両開発の段階から車を仕上げてくれればいいのだが、そうはいかない事情がある。この「熟練エンジニア」は、車両設計を行う本田技術研究所ではなく、純正アクセサリーパーツを手掛けるホンダアクセスに在籍しているのだ。

ホンダアクセスは、アクセサリーの販売という範疇を超えた、かなりアクティブな会社だ。長年SUPER GTのGT500クラス「Epson Modulo NSX-GT」に関与しているほか、今年から「Modulo KENWOOD NSX -GT3」としてGT300クラスに参戦。

SUPER GTに参戦中のModulo KENWOOD NSX-GT3撮影:栗原祥光


さらに近年人気のスーパー耐久シリーズにも昨年からチャレンジし、「Modulo CIVIC TCR」はST-TCRクラスにおいて、昨年はシリーズ2位、今年も第3戦終了時点で2位以下を大きく引き離す独走状態だ。

SUPER耐久に参戦中のModulo CIVIC TCR第2戦SUGOにて撮影/写真:栗原祥光


これらはホンダアクセスのブランド「Modulo」のPR活動が主な目的だが、SUPER GTでは自社設計ホイールを供給。そのデザインは今回のS660用ホイールにも受け継がれている。さらに社員自らも社内サークル活動「モータースポーツ部」として、軽自動車の耐久レース「K4グランプリ」などに参加。自ら開発したパーツを車両に取り付けレースに参戦している。

K4GPに参戦するホンダアクセス・モースポ部のS660撮影:栗原祥光


モータースポーツをスポンサードする会社は多いが、社員自らレースに参加しているという話はあまり聞いたことがない。社員自らがデザインし、モータースポーツというフィールドで戦い、そこで得た知見が商品開発に結び付くというPDCAサイクルを回していることは、想像に難しくないだろう。実際「Hondaを知り尽くした熟練エンジニア」は、このモータースポーツ部に参加しているという。

さらに普段はエアロパーツ等を設計するデザイナー陣も、社内サークル活動の一環として、カスタムカーを作り上げ毎年「東京オートサロン」の会場に出展している。近年ではS660をベースに、丸味を帯びたデザインに仕上げた「S660 Neo Classic」で訪れた人の度肝を抜かした。

S660 NeoClassic


担当者に以前「この車を販売するのか?」と尋ねたことがあるのだが「勢いで作っただけで、売れないですよコレ」と笑いながら答えたから、さらに驚いた。

S660 NeoClassicのリア


そのような社員たちを束ねる松居社長は常識にとらわれない人物。例えばレースウィークのピットウォーク時には、自らノベルティを配布。さらに別会場で展示されている自社の車を磨きながら、来場者にフランクな口調で商品説明を行う。ここまでアクティブな経営者は日本に少ないのではないだろうか。ちなみに松居社長は、社員が定年退職する日の夜に食事会を行い、長年務めてきた労をねぎらうという人情厚い人物でもある。

ピットウォーク中、ノベルティを配布するホンダアクセス松居社長2018スーパー耐久シリーズ第2戦にて撮影/撮影:栗原祥光


そのような自由な企業風土とクルマ好きが集まれば、カーライフを積極的に楽しむアクセサリーだけでなく、自分たちの車を作りたくなるのは当然の流れ。そこで生まれたのが「Modulo」ブランドであり「Modulo X」というコンプリートカーなのだ。

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