金沢の人気店が東京進出。未知なる“ノドグロ煮干し”を食す!
東京ウォーカー
2018年7月7日、東京・恵比寿にオープンした「Ramen & Bar ABRI Ebisu」。石川・金沢市にある人気店の2号店で、ラーメンとクラフトビールをウリにしている。特にラーメンは北陸ならではの高級魚・ノドグロを使った、他では味わえない一杯だ。
これぞ淡麗系の極み! あっさりで奥深いノドグロ100%スープ

ノドグロはおもに日本海で水揚げされる高級魚。数年前までは全国的には無名だったが、島根出身のプロテニスプレーヤー・錦織 圭選手が海外から帰国した際に「ノドグロが食べたい」と発言したことで一躍脚光を浴びた。そんなノドグロをフィーチャーしたオリジナルラーメンを店主の牧野陽子さんが考案した。
スープに用いるのはノドグロの煮干しのみ。一晩水出しをしてから、一定の温度で煮出している。そこで重要なのが温度管理。温度を上げすぎると煮干しのエグミが出てしまい、逆に低すぎると香りが立たない。その絶妙な温度を見極め、ノドグロの旨味と風味を丁寧に引き出している。
醤油ダレの「のどぐろ煮干し醬油らーめん」(昼820円・夜900円)もあるが、スープ自体の味をよりダイレクトに感じたいなら「のどぐろ煮干しだしらーめん」(昼800円・夜880円)がおすすめ。
決め手となるのが、完成するまでに3か月を要したという塩ダレ。能登半島の珠洲の塩をベースに、薄口醤油などをブレンド。海水塩ならではのキレを生かしつつ、塩分濃度が高くなりすぎないよう、まろやかに仕上げている。
スープそのものはかなりあっさり。煮干し特有の苦味やクセはなく、スッキリとした飲み口で、まさに上品な和ダシのよう。しかしこれだけでは終わらない。さらにそこにもうひと工夫。それがスープの表面に浮かぶノドグロの魚粉だ。溶かすと旨味と風味が増し、スープに力強さが加わる。
【ラーメンデータ】<麺>中細/丸/ストレート <スープ>タレ:塩 仕上油:ノドグロ油 種類:魚介(煮干し)


能登豚のチャーシューなど、ノドグロ以外にも北陸の魅力が!
麺は京都の製麺所「麵屋 棣鄂(ていがく)」の中細ストレート。表面がなめらかでツルツルとした喉ごしが楽しい。加水率が高めでスープを吸うとモッチリに。
そして具は極太メンマ、おぼろ昆布などで、スープの味を損なわないよう、別皿で提供される。なかでも目を引くのがチャーシュー。銘柄豚・能登豚のモモ肉を用いている。能登地方の良質な天然水で育った能登豚は、豚肉特有の臭みがなく、モチモチした肉質が特徴。その旨味を逃さないよう、真空状態で低温調理したチャーシューはしっとりと柔らか。舌の上でとろけていく甘い脂もたまらない。
さらに丼にもこだわり、地元の九谷焼を採用。有名作家・武田朋己氏の作品で、鮮やかなヒマワリの絵柄がシンプルなラーメンに彩りを添える。
「北陸新幹線の開業(2015年)を機に、何か地元の食材を使ったラーメンを作りたいと思っていました。そんな時に出合ったのがノドグロの煮干し。実はこれ、北陸ではあまり出回ってなく、東京の築地市場で見つけました。もちろんノドグロは日本海産です。ノドグロならではの上品な旨味が詰まったスープをお楽しみください」(牧野さん)




取材・文=河合哲治郎/撮影=岩堀和彦
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