「一人っ子の女の子として酒蔵に生まれた意味はなんだろう」。宮城県・川敬商店の挑戦

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いつもきれいに、楽しそうに。日本酒の魅力を伝えるお手伝いがしたい


川敬商店は、1902(明治35)年に創業。隣接する涌谷(わくや)町で金物商を担っていた商人が、酒造りに「転職」した。金の採掘で有名な涌谷の商人が醸したということで、銘柄は『黄金澤』と付いた。

創業当時から使われている漆塗りの看板


「通常、酒造りをしようという人は、水がきれいなところを探すんですが、私たちのご先祖さまは、あえて沼地だったこの場所を選びました。水が悪ければ同業他社が近隣に増えないだろう、地主が多い土地だから酒の需要も多いだろうと、完全に商人の視点ですよね。おかげで今も水には苦労しています」。

現在は蔵でろ過した水を使用しているが、酒造りはわからないことの連続。そんな時、川名さんを助けてくれるのが、宮城の酒蔵の先輩方だという。

宮城の酒蔵は今、20~40代の若手蔵元が元気だ。若手の7つの蔵が共同で酒をつくる「DATE SEVEN(ダテセブン)」は、各蔵のチャレンジが詰まっていると熱い視線が注がれている。東京で行う日本酒のイベント「若手の夜明け」は、今年先輩から幹事に任命された。

「おれたちはもう若手じゃないから次は君たちががんばれって。宮城の蔵元たちは本当に仲がよい。わからないことがあったら教えてくれますし、見せてくださいと言ったら蔵の中も見せてくださいます。みんなある面ではライバルなのに、フラットにかわいがってくださいます。足の引っ張り合いもないですしね。

だから、こういう会に参加できるのはとても楽しいですし、うれしいことです。だけど、先輩方はみんな勉強熱心で、毎年よいお酒をつくっています。私もここに交ぜてもらうためには、恥ずかしくないお酒をつくらないとな、って思います」。

川名さんは、全国でも珍しい女性蔵元として、講演会にイベントにひっぱりだこだ。

「日本酒=渋いおじさん、というイメージを払拭したいと思っています。だから、私も疲れた顔をしないで、元気に楽しそうに、いつもこぎれいにしていないとな、と。私がお手伝いすることで、日本酒をのんでみよう!という人が増えたらいいなと思っています」。

黄金澤の瓶を編みぐるみ(写真右)にしてくれたお客さんも。「かわいいでしょう」と川名さん


※KADOKAWA刊『会いに行ける酒蔵ツーリズム 仙台・宮城』より

栗原祥光

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