見どころは金シャチのみにあらず!名古屋城の知られざる秘密に迫る
東海ウォーカー
空を貫く金のシャチホコでその名をはせる名古屋城。「尾張名古屋は城でもつ」と歌われる通り、昔も今もこの街の顔であり続けている。天守閣は、現在のところ耐震構造強化工事のため、2022年まで改装工事に入っている。生まれ変わるまでの時間を使って、ただ訪れるだけではなかなか見えない、名古屋城の「城郭としての魅力」を掘り下げてみよう。

徳川家康、天下統一最後の布石の城
尾張徳川家の居城である名古屋城。築城したのは、戦国時代における三英傑の1人である徳川家康である。天下普請として、全国から集められた20の大名により石垣工事が進められた。大坂冬の陣・夏の陣を前に、天下統一を完成するための最後の布石となった城だ。
築城の裏にあった家康の目論見は2つ。1つは、当時秀吉亡き後の豊臣家を包囲する最大の軍事拠点とすること。もう1つは工事による経済的負担を強いることで、豊臣秀吉に縁の深かった大名たちを弱体化させるというもの。徳川家康の合理的思考に基づいたしたたかさによって完成したと言える。

築城の功労者は熊本城を建てたあの武将!
築城の功労者としてスポットが当たるのが、肥後藩主だった加藤清正。熊本城を始め数々の城造りに携わってきたスペシャリストで、城内には銅像も立っている。

複数の大名たちが関わり合って大工事を進めていく中で、大名間でのトラブルを防ぐために石材などに彫られたのが「刻文」。城内の石垣にはその名残がまだまだ残っているので要チェックだ。

地の利を生かして、鉄壁の守備力を発揮!
城としての魅力は、その鉄壁とも呼べる防御力にあり。天守の建つ本丸を囲むように、二の丸・三の丸・西の丸・御深井丸(おふけまる)を展開。敵軍の侵入を困難にするために西北に広がる湿地帯を利用し、幅70メートルの水堀を作ったとされる。これを背後にする形で天守閣を構え、残る東側と南側には大規模な三の丸を据えることで守備力はより強固なものに。

広く見れば城を囲む形で流れる3つの川(木曽川・揖斐川・長良川)が天然の要害にもなっており、敵が攻略を図ろうとする気も失せるような、完璧とも呼べる防御を形成した。
大小2つの天守で「最強の要塞」に
国内でも珍しい、大天守と小天守で成る連結式天守閣も特徴のひとつ。小天守を通過してからでないと大天守に登ることができない構造で、攻め落とすことは難しい。天守の延床面積は日本一とされている。周辺の構造も含めて、戦国時代の城マニアからは「江戸時代最強の軍事要塞」と呼ばれるほどだ。

在りし日の美しさを完全復元した名古屋城本丸御殿に注目!
本丸改修工事が終わるまでは、2018年6月に完成公開された名古屋城本丸御殿を訪れてみよう。初代藩主・徳川義直の住居であったが、隣の二之丸御殿に引っ越してからは、将軍家が京都御所へ上洛する際の専用宿舎として大改築された建物だ。

優美な外観とともに、室内は山水花鳥などを画材とした障壁画や飾金具などで絢爛豪華に飾られ、建築・絵画・美術工芸史において高く評価されている。日本絵画史上最大の画派「狩野派」の絵師たちによって描かれた壁画がずらりと並ぶほか、飾金具の1つ1つに至るまで職人たちが丁寧に作り上げている。今後もさらに約10年の歳月をかけて、数々の障壁画を復元していく予定であり、訪れるたびに新たな本丸御殿を目にすることができる。

1930年には城郭建築として初の国宝に指定されたことでも有名。1945年の名古屋大空襲で天守・本丸御殿を含む主な建造物は焼失したものの、戦後に復元され現在に至る。空に映える金のシャチホコは、イメージにしたお菓子やキャラクターも多く、名古屋文化のシンボルマークであり続けている。昭和と平成の時代を生き抜き、大改修で新たな時代を迎える名古屋城に注目しよう。
桑山 栞
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