各地でディスコイベントが再評価、元「ジュリアナ東京」副支配人が語る平成バブルの“熱狂”

東京ウォーカー(全国版)

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1990年前半ごろまで続いたバブル期の象徴ともいえる”ディスコ”イベントが各地で盛り上がっており、スカイツリーでも3年目となる「SUPER SKYTREE DISCO 2019」が1月18日(金)から開催される。タイトなボディコンスーツを着て、ビビッドなカラーの”ジュリ扇”を持ち、店内の中心であるお立ち台で踊ることがステータスだったあの時代を体験できるイベントに、バブル世代のみならず世代を超えて若者の参加者も多い。その背景を探るべく、バブルのジュリアナ東京の副支配人を務めた高野博文氏に、当時の熱狂や現在では考えられないエピソード、そして現代になぜディスコが盛り上がっているのか、その“価値”を聞いた。

バブルの象徴・ディスコを東京スカイツリーで再現


バブルとは…今でも何だったのかわからない


当時は日本が、おそらく一番元気な時代。ですが、その後長く続く不況の影響もあり、バブルはすっかり過去の産物―むしろすこしダサいものとなってしまってしまいました。

しかし、平成の終わりに近づいているこのタイミングで、2016年にバブルをテーマとした笑いで人気となった平野ノラさん、2017年に大阪・登美丘高校ダンス部のバブリーダンス、2018年はバブル当時流行したファッションや真似しやすいダンスを思わせるDA PUMP「U.S.A」と、当時のバブル世代はもちろん、バブルを知らない若者も意味は分からないけどインパクトがあり面白いと受け入れられる時代が到来。

そして、このブームが後押しし、当時ディスコに通っていた紳士淑女はもちろん、若い子も楽しめるイベントとしてバブルの象徴でもあったディスコイベントが日本各地で開催され盛り上がっています。その勢いは局地的なものに留まらず、2014年より復活し、グランド ハイアット 東京で毎年行われる一夜限りのディスコイベント「We ♥ 80’s Disco」が1000人を超える規模になるなど、大きな動きを見せています。

「東京スカイツリー(R)天望デッキ フロア350」でのイベントの様子


「東京スカイツリー(R)天望デッキ フロア350」も、そのディスコイベントを開催しているひとつ。1月18日から開催される、今年で3回目となるディスコイベントは、1980〜1990年代の時代を沸かせたダンスナンバーを中心に、映像演出に加え、当時さながらのお立ち台、ミラーボールなどもしっかりと用意されており、地上350メートルの夜景を望む展望台にてバブルの空気感が楽しめるものになっています。

また、今年は新たな試みとして、ミラーボールスーツ着用のダンサーが新たに登場。まるでミラーボールを擬人化したようなインパクトのある見た目で、踊り、ギラギラと輝き、イベントを盛り上げてくれるそうです。

「ジュリアナ東京」の副支配人だった高野博文さん


今回は、このイベントの紹介とともに、バブルとは果たしてなんだったのか、ということを、当時ディスコの代名詞となっていた「ジュリアナ東京」の副支配人だった高野博文さんにお話を聞くことができたので、一緒に“あのころの平成へ会いに"行きましょう!

――まさにバブルの中心で感じてきた高野さんに最初にお伺いしたかったのは、バブルとは結局なんだったのか、ということです。少し概念的な話になってしまうと思うのですが……。

高野博文さん(以下、高野):僕たちバブル世代は、多分全員、当時が「バブル」っていうのを認識していなかったと思います。バブルが弾けてから、あれがバブルだったんだなと実感はしましたが。

当時は、ずっと右肩上がりで景気が上がり続けていて、東京23区の地価でアメリカ全土が買える、なんて言われていた時代。僕たちは生まれてからずっとそう、むしろどんどん良くなっている、みたいな感じだったので、それが普通だったんですよね。

高野さんの当時のプロフィール写真


ディスコがイケてるのではない、イケてる人が集まる夢みたいな場所がディスコ


――高野さん的に、バブル時代はやはり楽しかったですか?

高野:僕は1991年にジュリアナに入社して、その前からいわゆるディスコのツートップ(「マハラジャ」「エリア」)である「エリア」でアルバイトとして働いていたのですが、全員が上昇志向を持っている、本当に男女ともに元気な時代だったと思います。

ただ、いまの時代も、不景気とは言われていますが、その分当時よりも多様性が認められやすくなっていますし、もちろんあの時代も楽しかったですが、今は今で楽しいことはたくさんあると思います。

――そもそも、ディスコについて、ですが、ディスコは現在のクラブをイメージすればいいのでしょうか。社交場として、お酒を楽しみながら踊る場所、というイメージであっていますか?

高野:大枠はあっています。でも、当時からクラブ自体はあったんですよね。でも、ディスコはまさに大人の社交場。オールジャンルで、オールグラウンド。対して、クラブはもっとカジュアルで、ニッチなジャンルの、アンダーグランドな場所でした。

そんな違いがあるなかで、当時は今よりも洋楽がかっこいいとされていた時代なのでかっこいい音楽を、「PINKY & DIANNE」や「VERSACE」などのブランドでバッチリ決めた人たちが、ディスコで踊って楽しむのが良かったんです。

――バブルといえば、一番イメージとして強いのがディスコなのですが、どうしてディスコがバブルの象徴となったのでしょうか。

高野:いい女、いい男しかいない、今から思えば本当に夢みたいな場所だったからじゃないでしょうか。

そこにいるだけでも最高なのに、綺麗な子しかいられないお立ち台に立ったり、「レディースVIP」と呼ばれる席に座ったりするのが女のステータス。そして、その女性たちやディスコの黒服たちと仲良くするのが男のステータスになっていて。それらに対しての憧れも強かったし、その場にいられる陶酔感は本当に強かったので、その時代の他のどのコンテンツよりもインパクトがあったんだと思います。

お立ち台から降ろされる人も…上昇志向のギラついた女性たち


――イケてるディスコ、もあったのでしょうか。

高野:当時のディスコで特に人気があった店舗が、六本木の「エリア」と麻布十番「マハラジャ本店」、

青山「King & Queen」でした。そして、その後にあの社会現象となった「ジュリアナ東京」ができました。

人気があったディスコでは、いまで言うと「推し」のように黒服と言われていたスタッフにファンがついて、好きな黒服のために入場チケット(当時は「パー券(パーティー券)」を購入したり、その人に会うために通っている人もいたりして、ちょっとした芸能人みたいでしたね。

ちなみに、「エリア」よりも「マハラジャ」の方がナイトビジネスっぽいというか。ディスコでのお客様への接客にダウンサービスを最初に取り入れたのが「マハラジャ」といわれています。

――そんなイケてるディスコで、特に一番イケてると言われている人は、どういう人だったのでしょうか。例えばダンスが上手いとか、スタイルがいいとか、いろんなベクトルはあると思いますが……。

高野:顔がかわいい、かっこいい、はもちろんあるのですが、それ以上に、さっきも少し話しましたが、「PINKY & DIANNE」や「VERSACE」などのブランドで全身を固めて、ヘアスタイルもバッチリ決めて、さらにダンスが上手い、というのが条件だったと思います。

後期にはディスコごとの振り付けも誕生しましたが、全盛期は振り付けで踊ることはかっこ悪かったとされていたので、その場で自由に踊るダンスがかっこいい!となっていましたね。

――何か、実際にあの場所であの空気を感じていた高野さんでしか分からないような、ディスコでのエピソードがあれば教えてください。

高野:今の時代だったらありえないのですが、お立ち台っていい女しか上がれなかったんですよ。正確に言うと上がれはしたんですけど、いくらその子が気持ちよく踊っていても先輩スタッフから「あいつ、おろして来い」みたいな感じで言われるので、その人のところに行って、手でバツを作っておろしていたんです。女性からしたら当然怒っていいはずなんですが、当時はむしろ女性側がすみません、と言う感じで素直におりていました。

でも、そんななかでも、お立ち台に上がるためにどんどん綺麗になっていく女性もたくさんいました。とにかく女性も上昇志向が強かった時代だったので。

ディスコイベントの様子


ディスコイベントの”価値”は、世代を超えてつながれる健全なナイトカルチャー


――今回の東京スカイツリーのイベントは、高野さん的にはどう思いますか。また、「ジュリアナ東京」と通じる部分があれば教えてください。

高野:当時の曲って、いま聞いてもいいものが多いし、踊って楽しいものがすごく多いんです。僕の知り合いで、当時ディスコ通いをしていた方が娘を連れて行ったら娘の方がハマっちゃった、みたいな話も聞くし、世代を超えて楽しめるコンテンツだと思います。

また、若い子はもちろんですが、僕ら世代、まさに「ジュリアナ東京」に通っていた世代はは当たり前だけどディスコの遊び方を知っている。それに、今ならお金も時間もある。気持ちもまだまだ若い。間違いなく当時のように楽しめますよね(笑)。

――ちなみに、今年の目玉であるミラーボールスーツは高野さん的にどう思われますか?

ミラーボールスーツ


高野:ミラーボールって、お立ち台に続いてディスコには無くてはならない存在でした。きっと、当時を知っている人も久しぶりだとちょっと照れがあると思うし、若い子ならなおさらどうしていいか分からないかもしれない。そんな中で、こういう分かりやすい盛り上げ役がいるのはすごく素敵なことだと思います。

――最後に、当時まさに「ジュリアナ東京」にいた人はきっとこのイベントも楽しめると思うのですが、当時を知らない世代が楽しむためのアドバイスやコツなどがもしあれば教えてください。

高野:難しく考えずに、音楽を楽しんでほしくて。それで音楽と、もっといえばディスコというカルチャーを好きになってくれたら嬉しいです。平成最後、ってもう言い古されてきちゃっていますが、平成最後の年に、平成初期のカルチャーを楽しむのって、すごくいいと思うので、ぜひあのころの平成に会いに行ってはどうでしょうか。

大原絵理香

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