来るべき未来はすでにある。日産リーフe+を試乗

東京ウォーカー(全国版)

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音や振動がなく車体が動く「快適移動車」


日産リーフe+(イー・プラス)


試乗は都内の一般道で行った。「電源ボタン」を押すと計器類が点灯するが、エンジン音がまったくしない電気自動車特有の挙動は、何度経験しても新鮮なもの。視界の広さは流石といったところで、死角の少なさに関心する。

日産リーフe+(イー・プラス)のコックピット


走行はECOモードで行った。e-POWERを含めた日産の電気自動車ではお馴染みとなったアクセルペダルのみで加減速するe-Pedalは、最初は戸惑うものの、信号が多くストップ&ゴーを繰り返す都内においても、ブレーキペダルの踏み変えを一切することなく、ラクな運転を実現する。ただしNOTEやセレナが搭載するe-Power車両と比べると減速感はより強い傾向があり、普段のクセで走行中アクセルペダルをリリースすると、想像以上に車が強く停止しようとするから注意が必要。とはいえ10分もすれば、カックンブレーキのような挙動をせずに音もなく止まる快感に酔いしれることだろう。近年アイドリングストップを搭載する車両が増え、信号から発進する度にエンジン始動による振動にイライラしていたのだが、音や振動がなく車体が動くことに素直に感心した。

日産リーフe+(イー・プラス)のリアビュー。電気自動車なのでマフラーはない


エンジンを搭載しないことゆえの静粛性、そして振動の少なさは快適そのもの。リーフの美質は経済性はもちろん、快適性と居住性で、乗る度に惚れてしまう……。出力増による恩恵は、都内ではあまり感じることはできなかった。きっと山道や高速道路では威力を発揮することだろう。

長距離移動にはかかせない!プロパイロット


さて、より長距離移動に対応した日産リーフe+。長距離移動といえば高速道路だ。日産リーフe+には先行車両との車間距離を一定に保つ「インテリジェントクルーズコントロール」と、車線中央付近を走行するようにハンドルを制御する「ハンドル支援」の2つを組み合わせた運転支援技術「プロパイロット」を搭載している。

プロパイロットは、渋滞や巡航で効果を発揮する


昨年リーフを試乗した際にプロパイロットを試したが、一度使うと「ちょっとこの機能のない車には乗りたくない」と思えるほどの快適さに驚いた。巡航中にハンドルが勝手にググっと動く感覚は「ここまで技術は進んだのか」と素直に感動するとともに、人間が運転するより安全ではと思えるほど。

プロパイロット動作中の様子。左の画面に車線と車間を監視する緑の線に注目


そして8月上旬、東名高速道路の名物である「大和トンネルを先頭に大井松田IC付近まで断続的に35km」という大渋滞においては、前走車に車が勝手についていき、ドライバーはただ座っているだけだった。ちなみにブレーキを踏んだのは35kmの渋滞中、たったの2回! いずれも強引な割り込みをされた時のみだ。

渋滞中の様子。設定速度以下(80km/h)を下回っていても車両は自動的に対応している


時代に追いついていないのは使い手である人間


さて、冒頭に金銭に関わる事の中でメンテナンスコストがほとんどかからないと記載した。まずガソリン車ではないため、定期的なエンジンオイルやクーラントの交換は不要だ。ブレーキパッドやローターも、回生ブレーキを使うため、減る量はガソリン車の比ではない。バッテリーは8年16万キロの保証がついている。ちなみに自動車の平均耐用年数(乗り換え年数)は現在9年と言われているので、新車購入した場合、9年間の消耗部品は、ワイパーゴムやタイヤを交換する程度であることを考えると、事実上メンテナンスフリーと言ってもよいだろう。

日産リーフe+(イー・プラス)のサイドビュー


車両価格は高いものの、税制上の優遇処置があるので、輸入車の高級Cセグメント車とそう変わらない。圧倒的なランニングコストと環境性能、快適性を考えたら、日産リーフe+の購入は賢い選択肢であるのは間違いない。

走行距離が伸びて、死角が少なくなったリーフe+。購入する上で最大の懸念は充電設備だろう。e+では1回の急速充電における充電量は従来に比べてより多くの電力を蓄えることができるものの、そもそも充電する設備の数がまだまだ足りないのが実情だ。現在、ガソリンスタンドとほぼ同数の充電スタンドが設置されているが、どうしても地域差があり、さらに言えば普段止めている駐車場に充電設備があった方が望ましいことには変わりない。月極駐車場を借りているユーザーは、充電スタンドを設置するのは難しく、こればかりはどうすることもできない……。

サステイナビリティや持続可能な社会といった言葉が誌面を賑わせることが珍しくなくなったが、持続可能な社会を実現するには、もっと多くの充電スタンドは必要だ。自動運転技術をはじめとして、車は進化し続けている。それに対して追いつていないのは、それらを使う人間であり、行政のより一層の理解・支援ではないだろうか。「持続可能な社会の実現に向けた来るべき未来の扉は、すでに開かれている」大変魅力的な日産リーフe+を運転しながらそう感じた。

日産リーフe+(イー・プラス)


取材・文=栗原祥光

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