恋愛ミステリー小説を映画化「行きずりの街」阪本順治監督に聞く
関西ウォーカー
「恋愛劇での男女を“人間”として描いた」
人気作家・志水辰夫の恋愛ミステリー小説を映画化した仲村トオルと小西真奈美共演の「行きずりの街」。別れた妻と再会した元教師がかつて自分を追放した学園の陰謀に立ち向かい、失われた時間を取り戻す姿を描く。そんな本作のメガホンを取ったのは「闇の子供たち」('08)の阪本順治監督。「ミステリーの中にも、人との関係やその心理を深く描かれている原作に惹かれた」と語るが、キャリア初と言いっても過言ではない“恋愛劇”は彼にとって大きな挑戦だった。
「恋愛ものではあるけれど、人が再生していく物語として捉えましたね。なので“自分は男だから”と考えるのではなく“人間”として男女の姿を描きました」
これまで“人間”を撮り続けてきた監督がこだわるのは“感情移入”。
「観客が感情移入するのは、しっかりと役を見ている証拠。特に、トオル君が演じる主人公は男として情けない部分もあるけれど“愛しい”と思ってもらわなければいけないから、人として信頼できる役者じゃないとダメでした」
監督が信頼を寄せる俳優たちをより“役に見える”よう、セリフのない“間”の演出を徹底した。
「脚本は読む人によって捉え方が違うので、僕は役者さんに“僕はこう思うから、このセリフがあると思う”って、ディスカッションをすることもありますね。セリフを相手に伝わるようにするには、脚本に書かれていない“間”で役がなにを考えているのか理解することが大切なんです」
それは俳優の動き1つにしても同じだ。仲村の携帯電話を開くシーンや走り方にしても「いまは田舎で塾講師をやっている元教師の主人公は、そんなカッコいい動きはしないよ。“あぶない刑事”じゃないんだから(笑)」と彼に言ったこともあるとか。そんな監督の演出により、役柄の深みは増し、だからこそ主人公が失われたものを取り戻していく姿に感情移入して胸が熱くなる。
「なにか行動を起こせば過去を帳消しにして、人生を取り戻すことできるんです。映画は希望や絶望を与えてくれるもの。この映画を観たあと、その人の生活にいい影響を与えられたらうれしいです」
【取材・文/リワークス】
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