『週刊少年チャンピオン』50周年、編集&漫画家の想い「怖くない、元気を届けてきた」
東京ウォーカー(全国版)
「チャンピオンは実家」 レジェンド作家にとっての“週チャン”とは

また、山口貴由先生と板垣恵介先生には、週刊少年チャンピオンが作家から見てどういう存在であるかを語ってもらった。
山口先生は、「作品の主人公たちがアウトサイダーで、けれどいい部分があるというイメージで、個人的には親しみやすかった」と連載前のイメージを話す。
1994年、山口先生は同誌で『覚悟のススメ』の連載をスタートする。作中には過激でグロテスクな描写も多く描かれたが、編集部からはNGがほとんど出なかったと言う。
「(漫画は)目立たなきゃしょうがない。だからパンクな表現も盛り込むんですが、『覚悟のススメ』では、少年誌としてどうかと変えられるんじゃないかと思うようなネタでも通った。それ以前に描いていた青年誌の方がNG出ていましたから。よく大丈夫だったなと思う(笑)。僕からしたら一番メジャーで、表現のハードルが低かったのが“週チャン”でした」
山口先生のエピソードからは、面白い作品を追及する週刊少年チャンピオンの姿勢がうかがえる。

一方、板垣先生に“週チャン”という雑誌が作品に影響を及ぼしたか訊いたところ、「ないよ(笑)」とバッサリ。
「雑誌のカラーや企画に合わせる気はさらさらなくて。どんな雑誌かというのは読者が決めることだし、いい作品を出すためには(雑誌のカラーに)合わせるべきじゃないというのが持論だから。自分が描ける一番いい作品を作ることが、雑誌のためにもなるだろうと」
1991年にスタートした『グラップラー刃牙』は週刊少年チャンピオンの看板作品となり、シリーズは最新の『バキ道』まで、四半世紀以上に渡り続いている。週刊少年チャンピオンの歴史の半分以上で活躍してきたことについても、「『刃牙』(シリーズ)は28年続いたけど、それは作品に全力を注いできて、他の雑誌でやる余力もなかったから。結果的に秋田書店にとっては幸いだっただろうと思っているけど(笑)」と、これまた笑って話す。そんな板垣先生は、週刊少年チャンピオンとの関係をこう語る。
「自分では、チャンピオンは実家だと思っている。(『範馬刃牙』連載終了から『刃牙道』スタートまでの間)1年半ほどチャンピオンを離れたんだけど、俺は『他で描いても必ず帰ってくるから』と言っていた。沢さんをはじめ、“週チャン”には深くかかわった人がいるから。彼らが落胆するようなことがないように、という連帯感はできているかな」

編集者と作家、双方の言葉からは、作家が個性をフルに発揮し、それを編集者がサポートする、強い信頼関係が長く続いてきたことが浮かび上がる。
面白い作品を読者に届けるということは、一見シンプルで当たり前のように思える。だが、出版不況が叫ばれ、数多くの漫画雑誌が姿を消していく中で、雑誌としてのポリシーを変えることなく続けることは決して容易ではない。それを世界に4つしかない週刊少年漫画誌で貫き、50年という節目を迎えたことこそが、“週チャン”の持つ歴史的意義と言える。
最後に、武川氏にこれからの週刊少年チャンピオンが目指す先を訊いた。
「新しい、面白い作品を読者の皆様にお届けすること。それだけです。これだけは50年前から変わらないことですし、50年後も変えてはいけないことだと思います」
国分洋平
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