9/26まで限定公開!映画『台風家族』草彅剛と市井昌秀監督が福岡で語った“感謝の気持ち”
九州ウォーカー
3週間限定公開の映画『台風家族』。9月17日に開かれた福岡での舞台挨拶を前に、記者会見が開かれた。公開から1週間以上が過ぎた今の気持ちを、主演の草彅剛と監督の市井昌秀監督に直撃した。

ーーー舞台挨拶でお客様から生の声を聞いたり、SNSを通じての感想もご覧になっている頃かと思います。今のお気持ちをお聞かせください。
市井監督(以下市井)「みんなの感想の声というのがひとつの台風かな、と感じています。今日は九州に草彅さんときていますが小さいところから少しずつ広がっていっていることを感じています。映画は僕は我が子のようだと思っていますが、みなさん映画に好感をもっていただけていて、徐々に成長していっているなあという実感がすごくあります」
草彅剛(以下草彅)「すごく手ごたえを感じています。舞台挨拶は30回近くやっているんですけど、そのなかで、この作品を見終えた方の顔をみると、本当に笑顔があふれていたりとか、涙ぐんでいたりとか、家族で観に来てくれたりしている方がたくさんいてうれしいですね。昨日(熊本での舞台挨拶)の質問コーナーがあったんですけど、お客さんが質問を忘れて、感想だけをおっしゃっている方がいたりして」
市井「あれは本当にすごく素敵でした」



草彅「そういう生のリアクションを感じている1週間です。この作品の僕たちが伝えたかったことというのが、伝わっているんだなというのをいちばん実感しているのが今です。だから今日いちばん、気分がいいです。いちばん人生で気分がいい日かもしれない(場内爆笑)。監督もそうじゃない?」
市井「今日は9月17日(取材時)でしょう?九州いいな、だ」
草彅「あ、いいね!それ(あとの舞台挨拶で)先に言っちゃうかもしれない(笑)。この作品は監督のオリジナルの作品です。公開が危ぶまれたけれど、公開できてこれだけみなさんに愛されています。上映してホッとしたところもあります。ツイートなどでもみんなの感想を知ることができてうれしいですね」
ーーー小鉄という役をいただいたときの最初の印象は?監督と相談されたことはありましたか?
草彅「ここまでクズの役をやるのは初めての経験だったので、どういう風にやるのか不安だったんですけど、読み終えたあとに、だんだん高揚感が生まれてきました。ここまで振り切れている役って、演じたら気持ちいいんじゃないかと思えてきたんです。最初はめちゃくちゃネチネチしていて嫌なやつだなという印象でした。でも時間が経つにつれて愛すべきキャラクターだなという風に変わってきたんですよ。これはほかの誰にもこの役はやりたくないな、となりました。そもそも私にきてる仕事なんですけど(笑)。早く撮影に入りたいな、そして市井監督という方に早く会ってみたいなと思いました。
やはりこの作品は監督のオリジナルというところが強みというか、監督は細かいところまでよくわかっているんですね。愛情をかけてキャクラターをひとつひとつ作っているところが、僕にも出演者にもみんな監督の気持ちとして伝わってきて。最後は演技しなくてもみんなその役になれているという感じもありました。みんなが自分を出して演じているから嘘がないような、伝わるような感情がむき出しになっている気がします」


ーーー監督は草彅さんの小鉄をどう感じられましたか?
市井「最初はある程度のプロット、あらすじはありました。そして草彅さんに決まった上でセリフを書き始めました。草彅さんがこんなセリフをいったらおもしろいな、こんな動きをしたらおもしろいなということを背中を押されたような感じで書いていきました。いざ現場では想像していた小鉄以上に、はみだした小鉄であってくれました。これが小鉄なんだ、と説得されたようなところもあったぐらいです。小鉄は本当に台風のような人物だと思っていて、それが本当に、実際の草彅さんともリンクした部分があるんじゃないかと思っています」

ーーー長回しという撮影方法が取られています。エピソードは何かありますか?
草彅「最後のシーンと、居間で鈴木千尋役の中村倫也くんが包丁を振り回して、逃げ回るシーンが長回しです。長回しは緊張するんですけど、時間が経てばどんどん役に入っていけるところがあります。監督もそれがわかってらっしゃるのかと。そこは非常にいいポイントだったかな、と思います」

市井「長回しっていろんなことを端折らなくなるので、その人そのもので役でやらざるをえなくなるんです。そういう点でも長回し自体が本来好きっていうのもあるんですけど。緊張感のなかでスタッフとキャスト、一丸となって撮っていくのはワクワクするし、楽しかったんですよね。本当に。朝日のシーンは一発勝負的なところもあるので、そういうところもみんな集中してできてよかったですね。
実はあの朝日のシーンはテイク2なんです。当日、朝日が出てくると思っていたら出てこなかったんです。でもそんなことよりキャストの芝居がすごくよかったのでもう『オッケー』と言っていたんですけど、実際に朝日が出てきちゃったんです。そしたらキャスト側から『あれ、もう一回いこうよ』っていってくれて。そういうのとかも一体感があってうれしかったですね。本来は自分たちの仕事が終わったらもう一回やろうよなんていうのはあんまり言わないもんなんですけど、俳優からその言葉が…」

草彅「僕は早く帰りたかったので(笑)。他の出演者からそんな話が出て(笑) )」
(場内爆笑)
市井「あらら(笑)」
草彅「みんな真面目なんですよ、私以外のメンバーが。じゃあ、やろうやろうって」
市井「結局、2回目のほうが、お芝居もよかったりして。その分、砂浜にね、足跡がついているんですけど」
草彅「みんなでね、あそこは本当に家族になれていた」
市井「なれてましたね」
草彅「家族になれてなかったらワンテイクでいいや、って帰っていたかも(笑)。『兄弟が残っているからもう一回やろう』って思いました。本当に楽しかったですね」
市井「スタッフ、キャストで集合写真も撮りましたね」
草彅「監督はフレームの外側を気にされる方なんです。包丁のシーンとか、実際は固定のカメラで家の中を撮影しているんですけど、僕らはフレームの外でも気を抜かないで演技しているんですよ。映っていないですよ、もちろん。だから特に劇場で観ていただけると、外でワーワーやっているのを感じていただけるのではないかと思います。そこでなんともいえない想像を掻き立てるというか、この映画は。海岸でみんな走ってて、2000万円なんてそこにないんだけど、でもあるようにみんな走って行ったりとかして。チームワークがありました。映っていない画面の外も楽しめる映画じゃないかなと思いますね」

ーーー共演者のエピソードで印象に残っていることはありますか。
草彅「小鉄は監督や共演者の方から引き出してもらった部分が多いんです。僕は自分のセリフの部分しか読まないし、自分のセリフすらあやふやなぐらいでいく感じに今回はしました。それはなぜかというと、みんながめちゃくちゃきちんとされてたんです。一人ぐらい真面目じゃないやつがいたほうがバランスがとれるんじゃないかと思って(笑)。その作戦があたってて。本当にまわりの皆さんに感謝してます」

ーーーこの物語の着想はいつ、どんなところから得られたのですか?
市井「30歳の時です。親元離れて12年たった頃でした。僕は長男なんですけど、あまり実家に帰ってないことに罪悪感を感じていて、気恥ずかしいんですけど、両親に向けた家族の映画を作りたいと思ったのが最初でした。小学校のときに富山にめずらしく大型の台風がやってきて、簡易型のカーポートが飛んで電線にからみついたということがありました。その時、家族で外に出て、不謹慎ですけど子ども心にワクワクしたんですね。家族がきゅっと結束したような気がしたことを鮮明に覚えています。そこで台風を掛け合わせた映画を撮りたいと。そのときからモチーフとしてありました」
ーーー最後にひとりでも多くの方に劇場に足を運んでいただくために、ひと押しをお願いします。
草彅「本当に公開になったことだけでうれしいです。もしかしたらそういう場所もないという可能性もあったので、公開できるだけでうれしいです。観ていただければ去年の夏、私たちが命をかけたというか、持っている力をすべて出したところが、スクリーンからあふれでる愛情になって伝わると思います。ぜひともご覧になってください」
市井「映画館ってスクリーンと対峙して一人で観る感じもありますが、周りの人と共有している部分もあると思うんですよね。この映画では笑ったり、泣いたり周囲の人と共有できる部分もたくさんあるので、劇場で観ててほしいです。映画は観客が観てから完成だと思っています。何度観てもきづくことがあると思います。劇場に足を運んでいただきたいと思います」
中洲大洋劇場で行われた舞台挨拶
記者会見のあと、中洲大洋劇場にて舞台挨拶が行われた。












映画『台風家族』は9月26日(水)まで。3週間の限定公演を見逃すな!
【取材・文=山本陽子、構成・撮影=鶴田知子】
山本陽子
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