編集長が語る、これからの商店街と街の未来 〜横浜編〜

全国の個人商店を応援する、AmexとJCBによる地域活性化プログラム『SHOP LOCAL』。本サイトでは全国10の商店街をピックアップして、各地で総力取材を実施。改めて地域の魅力を再発見することができた。そこで、地域の魅力の発信を続けているエリア情報誌ブランド「ウォーカー」を手がける各地域の編集長に “地元”のすばらしさや街の魅力を語ってもらった。

横浜は160年前の開港以降、文化を受け入れてきた街

「東京とは異なり“ローカル”である事が大事」と話すのは、神奈川県をメインとした『横浜ウォーカー』編集長・山本篤史氏。

「神奈川県というかなり限定された範囲をターゲットとしていますので地域の皆さんとの連携が必須。自治体の方々や地元の多くの事業者の皆さんと“いかに横浜・神奈川エリアを盛り上げるか”をテーマにさまざまなコラボを行っています。誌面の連載として“ジモト活性化プロジェクト”も好評です」

また、地域情報を扱うおもしろさも、“ローカル”ならではだという。

「私自身も横浜生まれ横浜育ちなので、地域の繋がりに助けられる事も多いです。地元の尊敬すべき先輩にディープな横浜を教わったり、中学・高校の同級生が営んでいる店でご飯を食べたり、共通の知り合いが新しいプロジェクトを一緒に始めたり。人の繋がりこそが地域情報を扱うおもしろさだと思います」

横浜ウォーカーのメインエリアでもある横浜について尋ねると、“歴史の中で長年培われてきた柔軟さ”が魅力の一つになっているよう。

「横浜は新しいことを率先して受け入れてきた街。160年前の開港以降多くの西洋の文化のスタートは横浜からでした。新聞、ビール、電車、ガス灯、水道、理髪、テニス…。だからこそ横浜は常に新しい、前向きな街なのだと思います」

「横浜元町ショッピングストリートは横浜の誇り」

本サイトで取り上げた横浜元町ショッピングストリートは、150年以上の歴史がある横浜を代表する商業地の一つ。

「元町に行くようになってもはや40年近いですが、ここは常に“憧れ”の存在。親に連れられて行った時、初めてデートをした時、大切な方にギフトを買う時、いつも気品にあふれた素敵な商店街であってくれることが横浜人の誇りです。歴史がありながら常に新しい、横浜の象徴ですね」

横浜元町ショッピングストリートにはアメカジスタイルがそろう1985(昭和60)年創業のメンズアパレルショップ「JUNKY CLASSICS」や、オリジナルウォッチのセンスが光る1903(明治36)年創業の「IDA Watch」、大切な日に訪れたいレストラン1981(昭和56)年創業の「仏蘭西料亭 霧笛楼」といった老舗が多い。古くからこの街を知る人は、山本編集長のように、どの時代にも思い出に残っている店があると言っても過言ではない大切な場所となっているのだ。

「横浜は日本のサクラダ・ファミリア」

山本編集長はユーモラスな視点で、街の変化・注目していることについて語ってくれた。

「横浜は永遠に完成しない街、日本のサクラダファミリアなわけですから(笑)。横浜ブランドに安易に甘えず常に新しい事へのチャレンジをする事、それが若い世代にまで浸透していることそこには常に注目しています」

街の未来についても、横浜生まれ・横浜育ちの編集長ならではの見解を持っている。

「私たちは取材をさせていただく立場なので、街は常に元気であってほしい。とはいえ、ローカルにおいては傍観者であってはならないと思っているので、“一緒に街を元気にしてゆくこと”が大切だと思っています。ネットショッピングなどがシェアを広げるなかで、揺り戻しの現象も起きていると思います。リアルな商店街を歩くのはある意味RPG的な楽しさですし、そこには“確かな手応え”があります。大切なのはライブ感。そこに関わる人たちの熱量によってさらにおもしろくなるはずです。横浜は歴史のある街とは言われますが、160年の歴史“しかない”とも言えます。江戸や京都と比べてみればやはり圧倒的に新しい街。今後インバウンドなどの課題も踏まえつつ、横浜の新たな魅力を発見・発信していくことが重要だと考えています」

文明開化の街として知られる横浜。そして箱根などの温泉街に、古き街並みが残る鎌倉・江ノ島、アメリカのカルチャーを色濃く残す横須賀など、一つとして同じ顔がない個性あふれる神奈川県は、様々な文化を受け入れつつ、独自のブランド力を高めていった歴史を持っている。神奈川県は、伝統や歴史だけでなく、トレンドを発信するエネルギーにも満ちたエリアなのだ。

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