衛藤美彩、初主演映画『静かな雨』を通して見えた日常の幸せとは?

関西ウォーカー

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2019年3月に乃木坂46を卒業した衛藤美彩。キャリア、私生活ともに新たなステップを踏み出した衛藤が、仲野太賀と共にW主演を務める映画『静かな雨』が2月7日(金)より公開される。映画初出演にして初主演となった作品への思いや、今後の展望までを語ってもらった。

2月7日(金)公開の映画『静かな雨』(C)2019「静かな雨」製作委員会 / 宮下奈都・文藝春秋


映画『静かな雨』は、大学の研究室で働く足の悪い行助と、1人でたいやき屋を営むこよみの切なくも温かいラブストーリー。2人が出会ってほどなく、こよみは事故に遭い記憶を1日しか留めて置けなくなってしまう。行助はそんなこよみと共に生きることを決意し、こよみが明日になれば忘れてしまう今を大切に過ごしていく。

原作は2016年本屋大賞受賞のベストセラー小説「羊と鋼の森」の著者・宮下奈都による同名のデビュー作。それを『四月の永い夢』(2018)や、『わたしは光をにぎっている』(2019)など、国内外で高い評価を受ける若き俊英、中川龍太郎監督が映画化した。

【画像を見る】映画初出演で主役のこよみを演じた衛藤美彩


挑戦したかった映画「やるしかないが、やりたいという気持ちに」


「映画はいつか挑戦させていただきたいと思っていました」と話す衛藤。

今回そのチャンスを掴んだきっかけは、監督の中川が、舞台「三人姉妹」に出演した衛藤を観たことだったそう。

「お話が来たときには自分に務まるのかな、という不安がありました。でも中川監督から舞台での佇まいや雰囲気が凛としていてよかったとお手紙をいただいたんです。嬉しかったですし、そうやって評価していただくと自信にもなります。これはもうやるしかないというより、やりたい!という気持ちになりました」と監督の言葉で不安を自信に変え、撮影に臨むことができたと振り返る。

衛藤が演じるこよみは、静かで芯のある強さを持った女性だが、あくまで抽象的な存在として描かれる。

衛藤も原作を読んだ際、「こよみは話す言葉が多いわけでもなく、こよみ自身について書かれている所って実はすごく少ないんですね。けれども圧倒的な存在感があり、また謎が多いなと思いました」と印象を語る。

それに加え、記憶を1日しか留めて置けないという難しい役所だが「情報が少ないからこそ一から作っていけばいいんだなという感じでした」と前向きに捉えて取り組んだ。

1日しか記憶を留められないこよみと、それを支える行助の切なくも温かいラブストーリーが描かれる(C)2019「静かな雨」製作委員会 / 宮下奈都・文藝春秋


初めての映画の現場は「すごく恵まれていました」と振り返る衛藤。

クランクインの1か月ほど前から、準備期間として中川監督と行助役の仲野太賀と、映画のシーンの稽古や、作品についてディスカッションを重ねた。緊張がほぐれると同時に、映画の世界で活躍する2人に支えられたという。

「私は主演なんですけれど、監督と太賀さんがたくさん考えてくださって、そこに引っ張って貰ったというか、くらいついていく感じでした。3人でディスカッションなんておこがましいなというくらいに助けていただきました」

実際の撮影現場も「とってもいいチームで、スタッフの皆さんもクランクアップの時、こんなに離れたくないと思った現場は初めてだと言ってくださっていたくらいです。誰一人欠けていてもこんなお話にならなかっただろうという圧倒的信頼感がありました。私がすごく伸び伸びと温かい現場でさせて貰ったのがそのまま映像に出てると思います」とキャストとスタッフどちらにも感謝でいっぱいだと語る。

1人逞しくたいやき屋を営むこよみは、事故で記憶が1日しか留められなくなってしまう。(C)2019「静かな雨」製作委員会 / 宮下奈都・文藝春秋


舞台やアイドルの時とは違う演技「意識しないことを頑張りました」


舞台やミュージカルで演技経験を積んできた衛藤だが、映画の撮影は「こんなにやらなくていいの?というくらい削る作業でしたね」と新鮮な驚きがあったそう。

「普通に人と話してるときって身振りや手振りを入れて『えー!』とか言わないんですよね。『はいはい』とか、『あ、そうだよね』っていう感じじゃないですか。瞬きとかも。でもミュージカルしてたり、意識するとそれが出てしまいます。『そんなに笑わないよ』とか『アイドルだからカメラも意識してる』と監督に教えてもらいました。そこが難しいというより楽しかったです。意識しないことを頑張りました。アイドルだとこっちの角度がいいとか、ミュージカルもおおよそは決まっているけれど自分で決められます。映画はどこから撮られてもいいというような感じでいく必要がありました」

行助はこよみを支えることを決意し、2人は共に暮らし始める。(C)2019「静かな雨」製作委員会 / 宮下奈都・文藝春秋


W主演を務めた仲野太賀について尋ねると「根っからの本当の役者さんなんだなと思いましたね」と印象を語る。

「太賀さんが演じる行助は私の中で思っているそのままの行助でした。役作りが徹底していて、現場では太賀さんというより行助と思えるくらい。撮影後に一緒にインタビューを受けたときも、作品の捉え方や着眼点など、太賀さんの発する言葉はすごく説得力があって本当に勉強になります。ジャンルも広くたくさんの作品に出られていて、そういったふり幅の広さがその証拠なのかなと思いますね。太賀さんが出演する作品はこれからも何回も見て行きたいなと思います」と役づくりや作品に対する理解の深さが刺激になったと明かす。

ささやかな日常に光が当たり、昨日でも明日でもない、「今」が輝く。(C)2019「静かな雨」製作委員会 / 宮下奈都・文藝春秋


人生の転機だった2019年「幸せに気付けました。この作品と似ていますね」


『静かな雨』はこよみと行助のささやかな日常に温かさを感じるシーンがいくつも登場する。衛藤にとって昨年は、乃木坂46を卒業、そして結婚と人生の転機ともいえる年だった。

その中で、映画の様に日常に幸せを感じた瞬間を尋ねてみると「幸せと思うポイントも去年は変わりましたね。変わったというか、増えました。幸せに気づけたというか。本当にこの作品と似てますね。この前旅行に行って、1日スマホを持たないで、ビーチに寝転ぶっていう日を作ったんです。良かったです!もうスマホ投げたくなりました!そういうことを3か月でも半年に1回でも定期的にしようかなと思ったくらい今に集中できました。今はスマホがないと生きていけないじゃないですか。一番失くしたら嫌なのはお財布よりスマホみたいな。そういう生活を送っていたら気付けないことに気付きました。追われる日々をやめるというか、見えない所が見えてくようになりましたね。これからはやりたいことを自分のペースでやって行きたいなと思いました」衛藤自身作品の持つメッセージを実感していると教えてくれた。

女優・衛藤美彩の今後の活躍に期待!


撮影当時はまだ乃木坂46に在籍していた衛藤。撮影中と卒業して時間に余裕を持てている今で、出演した自分自身でも今作に対する感じ方が変わったという。

「今見たほうがより染みるというか、テンポがゆっくり感じます。それはたぶん今の状態と似ているから。だから生き急いでいたり忙しい方が観るとまた違ったり、その人の状態によって感じ方が変わると思います。映画をどう受け取ってほしいということはないんです。それは観た方のものなので。毎日を誠実に丁寧にささやかに生きている2人が、どういう状態にその目に映るのかというのはとても楽しみです」

最後に女優としての新たな一歩を踏み出した衛藤に今後について聞くと「今回の作品がきっかけで映画の大ファンになったので、また絶対やりたいと思うんですけれど、この役がやりたいというのは今はないんです。でも今回の作品のような、日常だったり、こよみのような役は好きですね。監督や周りの人からの、『これが似合うと思うよ』といった声を大事にしたいと思います。『行けるよ!』と言われたら、『そうかな』ってなる押しに弱いタイプなので」と自然体で臨みたいですと笑顔で語ってくれた。

松原明子

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