『四畳半神話大系』で脚本を手掛けた上田誠「ストーリー作りのこだわり」を語る

映画『曲がれ！スプーン』(09)の原作舞台や、フジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」で話題となった「四畳半神話大系」など、多くの人気作で脚本・構成に携わっている劇団・ヨーロッパ企画の上田誠さん。今年は、「四畳半神話大系」で大きな賞を受賞し、新作舞台も制作するなど、今、彼は注目度満点の存在だ。そこで今回は、上田さんにインタビュー！ 現在の心境から新作の見どころに至るまでを語ってもらった。

「四畳半神話大系」は、昨年、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で大賞を受賞し、今年3月には第10回東京アニメアワードでもテレビ部門優秀作品賞を受賞した大人気アニメ。パラレルワールド形式の物語を映像化した、摩訶不思議な世界観が魅力となっているが、その構成と脚本を担当したのが劇団・ヨーロッパ企画の上田誠さんだ。これまでは舞台・映画・ドラマ・ラジオで活躍してきたが、今回はアニメというジャンルでの受賞。それについて、率直な感想を聞いてみた。

すると、「アニメの仕事は初めてだったので、受賞については最初はやはりびっくりしましたね。でも、制作の現場はものすごくやりやすかったんですよ」と上田さん。「テレビや映画の世界って、作品を作っていく過程でいろいろな制約があるものですが、『四畳半神話大系』では特に要求もなく、いかに面白いものを作るかといったところに主眼を置いていました。気の済むまで自由にやらせてもらえたので、作品を作りながら面白いものを作っているという手応えがありましたし、そこが評価されたのかもしれません」と冷静に分析し、「アニメの分野で受賞したことをきっかけに、仕事の幅も広がりつつあります」と喜ぶ。

そんな上田さんに、ストーリー作りのこだわりを聞いてみると、「“メディアにあったストーリー”というのをいつも考えているんです」との答えが。「たとえばアニメだったら、登場人物の心に入り込むような“ひとり語り”がマッチしますし、舞台だと、ずっと俯瞰で引いて見るという構図が似合います。ですので、それぞれのメディアの表現に合うストーリーというのをいつも考えているんです」と、ストーリー作りの内側を教えてくれた。

また、9月8日(木)から東京公演を開始する新作舞台「ロベルトの操縦」は、日頃から「移動には人を高揚させる力があるのでは」と感じる上田さんが、“移動に伴う高揚感”をテーマに制作したものだが、こちらもストーリーのディテールより先に、まずは大枠から考えたという。「舞台とはその特性上、移動しにくい場所なのですが、そんな中で移動をテーマにしたらどういう感じになるのかなと。そこを遊ぶ感じで作りました。変わった舞台装置も取り入れているんですよ」とアピールする。

最後に、「ヨーロッパ企画は“企画集団”です。これまでは、お芝居らしいお芝居というのもしてきましたが、今回の新作は、こういう企画でやってみました、という風な新シリーズの第1弾だと思っています。今まで見たことがないようなお芝居を見る良い機会だと思いますので、是非見に来てください」と締めくくってくれた。もちろん、同劇団らしい、キャストたちのコミカルな掛け合いも盛り込まれているというので、是非公演に出かけてみてはいかが？【東京ウォーカー】

■名古屋公演:9月2日(金)栄・アートピアホールで開催。サンデーフォークプロモーション　TEL:052・320・9100

■東京公演:9月8日(木)から18日(日)まで下北沢・本多劇場で開催。サンライズプロモーション東京　TEL：0570・00・3337　★9月8日(木)19時公演のチケットを3組6名様にプレゼント！

■大阪公演:9月22日(木)から24日(土)まで梅田・サンケイホールブリーゼで開催。サウンドクリエーター TEL:06・6357・4400

■福岡公演:9月29日(木)・30日(金)福岡・ももちパレスで開催。ピクニック　TEL:092・715・0374

■広島公演:10月2日(日)広島・アステールプラザ大ホールで開催。TSS事業部　TEL:082・253・1010