マジか! ? 国立国際美術館が前人未到のトロイカ!! アンリ・サラ、世界制作の方法、中之島コレクションズ
関西ウォーカー
10月4日(火)から、超個性的なベクトルの尖った展示会を一つの美術館の中で同時発進する。
アンリ・サラは1974年アルバニアのティラナ生まれ。今回展示されるのは6つのビデオ作品で、鑑賞者は長方形の暗闇に入って、両端に交互に投影される映像を観る。いや、体験する。隙だらけで、何か美を極めたり、主張が激しい映像に触れるわけではなく、異様に自然な偶然を感じる映像空間に、物凄く感覚を刺激される音が切り込み、空間を支配する。2008年の作品「アンサー・ミー」ではドラムが出てくる。このドラムは展示もされているが実は自律的に動いている。2010年の作品「ザ・クラッシュ」はパンクバンド・クラッシュのヒット曲「シュッダイステイオアシュッダイゴウ?」が手回しオルガンやオルゴール、様々なバリエーションの中、風のように音と映像が切り結ぶ。
彼が旧社会主義国出身であるとか、今はベルリンに住み世界各国の美術展に招かれ紹介されているという知識は、実際に体験する事の補完にはならない。彼が具現化する空間の情報体は極めて繊細な様々なズレやフィットが、今いる一点の関係性で完成するので、不思議な情緒(個人的には「ときめき」が一番近い)が感じられると思う。今回が日本初の個展になる。
3日の記者会見には、アンリ・サラに魅入られたアーティスト、村上隆氏も参加。12日には、ルイ・ヴィトンONE表参道で二人のトークショーが行われ、Kaikai Kiki Gallery(東京都港区元麻布2-3-30 元麻布クレストビルB1F)でも10月14日(金)~11月10日(木)で、アンリ・サラ展が同時開催される。
さて、この展示がB2Fなら、美術館の底、B3Fでは「世界制作の方法」が展示される。哲学者ネルソン・グッドマンの著書から取られたタイトルは、世界そのものの実体は無く、ただバージョンがあるだけだ、と言う意が込められ、日本のゼロ年代のネクストを見据えた6人と3組のアーティストが集った。昨年、この美術館で「絵画の庭」という展示が行われ、奈良美智ら先行した世代から、80年代に生まれた後藤靖香らまで、幅広く集められたが、今回は更に次の世代を感じさせる作品が揃っている。
メディアアートと呼ばれるネットというよりはソーシャルに踏み込んだ作品や、極めてポップというかキッチュにまでなれ果てたような作品、シンプルの極みのようなものまで、9つの部屋が、見世物小屋、あるいは長屋、動物園のように見るものを待ち受ける。約束できるのは凄く面白い事。退屈する事は無い、と断言できる。
最後はアンリ・サラと同じ階で展示される中之島コレクションズ展。建物が出来ず作品だけが存在する大阪市立美術館と国立国際美術館の所蔵品をあわせることで実に豪華で立体的な近現代美術の展覧会となっている。佐伯祐三のコーナーから始まって、同世代のパリ、戦後アメリカ、ピカソやデュシャンからアンフォルメル、そこから一気に近年の作品、たとえば、会田誠「滝の絵」までなだれ込む。実に豪華。
この3つの展示会が同時に観賞できるのは途轍もなくスリリングだと思う。何か俯瞰できたような気になるも、実は全く括れない事に気づいて、笑いたくなってくる。これが最大の収穫だろう。
【関西ウォーカー編集部/玉置泰紀】
「アンリ・サラ」
【会期】10/4(火)~12/11(日)
「世界制作の方法」
【会期】10/4(火)~12/11(日)
「中之島コレクションズ展」
【会期】10/4(火)~12/11(日)
【会場】国立国際美術館(大阪市北区中之島4-2-55、最寄り駅は京阪電鉄渡辺橋駅)
開館時間/10:00~17:00 *10月10日は開館、11日は休館 *金曜日は19時まで開館(入館は18:30まで)
【料金】「世界制作の方法」大人 850円(団体600円)、大学生450円(団体250円)
「アンリ・サラ」「中之島コレクションズ展」大人 420円(団体210円)、大学生130円(団体70円)
※高校生以下、18歳未満、65歳以上、心身に障害のある方とその付き添い者1名は無料
※団体料金は有料入場者20名以上
※毎月第1土曜日は(休館日の場合は翌週)はB2階展示場無料観覧日
そのほか詳細は下記ホームページをチェック!
【HP】http://www.nmao.go.jp/
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