最新アルバム「命結=ぬちゆい」をリリースした加藤登紀子が震災のこと、自身のことを語る!(その2)

関西ウォーカー

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(1の続き)

-アメージンググレースの歌詞を語りにされたのも、もっと言葉をちゃんと言葉として伝えることに重きを置いていたのではと感じたのですが。

私の語りはわりとみんなに喜んでもらえるっていう(笑)。だからといって毎回語りにすればいいってわけじゃないんだけど(笑)、今回の「アメイジング・グレイス with Yae」では、日本語の語りを必ず入れたかったんですよね。この曲は、英語の詩が本当にすごく素晴らしくて、もしこの曲に日本語の詩をちゃんとのせられることが出来たらレコーディングしようってずっと考えていたんですよ。それで、語りという方法をとったんですけど。アメイジング・グレイスという曲は、詩の意味をご存知の方は「詩」として聴いていると思うんですけど、日本人の多くの方はもっと音のムードとして聴いていると思っていて、それではもったいないなと思ったので、ぜひその詩の意味を感じながらメロディーを歌いたいなって。

-被災者の方々に向けたメッセージでもありますよね。

その瞬間やその場所をいっしょに生きている感じが欲しいんですよね。「今どこにいますか」の場合は、私は避難所には一緒に居なかったけれども、気持ちは一緒に生きているっていう。歌うたびに、私もそこにいる感じで歌っています。関西ウォーカーさんでやった生ライブに、被災地での写真のスライドショーを加えたものをYOUTUBEで改めてアップしたんですけど、視聴者の方のなかにお一人「”誰かを抱いていますか”という歌詞がショックでした」とおっしゃっていた方がいて。「いまは自分の家族や大切な人を亡くして、抱きたくても抱けない人がたくさんいるのに、この歌詞はつらいんじゃないか」ということを言われて、それが…すごくショックでしたね。その方は被災者の方では無く、彼らのことを思い量ってのコメントだったそうなんですけど、それがかなりドーンと、重く響きましてね。だけどこの歌詞の指している意味っていうのは、手を繋げたからこそ命が助かった人、手を繋げなかったから亡くなってしまった人、そういう人々がいて、やっとの思いで助かったという人たちが避難所で身を寄せ合って生きているという状況のなかで、家族でなくても、同じ状況をくぐり抜けてここに集まった誰かの手を繋ぐことでみなさん救われているところが大きいと思って。そういう時はとにかく抱きしめ合うことが大切だと思っているので。実際に現地へ行ったときにも、自分のお子さんを亡くした方が、同じように母親を亡くした子供さんを一生懸命可愛がっていらっしゃる姿とかを見ましたから。だけどそういうコメントをいただいたことで、自分の歌詞をどういう気持ちで歌うか、みたいな覚悟がはっきりしましたね。私の歌が、彼らの新しい力になればなと思います。

-実際に被災地でのライブも行っていらっしゃいますけど、現場に向かって感じられたことは?

届く歌があって良かったなと思いました。人と人って…ライブでもそうなんですけれども、ステージと客席という隔絶されたものがありながらも出会ってしまうっていう、一種のマジックのようなもので。そういう奇跡のようなことが起こりうるっていうことを縁(よすが)に、歌手をやっているわけですよね(笑)。必ず起こるかどうかもわからないものだけど、ひょっとするとそういう奇跡を起こせるかもしれないっていう…長くやっているとそのツボがだんだんわかってくるんですけど(笑)。最初の頃はほんとうに独り相撲でしたから(笑)。どうすれば人と繋がれるのか皆目わからなくて、七転八倒してましたけど、でもそれはそれでいいんですよ。若い方の怒りとか不満とかをただ出す一方っていう、そういう表現の出し方で絶対に伝わっていく力ってあるので。だけど、空間が離れているのに、伝わっている、繋がれているという瞬間も確かにあるので。

-お互いの感情の渡し合いが成功するような感じですね。

そう、ラブレターを書いてるようなね(笑)。あのね、私がハタチの時に書いた最初のラブレターはね「さよなら」というタイトルだったの。「今日であなたへの愛にピリオドを打ちます。私は2年をあなたを好きでした、だけどあなたは気付いてはくれませんでした、私だけはあなたを好きなのはあまりにも残酷です。だから、今日で私はピリオドを打ちます。さようなら、私の愛した人」っていう(笑)。

(3に続く)

http://news.walkerplus.com/2011/1019/20/

【取材・文=三好千夏】

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