5/19（土）に大阪ワンマン！ ザ・ビートモーターズの秋葉（Vo＆G）にアルバムについて直撃！

シンプルでストレートな日本語ロックで、エネルギッシュさもセンチメンタルさもぶちかましてくれる。前作が振れ幅あった作品なだけに、一本道を突き進む感じの今作は余計にグッとくる。寡黙さは変わらずも、より伝える事に意識的になっているボーカルでありメインコンポーザーの秋葉正志に話を聞いてみた。

―前作の色々なルーツやアレンジが見える感じも好きだったんですが、今作の日本語ロックという一本道が通った感じが凄く好きです。

｢前回は幅を持たせたり、まぁキーボードも入れたりしたんですが、今作は4人で寄せていって、完結したかったんですよね｣

―前作が出た頃に、それまでは喋らなかったMCも進んで喋ったり、変化がありましたよね。

｢それまでは喋れなかったですから。ただ、どういう人がやっているのかが(リスナーに)わかりやすくなったらよいなと思ったんです。私の見え方やバンドの見え方を見やすくしたいなと｣

―ライブで一本、道が通った感じが見えていただけに、今作のストレートさは、より気持ち良いんです。アー写(アーティスト写真。宣伝などに使う公式バンド写真)も、4人の顔ドアップで何の気もてらわず笑っちゃうんですよ。

｢お金をかけて撮らずに、事務所のコピー機に顔をくっつけて、一発でバンッと撮りました｣

―(笑)。全体的に、そういうモードになっていたんですね。

｢曲も前回は一杯録った中から選んでましたけど、今回は最初から絞って録りました。自分の主導で決めさせてもらった事で、ひとつに乗っかった感じでトータリティーが出ました。どういう雰囲気でまとめたいかや、曲順は自分のしたいようにしましたね｣

―｢時代｣というタイトルの曲であったり、他の曲にも｢時代｣という歌詞が出てきますよね。そこに何か、意思の強さを感じました。

｢世の中、暗い中で音楽のいいとこを…、娯楽としての音楽の良さ、“たかが音楽”ではなく“されど音楽”というとこでやれたら良いなと。あと、昔の遺跡にも『つまんない』みたいな事が書いてあったというのを知って、おもしろいなと思いまして。『つまんない、つまんない』というのは、いつの時代も変わらないんだなって。そういう事を言っている人は、いつの時代にもいたし、いつも誰かが言っているんだろうなって。ニヒリズムや倦怠感は、いつの時代もあるけど、自分に対して受身よりは積極的であるというか…、あってほしいなと｣

―今回は秋葉君がイニシアチブを取った感じがすごく分かったんですが、そのあたりはメンバーと話をしたりしましたか。

｢彼らの真骨頂的(な音)でいうと『恋をする』や『星に願い』は、まだ、そうかも知れないですが、基本はブルースがかったロックが彼らの真骨頂だと思うんです。だから今回は、得意なとこではないかも知れないですけど、みなさん色々自分で考えたりしているんじゃないですかね。他の人たちも懲りずに曲を作れば良いと思いますし、ビジョンを提示したら門戸は開かれますから。特に世界観がどういう事を歌っているとかは、彼らにとって重要じゃないかもなので、話はしないですね。基本的に『どうぞ！』みたいな間柄です。ただ、やっぱりバンドのサウンドの感じが好きなんですよ。アレンジで豪華にするのも良いんですけど、芯はバンドなんです。メンバーへの話も言ったら言ったでわかりやすかったりするし、時には高圧的にやる事も風通しが良くなる事もあるんです。でも私は、メンバーはやりづらいかも知れないですけど、じわじわとムードを出すだけで、敢えて口には出さない。向こうも何も言わないですし、無言のうちに探り合っている。不思議な感じですね｣

―前作の取材時に、僕はもっと秋葉君がイニシアチブを取って、バンドを引っ張ってほしいみたいな事を話したんですね。わかりやすい意味での引っ張るワンマン的なやり方ではないけど、結果ちゃんと秋葉君が引っ張る形になっているのは凄く嬉しいですね。だから、今回の作品は凄く抜けが良いんだと思うし。

｢自分でやっていきたいですから。まぁ、曲はバンバンできちゃうんですけど、歌詞は最終選ぶときに気になるんですよ。最初に作ってる時は、重視していないんですけど。レーベルのボスに見てもらったりとかしていて、そういう一緒に考えてくれる人が違う視点を持っていると、まとまりも出てきますね。他の人うんぬんの前に、自分で感動するポイントがあって、そこはちゃんと大事にしていきたいなと思います｣

―さっきアー写の話をしましたけど、アルバムのジャケットが凄く良いんですよ。凄く情緒のある写真で、日本の風景といいますか…。

｢はっぴいえんどやはちみつぱいというインテリかかったようなフォークロックが好きなんです。サニーデイ・サービスやくるり、初恋の嵐とか。そういうジャケットが好きなんです。1枚目以外はジャケットを人に任せていて、でも、何も考えがないとまとまりがつかなくなるんです。私が曲を作ってますので、今回は提示したいなと。で、写真のジャケットをやっていなかったので、ブックレットを持って行って、ああいう古い(風景の)感じを伝えましたね｣

―凄く味がある素晴らしいジャケットになったと思います。まとまりを自分のやりかたで提示し始めた秋葉君が、今後のビートモをどう考えているのかも気になっています。

｢次はいくつかアイデアあって、自分の中でまとまりつつあるのは、もっと熱いアルバム(笑)｣

―ビートモは毎回熱いし、今回も凄く熱いけどね(笑)。

｢熱い事を歌うとか、熱い世界観ではなく、熱量…、曲としてわかりやすく熱いというか…。その…、ライブで熱くできる曲、ライブが熱くなる曲を作りたいという事かも知れないです｣

―ビートモのライブは本当に熱いので、それでもまだライブを熱くしようと考えているのが嬉しいです。とにかく、今後も楽しみです。

｢はい、ありがとうございます｣

【取材・文＝鈴木淳史】