【WEB連載】田中稲の仮想DJ「昭和歌謡エンドレスリピート」前説「今だからこそ、昭和歌謡」

関西ウォーカー

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歌は世につれ。世は歌につれ。ネット無き時代の風流と粋とブッ飛び感にシビれ早10ン年、今夜はチエミとひばりを乱れ聞き……。

さて、はじめましてのご挨拶代わりに昭和歌謡にハマった理由を書かねばと色々考えたのだが、うーむ、結局ハマらない理由が無い環境だったという事に尽きるかもしれない。

物心ついた一発目の記憶が、テレビから流れる天地真理の声。幼稚園で西城秀樹に初恋し、小学校で世良正則の暴れん坊ぶりに別の種族の祭りを見たかのような衝撃を受け、中学校の暗黒青春時代をさだまさしの「防人の歌」で乗り切り、まさに「人生に寄り添い流れていた」昭和歌謡。当たり前だ。青春時代が昭和なのだもの。

さらに両親が愛し常にステレオから流れていた音楽といえば日活映画の高度成長期濃厚歌謡。これまた耳から離れ無いフルパワーぶりで、アキラや裕次郎は半ば暴力的に私の心に住み着いた。平成のオシャレな彼(曲)にも心揺れたが、結局汗臭く強引な昭和の彼(曲)を取った。それだけだ。

いやはや、情報も娯楽も限られた時代、気合ガッテンで作られた歌の主人公たちのなんと慌ただしく愛しい事か。道に迷っただけで夜を憂う若者、失恋で生きる死ぬと暴れる女、故郷を懐かしむ余り酒に溺れる男!

「ああああもう私ダメ冬の雨心斎橋は夜もふけて!!」

などと季節感とご当地臭を無理やり交えながら「落ち着けぃ!」とツッコみたくなる程の大騒ぎっぷりを見せる、その歌詞を追うだけで、聴いているコッチは悩み事など忘れてしまう。

地球レベルで生き様を提案する曲が増えてきた平成、無性に欲しくなるのだ、この「個人完結っぷり」が。冗談の通じない上司の超正論な説教より、バーでたまたま知り合った不器用そうなオッサンの身の上話がやたらと心に沁みる時もある、というのに似ているような(そうか?)。

たまに度が過ぎて自分の主張やら世間への恨みツラミをクドクドと歌ったわりには、「お前らに俺の気持ちが分かるワケがねーッ!!」と急に突き放し終わる暗黒曲も多数あり、それを間違ったタイミングで聞いてしまうと即効で地獄の3丁目まで逝ってしまうのだが。

そう、カオスとパラダイスの闇鍋状態、それが昭和歌謡。その魅力を、綯い交ぜでご紹介できる幸せを噛み締め、楽しんで頂ける事を願いつつ。今日の締めの一曲は「一週間に十日来い」で。

また次回、隔週木曜にお会いいたしましょう。田中稲でした。

【文=田中稲】

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